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20)亜空間と移住計画

  

  

 藤吉とトオルが去った砂丘の頂上を俺とサクラはいつまでも眺めていた。


「あいつ……………。ひと言も無しで、最後まで振り返りもしなかったぜ」

「ぅ、ぅん……」

 サクラは喉の奥に小骨でも引っ掛かってるような気の抜けた返事をし、クルミは藤吉に修繕してもらった人形を握り締め、黙って丘の頂上を見つめていた。


「姫様食事が冷めます」

 イチの声だけは何も変わらず、焚き火の前で淡々としている。


 急激に気温が下がり、寒風が吹き抜けて通った。

 なんとも言えない寂しさが浸透してきた。赤々と燃える炎が幾らか弱まった気がして、藤吉のいなくなった空間に視線をやる。

 黒々とした大きな穴だった。がらんどうとなった隙間は俺の心の中にまで浸透してしまい、楽しみにしていた鶏スープなのに、おかげでちっとも味がしなかった。


「………………苦いぜ」

「塩、入れ過ぎたか?」

 器に薄い唇を当て、小首を傾けるイチを視界の片隅に捉えつつ、俺は感慨にふける。


 最初は、俺たちと対峙していた野武士の頭領だ。だが、すぐにその人柄に引かれた。喧嘩を売ったサクラに怒り狂った仲間を収めさせるだけの度量があり、辛抱強くて世話好きで、しかもそのふらつかない信念は清々しくさえも感じた。


 個人の自由だ、とイチは言った。それはちっとも間違っていない。


 なら────。


「藤吉の代わりに俺が行っても、それは個人の自由か?」

 イチはちらりと横目で俺をすがめると、

「お前はサクラどのと離れることはできない」

 なんともこそば痒くなるセリフだった。それにクルミが付け足す。

「テルさまにはまだお仕事が残っていますから……」


「いったいお前らは俺に何をさせようとしてんの?」

 さっきの消化不良が再燃してきた。


「爺さんはイチが説明すると言っていた。さぁ説明してくれ、すべてを、それも、俺でも解かりやすく簡単に頼む」

 何だか知能の低さを露呈したかも知れないが、とにかく俺はイチに迫った。


「まだ覚えていたのか……しつこい奴だ」

 何だか叱られた気分だけど、引くわけにはいかない。

「うっせぇ。俺は胃の辺りに何か溜まってて、むかむかしてんだ」


「胃薬ならあるぞ」

 準備のいい忍者だ。


「胃はすこぶる調子いい。それよりもこの地球には生物がまだ存在するのか? ニーナはいないと言ってたが、あのミミズはどうしたんだ」

 まだ皿に数匹残る、にょろにょろへ顎をしゃくってやった。


 イチはそれに応える言葉を探ろうとしたのか、焚き火の中央を睨んだまま薪を一本放り込んで黙した。

 火の粉が派手に立ち昇り、それを見上げるクルミの潤んだ瞳がキラキラと輝き、やがてゆっくりと口を開く忍者野郎。


「ニーナの言うとおり、この地球ではバクテリアや一部の下等な植物を除いて、動植物は生きていけない」

 ゆっくりと視線を空に持ち上げた。

「オゾン層が完全に消滅し、放射能を含んだあらゆる汚染物質で満たされた大気は呼吸に適さない」

「うっ」

 急に息苦しく感じてきた。ここに来てからどうも落ち着かないのはこのせいか?

「でも何ともないよ。ほら、息できる」

 それはお前がおバカだからだ。バカは宇宙服無しで船外任務をこなしてもいいという世界規約があるはずだ。ウソだけどな。


 とは言うものの、ひんやりとした冷気は静謐(せいひつ)に澄み渡り、目の前の焚き火は轟々と熾っていて、炎が当たらない背中が少し寒い気がするものの、とっても心地よい。


「何で…………」

 最後まで言葉にしなくとも、俺の疑問はイチに伝わった。

「半径500メートル内の空間をお前たちに適した環境に変えてもらったのだ」


「誰に?」


「先ほどの館長に頼んだ。それぐらいは博物館でもやることなので、たやすいことだ」

「うそ、」吐け、とは言えなかった。

 イチの目が真剣だ。クルミも黙って俺を見つめている。その瞳の深さに吸い込まれそうだった。


「どんな技術かは知らないけど、すげぇ大掛かりなことまでしてもらって…………でもよ。もしその外に出たら?」

「お前たちの体力では五分と持たないだろう」

「うっそぉぉぉぉ」

 急激に寒気立ち、サクラと供に二人して立ち上がった。


 極悪環境との境目がどこにあるのかは見た目ではよく解からない。でもこの空と海を見る限りイチの言うことが正しい気がした。ここに来たときから、尻がモゾモゾしていたのはこれだったんだ。あんな空と海はあり得ない。


「すげえんだ。イプシロン星人の科学力。こんなでっかい環境ドームをごく自然に作れるなんて……。あのハゲオヤジの博物館って有名なのか?」


「この数千年で銀河の中で五本の指に入るミュージアムにまで躍進した。すべての展示物が生きたまま保護されている」


「生きたままでか?」

「すごいね。テル。何千年も前からあるんだって」

「ああ。あのジイさん、おっとりしてたけど、すげえ人なのかも知れないな」


 世紀末的な暗重(くらおも)たい話から、超現実、超未来的な方向に逸れてきて、気分も軽くなって、ちゃっかりしてんぜ、俺。腹の虫がぐぅと鳴った。

 ガブリと七面鳥の股肉(ももにく)に喰らいつき、滲み出る肉汁の美味(うま)さに目を見張る。


「こりゃぁ~たまら~~~ん」

 と感嘆の声を星の見えない暗闇に向かって豪快にぶっ放す。


「……生きたまま?」

 一拍遅れて疑問符が噴き出した。サクラは感心が薄く、ひたすら鶏肉と奮闘中。

「生きたままって──。樹木や亀みたいに長寿の生き物ならまだしも、短いのはどんどん補充しなきゃ博物館として成り立たないだろ? どうやってんだ?」

 と言ってから自画自賛する。

「俺って聡明だなぁ。そんな先を見渡せる疑問を浮かべるんだぜ」

「いよっ。部長ぉぉ。頼もしいぃぃ~~」

 鶏モモのぶっとい骨で俺を指し示してはやし立てるサクラ。


 太鼓持ちか、お前。


「ま、こういうのをグローバル思考の持ち主っていうんだ。ニーナの野郎」

 まだ根に持つ俺って、超ローカルだな。


「ふふっ」

 イチは派手に鼻で笑いやがった。

「答えを出してから自慢しろ──」


 ぐぐっ。

 だよな…………。

「生きたまま数千年も展示を続けるって…………」

 黙考に沈むものの

「そうか。繁殖だな。生めよ増やせよの大騒動さ」


 クルミがニコリと微笑んで愛らしい口を開いた。

「亜空間保存です。そこですべての生物が生きたまま生活しています」

「亜空間って?」サクラが小首を捻り、

「時間の無い空間れぇぇす」

 幼けない口調で答えてくれたが、よけいに疑問があふれて困惑する。


「意味がワカラン。時間が無いのに空間があるのか? おかしな話だな」

 時間は空間を現すパラメータの一つでもあるんだ。それぐらいはアニメで散々やっている。


「宇宙には特殊な空間があるんだ」

 そうはっきりとイチに言い切られると、とりあえず信じるしかない。


「そこにいれば年をとらない」

 平淡な声で解説を始めたが、ひとまずそれはそうだとしておいてだ。


「それならば…………」

 初めから抱き続けた最も気なる質問を警戒されないようにさらりと提示する。

「拉致られた人類も展示されてんだ」

「人聞きの悪い言葉を使うな。バカ!」

 俺にとっては重要な案件だというのに、イチはそれを一蹴した。


「何がバカだ! 地球から捕まえて来て、それを展示してんだろ? そういうのを拉致るって言うんだよ!」

「そんなムチャなことをしたら星間倫理に反する」

 相手は宇宙人だろ。そんな道徳的観念を持ってんのかよ、とは言い辛い雰囲気だったので。


「じゃあ志願した人たちなのか?」


 意外にも、イチはそれに対しても否定した。そして信じられないことをのたまった。

「全員、地球からの避難民だ」


「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ───────────────!」」


 サクラも股肉を握ったまま息を詰めた。丸っこい眼ん玉をイチの精悍な面持ちに向け凝固。


「地球がこうなる前に避難した人々が、数千年掛けて再び安定した生活を取り戻した。そして過去の地球にいた生物を亜空間に保存。あるいはその星へ移住させる計画を始めた」


「じゃあ、あの館長は……」

「そうだ、移住計画のリーダーだ」

「それじゃあ。あの人は地球人じゃないか!」

 どうりで言葉が通じると思った、とかサクラは間抜けな感想を述べているが。

「藤吉も向こうで暮らすことになるのか……」


 何もなくなっちまった地上に、朝飯前でこんな空間を作れるぐらいなのだから、科学技術は21世紀をはるかに越えたはずだ。そんな世界に馴染んだ藤吉。もし今度会えるとしたら、俺より未来人となって登場するわけだ。


 ちょんまげ姿で、訳の分からない進んだ機械を操作する姿を想像してしまった。


「ふぅー」

 とんでもない話を打ち明けられて、一気に疲れが噴き出した。べたんと地面に腰を落とすと手のひらを炎に当てた。ジワジワと温かみが伝わって来る。焚き火を燃やし続ける大気も、俺が今呼吸する大気も、すべて人工の物だったというワケだ。


 ノアの方舟計画は本当に起きた。物語の中だけの世界ではない。想像を絶する過酷な旅だっただろうに。そんなことあの爺さんからは微塵も感じられなかった。それほど避難してから時間が過ぎたのだろうか。


「グローバルにもほどがあるぜ…………考えもつかなかった」

 これまでの一連の流れを色々と反芻していると、忘れかけていた疑問がまたもや湧きあがってきた。

 そう──時間との絡みだ。


「とても信じられない話だが……この空を見ていたら信じたくなるな」

 と切り出し、新たな疑問をぶつける。

「館長やニーナが言っていた、俺のおかげで次元がズレたって……あれってどういう意味だよ?」


「多元宇宙を理解するようだから説明はたやすい」

 と言うと、イチは白くて長い指を使って地面に一本の線を引いた。


「いいか。これが我々の進むタイムラインだと仮定する」

 急いでサクラはあらぬ方向へ顔を向けた。ガラケー女にはこの手の話しは最大の天敵なのだ。俺は興味があるので身を乗り出した。


 その線の右端に×印を描き、

「ここが今日だとすると、これは未来から見れば過去だ。正確に時間を割り出すことができるので、この時点へ飛ぶことはたやすい」

 よくある説明の仕方だ。カタチの無い時間を想像できない人種に行う時の常套手段だ。

 って!

「悪かったな。そんな人間で!」

 イチはキョトン顔。

「何を怒っている?」

 そっか。ここで怒ると、俺がアホウだと宣言したことになる。

「あ、いや。こっちサイドの問題さ。……で? そんなことができるのか?」


 イチは静かにうなずき。

「時間跳躍など簡単な理論で可能だ。方法はいくらでもある。お前らがまだ知らないだけだ」

 えらく自信満々じゃないか。お前、何様?

 怪訝に見遣る俺を無視してイチは説明を続けた。


「途中でお前はニーナに見惚れて歴史とは違う行動を起こした」

 ×印で終わる直線の真ん中で枝分かれを拵えて見せ、その先を×印に向かって平行線を描いた。


「どうだ。元の流れとは異なる場所にたどり着いただろう」

 なんだか騙されている気がするが……地面に書いた絵なんかどうにでもなるだろう。


「それが何だってんだよ?」

「お前のタイムラインが分岐したんだ。ニーナの登場で世界を二つにした」

「バカかお前。そんなことできるかよ。あんな簡単なことでコピーされたら、宇宙がいくらあっても足りなくなるだろう」


 イチはじっと俺の顔を見て、

「隣り合うバルク(Bulk・巨大空間)は決して混じらず無限に存在する。時間などそんなものだ。バブル(泡)の塊だ」


 出たー。難しい単語を並べたくって、俺を煙に巻く作戦だ──。


 この野郎。こうなったら、久しぶりに脳みそをフルに使ってやろうじゃないか。

「ようするに……館長が恐竜を受け取ると困るような歴史を持った別次元の同一体が×印にやってくる、という歴史があったけど、俺がカワイ子ちゃんにうつつをぬかしたせいで、」

 ちらりとサクラを見遣る。こいつのヘッドロックは痛いからな。

 サクラはクルミと談笑中だった。こっちの話しをまったく聞く様子はない。


 でも、ちょっとトーンを落として、

「ニーナのおかげで別の流れを作ったとしても、それだけの科学力を持った異時間同一体なんだから、結局は新たな×印の場所を計算してそこに飛んで来るだろ?」

 イチは、にやり的な薄気味悪い笑みを口の端に浮かべて、

「館長が言っていただろう。ニーナが時間を止めていたと」


「…………言ってた」


「進まない時間は見失う。つまり霧の中に消えたようになる。×印がどこに現れるか誰にも分からなくなる」

「そうか時間が止まっていたから、水を汲みに行った時間があんなに短くなったのか……なら山の中で道に迷っていた時間も、俺的には1時間ほどに感じていたが、実際はもっと短かったわけだ」

 イチは何も言わなかった。それは肯定したと取ってもいいのだろう。


 仕組みは解らないが、ニーナは時間を操ることができるんだ。


 時間を止めることができるなんて……。

「すげぇな」


 だが──、

 頭の中で一点の光が点った。イチはおかしなことを言った。

 危なく騙されるところだったぜ。

 やっぱ賢いな、俺って。


「時間が進まなきゃ意識だって止まる。だったらニーナ自体の存在が認識できない」

 どうだ。俺だってぼぉーっとアニメを見てねえぜ。


「カロマーの存在をお前は知らない。そいつがいればニーナが周りの空間だけを亜空間に閉じ込め、上手く実時間のタイムラインを操る」

「何んだよ、カロマーって。新しいスイーツか?」


「それはマカロンだ」

「よく知ってやがるな、って全然違うぜ」

 イチはニタリともせずに、

「時間操作の手助けをする、カロマ因子を持つ者のことをカロマ―と呼ぶ」

 カロマ因子?

 そう言えばニーナの口からそんな単語が出ていた。


「なるほど。それがクルミなのか……」

「違う!」

 澱みが澄みつつあった俺の心中を、イチが再び覆した。


「それはお前だ。テツが見つけてくれたのだ。よく考えてみろ、ニーナが現れるところには必ずお前がいるだろ」


「俺がカロマ因子を持つ?」

「宇宙でも稀有な存在だ。お前はスーパーヒーローだ」


 総毛立った。焚き火で暖かいはずなのに、両腕から鳥肌が広がって全身を覆った。


 やっぱ俺って他人とは少し違うと思っていたんだよな。

 今日まで何も感じていなかったが、少しは役に立っていたんだ。

 ほくそ笑みが浮かんで、自然と口元が緩むが、イチの無表情な視線に見透かされそうな気がして、きゅっと唇を閉じた。


「俺にそんな能力があったとは……俺って超能力者だったのか。そっか……明日から世界平和のために戦うんだな……。女の子にモテそうだな。うはは」

 変な妄想を駆り立てることにかけては人一倍の俺だ。ひたすら驀進していると、それへとイチが鼻息を吹っ掛けた。

「お前の存在自体は確かに希少だが、カロマーなどニーナがいなければクソの役にも立たん」

「んにゃろー」

 クソ呼ばわりまでしやがって、この忍者め。バカにバカ呼ばわれされるのが最も腹が立つんだ。


「サクラどのには黙っておけ。動揺されるとまずい。それがしの実体が不安定になる」

「大丈夫だ。あいつならどんなに懇切丁寧に説明したって、一行(いちぎょう)、いや一句だって理解できない」

 珍しくイチがにやりとした。ニヒルな笑みには違いないが、皮肉ではなくマジで笑い、憤然とする俺を無視して、焚き火に新しい薪を放り込んだ。


 ──とは言え、そんな弛緩した姿を見て内心安堵もする。超能力みたいなモノを貰ったところで、しょせん俺には何もできない。使いこなす頭も無ければ、度胸も無いからだ。


「あのさ~……」

 立ち上る煙に、焦点の合わない視線を彷徨わせ、ぼんやりとした質問をする。

「クルミが出すあの霧って、そういう意味も含まれてんのか?」

「我々が出現する時間域を特定されてはマズいからな。異時間同一体には味方になる者もいれば敵になる者もいる」


「館長はどっちなんだ?」

 イチの答えは意外にも、

「どうだろうな。まぁ利害関係だけは一致しているな」

 と漏らした後、俺の胃袋がひっくり返った。


「今回は成功したから……」


「なんっ!」

 なんちゅうことを言うんだ。それは前回失敗したと言いたいのか?

 今のセリフは俺の異時間同一体の存在をほのめかしている。パラレルワールドがマジであるというのか。じゃじゃあ。前回失敗した俺はどうなったんだろ。これは他人事ではない。そうさ次元が違ったって俺は俺だもんな。いや別次元なので、俺だと認識しなくていいのか。その俺とこの俺、どこが違ってんだろう。


 わぁぁぁ。待て。その俺の横にはサクラがいるのか?

 ま、待て待て……時間の分岐はこれだけではないだろ。となると俺もサクラも無限に存在することになる。


 合わせ鏡を覗いた時みたいに、ズラッと無限に並んだサクラの横顔が(まぶた)の裏に浮かんできて、立ち眩みを覚えた。


「そんなにたくさんのサクラ……手に負えん」

 力の抜け落ちた吐息をして、俺はサクラへ視線を滑らせた。


「なっ!」

 さらに激しい目まいが襲った。何なんだこいつら。


 サクラとクルミはジャンケンをして、勝ったほうが相手のほっぺたをつねる、というくだらない遊びに夢中になっていた。

「あひゃひゃひゃ。ひゃくらひゃぁ~ん。しゃへられない(喋られない)れすぅ」

「あははは。クルミちゃんのほっぺ柔らかぁ~い」


 二人の頬っぺたはとても柔らかそうで、俺もつねってみたかったが──そうするとまた時間が複雑に分岐して、俺とサクラのコピーができちまう。だからここは静かにしておこう。


「いゃっひゃひゃひゃ~。クルミちゃんの顔、おんもしろーい」

 焚き火の前では、おかしな顔の品評会がいつまでも繰り広げられていた。



「…………極楽脳天気のトンボ女め」


 文句の一つや二つぐらい垂れたって、宇宙は分岐しないだろう。

  

  

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