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第二話:彼女によると、未来らしい。

「庭掃除は終わったのか?」

俺はほうきを抱えて蹲っていた。

そして俺の意識は未だ昨日の夜のことに向いており、声が掛けられても反応することはなかった。


『ふざけるな!大体俺はここがどこかも知らないんだ!!それに今どき奴隷ってなんだよ!!奴隷制度はとっくの昔に無くなったはずだぞ!!人権無視もいいかげんにしろ!!』

『・・・?何を言っているんだおまえは?奴隷制度の撤廃など・・・そういえばお前名は何という?』

『えっ・・・お・・・俺は桐谷優二きりたに ゆうじ・・・・優二だ。・・・じゃなくて』

『ユージか。私はエリィ・ヴァルフォート。そしてこちらが兄上、シグルス・ヴァルフォートだ。』

『よ、よろしくなんかしないからな!!』

『・・・なにを言っている?奴隷とよろしくするわけがないだろう。それよりもお前この星をなんというか知っているか?』

『・・・?アフォかお前は。んなもん幼稚園児でも言えるっつーの。地球だろ?』

『そうだ。では光河暦何年、ここは何国かわかるか?』

『はぁ?光河暦?・・・・西暦だろ?それに国は・・・日本じゃなさそうだけど・・・』

『・・・やはりな・・・・さっきから感じていた違和感・・・兄上。』

『ああ・・・・なにが原因かは知らないが・・・真面目に言っているのだとすれば・・・』

『しかしコレにそんな腹芸ができるとは思えないぞ兄上。』

『そうだな。』

『余計な御世話だ!!お前らだけで納得してないで俺にもわかるように説明しやがれ!!』

『しやがれ?・・・・してくださいだろう?まぁいい。お前のような低能で愚昧でどうしようもないくらい頭の悪そうなお前にも説明してやろう。つまりだ・・・』



「・・・まさかおれの住んでいた世界が遠い過去に崩壊したなんて・・・・」

そう。昨夜優二とエリィとシグルスが話していた内容を合わせるとこうなる。


3024年前、西暦2087年にドイツにて一人の研究者が

「ぶっちゃけもう疲れた。猫耳のいないこの世に絶望した。」

とか言って世界中を破壊に導くウィルスをばらまいた。(らしい。)

すべての生物を媒介にし、空気感染の範囲は半径160kmというウィルスが

世界を破壊に導くはずだった。

確実に生物という生物を侵食しながら世界を滅亡へ向かわせるウィルスは

確かに全ての生物を媒介にし、確実に広まっていった。

だが、研究者も予想しなかったことが起きだした。

体長10M前後の三毛猫・・・

角が生えた柴犬・・・

高層ビルを覆うほどのカビ・・・

鋼鉄の翼を持つ巨大な鷹・・・

そう、ウィルスは生物を媒介にしつつその生態系を変えてしまった。

当然大きくなった生物は人間に牙をむけ、

そのウィルスを取り込んでしまった人間もその体に異変をきたしたのである。


しかし人間はほかの生物と違い外見上に変化がみられることはなかった。

いや、稀にそのような変化が見られる者もいたが、大半の人々は特異な能力を得る

事となった。


―――触れた物質の成分を自在に操る者。

―――頭の中に浮かんだ図形を描きなんらかの現象を起こす者。

―――法則にとらわれない者。


そしてごく少数だが、頭の中にイメージしたものを具現化し現実のものとする者、自身の細胞配列を組み換える事が出来・・・極端にいえば獣になることができる者達までいた。


それらは

錬金術師アルケミスト

魔術師マジシャン

法則無視イグノア・ロウ

殺人神キリングゴッデス

獣貌ビーストフェイス

と呼ばれた。

人類のほとんどはその五つの枠におさまり、能力がウィルスに感染していない子に発現するケースも見られた。


しかし、子に受け継がれた能力はそのまま受け継がれるわけではなかった。

青と赤が混ぜられると紫になるように、魔術師と獣貌の子はそのどちらの能力も受け継がれなかったのである。


最初の次世代能力者スキルチルドレン事件は錬金術師と魔術師の子供だった。

二人の親と一人の子供。暖かい愛情に囲まれ育った子供は何の気なしに魔術師の親の右手を両手で挟んだ。

それはちいさな子供の手だったが挟まれた魔術師は右手が潰れてしまった。

その事はすぐに世界中へと知らされ、魔術師と錬金術師の子は研究機関へと送られた。

結果、子供の細うでの中に異常なほどの筋繊維がみられた。

尋常ではない事態に研究者達は悲鳴を上げた。

力を少しこめるだけで鋼鉄の如く硬くなり、何の気なしに手を振っただけで物凄い風圧が発生する・・・。そんな能力はおろか普通だったころの人間でも聞いたことがない。

研究機関は子供の能力名を『超人アトラス』と名付けたがそれだけでは事件は止まらなかった。見たことの無い能力を持つものは次々と増えてゆき・・・

世界中に溢れた能力者たちはもはや無限の可能性を持っていた。


しかし、これを知って面白くなかったのはウィルスを作った研究者である。

『なんで世界を滅ぼすために作ったのに生物は進化しているんだ!?

 それに進化した生物の中に何故猫耳少女がいないのだ!?

 世界を滅ぼせないならそれを支える文明を壊してやる!!』

そう言って研究者はあらゆる手段を用いて電子機器等を世界から消してしまった。


それに困ったのが新人類・・能力者たちである。

まず材料がない。

材料はあっても加工のしかたがわからない。

加工の仕方が分かっても専門的な技術を持つ者たちはとても少ない。


新人類は一時的に原始時代並の生活をしていたがとても長い時がたつにつれ文明を復活してきた・・・


そこに優二が来たわけである。

『ちなみに私は犠牲者サクリファイス。身の回りの者たちからある程度不幸を奪うことができる。』

『ふーん・・・それってなんか嫌な能力だな。それしかできねぇの?。』

『兄上は好きで犠牲者を選んだわけではないのに・・・』

『エリィは何ができるんだ?』

『わ、私か!?私は・・・その・・・』

『エリィは刃之女神ブレードガディスといって、刃物ならば何でも達人級に扱える。』

『へぇぇ・・・・なんか怖いな・・・戦闘タイプ?』

軽口を叩いただけで殺されかける世界もあるんだと優二はその夜実感した。

手近なところにあった果物ナイフらしきもので殺されそうになるというのは恐らくもう二度と体験できない貴重な体験だ。


・・・と言うわけで優二は今絶賛奴隷中なのである。

『働き次第では従者にしてやる。まぁ、せいぜい働くんだな。』

シグルスはそんな事を言っていたが・・・

「・・・俺の人生で奴隷になる日が来るとは・・・いや、そうじゃなくて・・・」

もう二度と親や友人に会えない・・・といっても両親は義理だし友人も少ないのだが・・・

(もっと人生有意義に生きときゃ良かったかな・・・。)

なんていったってここ化けものばかりが集まる未来である。

認めたくはないが昨夜身をもって味わったエリィの剣腕は確かだった。

アニメやマンガ、ゲームでしか見たことのないような剣筋に走馬灯が見えたくらいである。

「はぁ・・・ゆとり教育による犠牲者のお手本みたいなおれが何でこんな目に・・・」

「そんなこと言っても仕方ないだろう?お前はここに来てしまった。とりあえず何かを見つける意味でも日々暮らしてゆくことは重要だ。」

「・・・いつのまに後ろに。」

「さっきから何回も呼びかけているのに答えないのでな。何かと思っていたらいきなりそこへひとりごとだ。私は昨日の夜斬りつけようとしたのを恨んでいるのかと・・・」

「・・・まぁそれもあるっちゃあるけどよ。」

そう言うと優二は立ち上がって服に付いた埃を払った。

「俺の世界・・・いやここから見たら過去だから時代か。帰れるのかと思ってな。」

「・・・・・」

「まぁ、実際帰ってもやることはないし良いんだけどよ。それでもやっぱり未練あるよ。」

「・・・そうか。」


二人の間に気まずい雰囲気が流れたが、それを打ち消すかのように優二は言った。

「それに来るとわかってたらこんなカッコで来ないっつーの。多分。」

優二はジーパンにチェーンをつけ、上は長袖の黒い長そでのシャツの上から半袖の白いベストを着ている。髪の毛はワックスでオールバックにしていたのだが・・・。

整っているとはいえ童顔な優二にはあまり似合っていないような気もする。


「そんな格好は見たことがないから、最初他国の人間かと思ったぞ私は。」

「他の国にはこんな服があるのか?ていうかここにはないのか?」

「そうだな・・多分この国にはないだろう。アンジェ大陸の国々ならあると思うが・・・。」

「アンジェ大陸?」

「うむ。大半の土地をアンジェ大公国が治める大きな大陸だ。この国の何十倍もある。」

(アメリカの事か?)

「この国はなんて言うんだ?」

「パジャン王国。土地は北東から南西に広がる島国だ・・・世界の極東に位置する。

 お前の時代に照らしあわせるとたしか『日本』という国だったはずだぞ。」

「日本・・・」

「そうだ。なんでも文明崩壊直前までは世界最高レベルの文明を誇っていたらしいが・・・」

(間違いない・・・ここは日本なんだ。)

そのころから確かに日本は高度な文明を誇っていたといえた。

「まじかよ・・・・俺、住んでたの『日本』なんだよね・・・・」

「そうか…・ということは私とお前は同国人か?」

「あ〜・・・まぁそうとも言えるけど・・・『日本』じゃ漢字の名前が普通だったんだ。

 お前らは違うだろう?それにお前らは思いっきり髪も西洋の髪だし・・・。」

「いや、漢字の名前からカタカナの名前に変わっただけだ。何故かは知らんがそう聞いている。髪の毛は・・・確か能力者になったときに能力が髪の色素になんらかの影響を与えたと聞いている。これも詳しいことはわからないが・・・。」

「ふぅん・・・ってことは俺から見ればお前らも『日本人』って事か。」

「ふふ・・・かもしれんな。」

「はははっ、そうだって。少し違うだけじゃん。」

優しい風が頬を撫でる・・・。

優二は前とは異なる世界での暮らしもそう悪くはないと感じていた。


第二話の作り方がよくわからなく悪戦苦闘しました。

上地雄大かみじゆうだいです。

友人に手伝ってもらってやっとできましたー。


さて、今回は設定をぶちまけてみました。

・・・ぶちまけたんです!!改めて出るせっていもあるんです!!

自信ないですけど・・・・(泣


けどまぁ自分は楽しんで小説を書いてその結果皆さんに楽しんでもらえたらな、なんて思ってます。

都合が良すぎますかね?けどそれが理想です。

拙いところが目立ちますがどうぞよろしくお願いします〜。

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