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第十一話:乗船・関西弁。

船着き場では一つの橋が途中で別れて、その先に船が一つずつ待っていた。


「おう兄ちゃん。乗るのか?」

俺はこんな厳つい顔をした人を見たことがない。

「あぁ、ゼネル行きはどれだい?」

さりげなくフレンドリーに。絡まれたらやだもんね。

「あん?おまえもしかして行き先エクステリオルか?」

あれ?なんでわかるんだ?

「わかるのか?」

「あぁ、ゼネル行きで若い奴らだけの旅って大抵エクステリオルだからよぉ。エクステリオルへは直行便が出てる。それは一番右の船だから急ぎな。もう出るぜ。」

「優二、わかったか?」

そう言いつつエリィとシュガが近付いてきた。

「おー。この人が言うにはあれだ。エクステリオルへは直行便が出てるらしい。エリィ旅券。とカネ。」

「うむ。・・・これでいいか?」

そう言ってエリィが旅券と金を男に渡した。これらはずた袋に入っていたものだ。

シグルスは全てを見透かしていたかのように必要なものをずた袋に入れていた。それはいったいどうい事なのか・・・俺には考えても分からない。

「おう。ま、急ぎな。あと2、3分で出るぜ、ありゃあ。」

「な・・・!?」

「大体来るのがおせぇ。ホラ、ダッシュ!!」

そう言われて俺たちは全速力で船に走って行った。

「・・・騒がしい奴らだぜ。」

・・・俺もそのとおりだと思うぜ。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

船の前に立つ船員らしき男に話しかける。

「ああ?客かぁ?」

船員らしき男はみんな同じ格好をしている。上半身裸で靴を履いていない。

そして鍛え上げられた肉体。バンダナ。それらは全て船員に当てはまるものだった。

「そうだ!!だからその船に乗せてくれ!!」

「んー・・・つってももう橋は降ろしちまったし・・・しゃぁねぇなぁ・・・」

そういうと船員はエリィとシュガを持った。

『へ?』

首の皮を持たれた子猫のように二人はキョトンとしている。

「乗りてえんだろ?ちょっとぐらい我慢しろよ。」

そう言うと二人をつかんだまま腕を2,3回振ると・・・

「1・・・・」

「おー?」

「2・・・・・」

「お〜。」

「3・・・・・!!そらぁ!!」

ブォンって音とともに投げた。信じられんほどの怪力だ。片手に一人なんてなんか人間として間違って・・・あ、能力か。

2人は大きく弧を描き・・・

「・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁああああギャフッ!!!?」

奇妙な声を出しながら出港し始めた船にドスンと落ちた。

「・・・さて、間に合わんからさっさとやるぜ。」

そういうと船員は俺の方を向いた。

「ち・・・ちょっとまて・・・・」

「待ってるとお前が間に合わんのだろうが!!ほらさっさと・・・しろ!!」

「うわぁ!!」

視界いっぱいに空が広がる。いつの間にか俺は抱えあげられたらしい。

「軽いんだなお前。もっと飯食って運動するんだぜ?」

「飯は食った・・・・ああ!?ま、まて!!」

「ああ?全力でやるぞこの野郎。いい加減腹決めな!!」

「ち、ちがう!!帆に向かって投げてくれ!!」

「はぁ?」

帆なら痛くないはずだし落ちる時には腕輪の効果を使って着地すればいい!!俺って天才!?やべぇこれはいい考えだ!!

「・・・投げられる場所を提案する奴はお前が初めてだ。まぁいい、いくぜ!!ぬんりゃぁぁぁぁあああああ!!」

そう言うと船員は両手で俺の体をブン投げた。

「ぅぉぉおおおおおお!?」

やべぇGかかってる!!Gかかってるよぉ!!

「サ、サンキュー!!」

「気をつけて行けよ〜!!」

それは船の操縦士に言って欲しかったが、次の瞬間目の前に広がる大海原と大空、その中間に位置する朝日に胸がいっぱいになった。

なんて綺麗なんだろう・・・空を飛んでいるので風が全身を打つ。

景色に見とれているといきなり視界が真っ白に染まった。

「っ!?おわぁぁぁぁぁ!?」

ボフッ。

そんな気の抜ける音をたてて帆にぶつかる。そして始まった落下に少し焦る。

「や・・・っべ!!そうだった!!」

急いで落下の中腕輪を二の腕に嵌める。次の瞬間心地よさが全身を支配する。

これなら・・・いける!!

「ハッ!!」落下の途中マストを蹴る。

「セイッ!!」船室へ続く道の壁を蹴る。

「ふっ!!」

スタッ!!

オオォォォォ〜。周りからの拍手が響く。

俺は体操選手よりも華麗に着地。この腕輪の効果ってすごいなぁ。速度、力だけじゃなくて反射神経も良くなって、落ちていたのにまったく恐怖心がなくなった。これは反則的なチートアイテムだ。うん。・・・それにしてもこんなすごい品物をオマケとしてくれるなんて戦闘道具店の人も太っ腹なんだなぁ。

俺は周りに手を振りながら立ち上がると、先に投げられたエリィ達のもとへと歩く。

エリィの目の前に立つとエリィは興奮気味に俺に話しかけてきた。

「すごいじゃないか優二!!いつの間にそんな身のこなしを!?」

「いやぁ・・・この腕輪のおかげだよ。コレなけりゃ俺死んでっぞアレ。」

「それにしてもすごいですよ!!アサシンに匹敵する動き・・・ただ周りに流されてきた大喰らいの鈍感平民かと思っていましたが見直しましたよ!!」

「そんな風に思われたのか!?絶望した!!周りの評価に絶望した!!」

シュガの言葉に涙があふれてきた俺にエリィがクスクスと笑う。

まったく・・・笑い事じゃないぜ・・・結構傷ついたんだからな、俺。

そんな笑えるやり取りをしていた俺らに数人の若い男女が近付いてきた。

若くて軽そうな、目が細く茶髪の腰にレイピアを下げたチャラ男。黒髪でガタイがよくってタッパもあるが大工みてぇな恰好で二つの巨大な斧を背負ったいかにも力自慢です〜って大男。こいつも黒髪ポニーテールで背が高く、ノースリーブから太もも半ばまでしかないジーパンにいたるまで全てが黒い気の強そうなガントレットを装着してるツリ眼女。背が低くって虚ろな眼をし、トゲトゲの鉄球の先に杖が繋がった・・・ありゃモーニングスターっつーのか?を持ったこちらは長袖長ズボン上下真っ白な服装の髪まで雪のように白い、フードをかぶり眼鏡をかけて垂れ目がちな少女。

それにしてもどいつもこいつも整った顔立ちをしてやがる。この時代にゃあ美男美女が多すぎやしねえか?俺の時代もこんなのだったのか?明らかに背景になりがちな大男タイプまで頼れる兄貴ってかんじの魅力があるしチャラ男はチャラ男で完璧美少年、ツリ眼女からはツンデレの匂いがプンプンしやがる上にマジで美少女だし垂れ眼鏡っ子は無口キャラな方面でさっきとは違う美少女っぷり!!

バッと振り返る。

エリィは・・・高貴なお嬢様だな。しかし顔は綺麗だし出るとこでてるし引っ込むところは引っ込んでらぁ。シュガはシュガで男なのにポニテ、しかしそれがイイという男の俺が女と見間違えて口説きそうな勢い。・・・ちょっと自分の普通さに腹が立った。

そんな挙動不審な俺にさっきの奴らから声が掛けられる。

「あんさんスゲェな!!俺あんな身のこなしの人見たことないわ!!」

あん?関西弁?とりあえず振り返った。


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