第十五話:奇声・変態・自主規制しろや!!
「アッハー!!」
「!?」
奇妙な叫び声か笑い声か、どちらにせよ奇人変人の声によって俺は目を覚ました。
起きぬけにこんな奇声を聞かせられるなんて騒音公害で勝訴確実じゃないだろうか・・・、これで敗訴だったらきっと俺は裁判長の首を締めあげて東京湾にて魚の餌にするだろうな・・・
そんな事を思いながらこれまでにない速度で飛び起き、事態を把握しようと頭を左右にブルンブルン振っていると、エリィ達が助けを呼ぶ声が聞こえた。
「優二!!助けてくれ!!優二!!」
「優二〜!!へぇるぷ!!」
「な、なんだ!?」
危機感を感じてベッドを降り、靴を履く。そして木刀と腕輪を持って飛び出そうとした瞬間―――。
「・・・ん?」
扉の前になにか珍妙なものが転がっていることに気付く。・・・そう、縄でグルグル巻きにされたエリィとシュガ及び誠司パーティである。
次から次へと起こる展開に優二の脳みそは処理落ちしかけていた。・・・しかし生来の明るい性格のためか前向きに考える・・・なんだ?こいつら一体なにを考えろ優二!!なにかこれには意味が・・・そうか!!
「・・・なにやってんのお前ら。女王様の居ないSMプレイか?・・・ああ、放置プレイってやつか。しかし集団でやってるとはお前ら随分趣味が合ったんだな。」
『わけのわからん事言ってないで助けろ!!』
おおぅ、めっちゃ怒られた。
けど実際こんなことしてたら誰でもそう思うよな―――と、ここでまた気付く。
たぶん俺の脳みそが認めたくなかったために気付けなかった・・・そう言うことだろう。
だって・・・・
縛られたエリィ達の中心に見たことのない長い髪でキンパツストレートの美男子
が居る。
上半身ハダカで。
バラ持っていて。
バラにチューしてる。
しかも「アッハー!!」とか恍惚とした表情で叫んでやがる。
(・・・まさか縛られてるエリィ達はこいつに・・・!?)
エリィ達がこんな変態にやられたなんて考えたくもなかったが他に理由を思いつかない。
「エリィ!!こいつか!!こいつがお前らをやったのか!!」
「そ・・・そうだ!!頼むから一秒でも早く私たちをこの変態から救出してくれ!!」
「オーケー腕輪も装着完了、すぐに助けて・・・!?」
チラリ。
・・・・・。
チラリチラリ。
・・・・・ゴシゴシ。
「エリィ・・・駄目だ。俺は疲れてるみたいだ。」
「!?何を言っている!!早くしてくれ!!」
「そ、そうだよな・・・ワリィ、ちゃんとやるぜ。考えてみたらあり得ないんだ。下まで穿いてなんて・・・そう!!俺はやるときゃやる男・・・」
パオ〜ン!!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ現実まっしぐら!!」
「くっ・・・優二現実をみるんや!!信じたくないのは俺らもおなじ・・・頼む!!」
「ぐおぉぉぉぉおおおぉおぉ!!見れねぇよ!!今この状態なら誰だって目を逸らすさ!!むしろ逸らしても誰も責めないと思うね俺は!!大体異常だろ!?ここは風呂じゃない!!大衆浴場じゃないのに!!・・・なんでたてがみのある象が・・・!!」
パァオ〜ォォン!!
「くっ・・・優二!早くしてくれ!!男はまだいいが・・・」
焦りと恥ずかしいものを見たせいか顔を赤くするエリィ。
「アッハァー!!」
「な、なんだよ!!エリィだって能力使えば楽勝だろぉぉぉ!!俺嫌だよこんなやつ!!」
「動けるのが残念な事に優二しかいないんだよ!!早くボク達を助けて!!」
悲痛な叫びをあげる理沙。
「アッハッハー!!」
「お嫁に・・・いけなくなっちゃう・・・」
半泣きの結花。
「ちっくしょう・・・やるしかないのか!!」
俺にここまで悲壮な決意をさせるなんてこのキンパツヤロー・・・やるじゃねぇか!!
「おい!!」
こいつ聞いてねぇ・・・やっぱり嫌になってきた・・・依然として見えたまんまだし・・・
「おいってば!!」
「アッハー!!・・・やぁやぁすまないねぇ気付かなかった。君、名前は?」
ぐっ・・むかつく野郎だ・・・だがしょうがない、答えてやるとしよう。どんな時でも正しい姿勢で。そんなオレは絶対紳士!!
「・・・俺は桐谷優「アッハァ〜ン!!」」
殺意が湧いた。
じり、じり。
しかもなんで恍惚としながらこっちに歩み寄ってくるんだ?寒気がする。
「くっ・・・来るな!!」
「フフフ・・・そう照れないで・・」
誰がいつどう照れたのか俺には全くもってわからない。
「アハァ〜・・・・僕はダイダロス・ジャリィーン。エクステリオルへ向かう・・・って真面目に自己紹介する僕、アハァ〜!!!」
「なんなんだよお前!!」
ジャリィーンは体を自分で抱いて身をくねらしている。
「・・・僕はエクステリオルへ着く前に強さをアッピ−ルしておこうと思ってね・・・それで入学者達を捕縛しているのさ!!」
「それとお前が裸なのは何か関係あるのかぁ!?」
ジャリィーンとかいう名前すらも悪趣味な奴は女の前というのに悪趣味なものをブラブラブラブラ・・・上どころか下も着てない。
「ん?これはね。究極の身軽さを目指した結果・・・こうなったんだ。」
「お・・・おぇええぇぇぇぇ・・・」
・・・他に手段はなかったんだろうか。
クソッ・・・只のオットセイにここまでの威力があるなんて・・・・なんて怖い奴なんだ。
「おや・・・船酔いかい?それなら薬をあげよう・・・んっは・・・どうぞ♪」
ジャリィーンは白い錠剤が2粒入ったビニール袋を取り出した。
「だがてめぇ今それをどこからだしやがったぁぁぁああぁぁぁぁ!!」
絶対手が尻のあたりに言ったような気がしたんだが!?あぁ、エリィそんな蒼白な顔しないで!!予想があたってそうで怖いからぁぁぁ!!
「むぅ・・・人の好意を無駄にするのは良くないよ少年。」
「悪意にしか見えませんけどねぇ!?」
「・・・まぁそんなことはどうでもいいんだよ。」
ヤバイ、俺の怒りゲージがフルスロットルだ。
「言いたいことはわかるね?僕と・・・勝負してもらう!!」
「・・・・・」
「どうしたのかね?怖気づいたかい?・・・大丈夫、優しくしてあげるから。」
ゾクッ
なぜか悪寒が背筋を走りぬけた。クソッ、早くこの汚らしい生物を駆除しないと俺の頭が変になりそうだ。
「・・・いいぜ。」
「では、いざ尋常に―――。」
「待て。・・・条件がある。」
「?」
これは言っておかねばなるまいよ。
「・・・パンツを穿け。」
「何?いくらなんでもパンツは穿いて・・・・・・あああぁああっれぇええぇぇぇええ!?」
気づいてなかったんかい。
2週間ぶりです。
定期更新できない俺を許してください・・・イタッ!
さてやっとのこさ戦闘です。
頭を悩ませましたが、楽しいと手が勝手に動きますね。わははのは。
・・・すいません。なんかすいません。
これからも頑張ります(´・ω・)オウエンシテネー