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 夕暮れになり、私は良くんと貴志くん、遥ちゃんの4人で帰りの電車に乗り込んだ。

 車内は同じ学校の生徒がチラホラといるぐらいで、私たちは貸しきり気分で開閉ドアの前に立ちダラダラとお喋りした。

「じゃあこのあと2人は映画館に行くのか。もう暗くなってきたけど、大丈夫なのか?」

 貴志くんはドアに寄っかかりながら、私と良くんに聞く。

「あぁ、貴志はこのまま帰るんだろ?」

「いや、それが俺もこれから遥と駅前のデパートでクレーンゲームをしに行くことになってんだよ。教室でぬいぐるみ取るって約束しちゃったからさ」

「はは、そうなんだ。仲いいなお前ら」

 良くんは遥ちゃんと貴志くんの顔を見て微笑ましい顔をする。

「貴志くん、今日は肩揉みご苦労さまでした」

 私がさり気なく部活の事に振れると、

「な、なな何で、そそ・・・そんな事知ってんだ!?」

 貴志くんは急に顔を赤くして後ずさりする。むぷぷ。全部見とったんじゃい。

 私にバレたのが恥ずかしかったのか、彼は良くんの顔を見て何かを思い出したようにわざとらしく「あ!」と声をもらす。

「そ、そうだ!そんなことより良!あの女はいったい何だよ!」

 話をそらすな話を。

「あの女って?」

「由美って女だよ。何であんなヒステリックなやつと親しくしてんだよ。あんなのがしょっちゅうクラスに来たらたまったもんじゃねぇよ。何とかしろよな」

 ガラッ!

 そのとき私たちが乗ってる車両の連結用の扉が開いた。私と遥ちゃん、貴志くんの3人はすぐにそちらを向く。

「・・・らしいんだよ」

「あはは、ウケるー」

 知らない生徒だ。2人の生徒は楽しそうに会話をしながら、私たちの横を通り過ぎて隣りの車両へ歩いていく。それを見て私はホッと溜息をつく。

「なんだ、由美ちゃんかと思った・・・」

 貴志くんも同じリアクションをとる。

「俺も・・・。はぁ・・・今日はドアが開くたびに肝を冷やしてばっかだ・・・」

「由美なら、もうとっくに早退したよ」

 と、良くん。それを聞いて貴志くんはポカンとする。

「え、早退?」

「うん。なんか気分が悪いとか言って。昼休みのあとすぐ」

「気分が悪い?はっ、いい気味だぜ。あんな奴そのまま学校に戻って来なけりゃいいんだよ」

「由美のことをあんまり悪く言わないでくれ」

 良くんに窘められ、貴志くんはムッとした表情をする。

「・・・良。何でお前はあいつの肩を持つんだよ。ひょっとしてあいつと一緒にいすぎて、お前まで気がおかしくなったんじゃないか?俺はあいつに思いっきり蹴られて足から血が出たんだぞ!そのあと遥が湿布してくれたからいいものの!」

 湿布は関係ないだろ。

「あいつさ、友達がいないんだよ。親もいつも帰りが遅いみたいで、学校から帰ったらいつも1人でご飯食べてるんだって。だから由美は家でも学校でもずっと1人なんだよ」

 ふん。あの性格じゃ友達がいないのは納得である。むしろ私の想像の範疇である。

「へぇ・・・そうなんだ、あいつ・・・」

 私とは対照的に貴志くんは同情の色を見せたが、まだどこか納得いかない様子だった。

 良くんは続ける。

「だから俺だけは、由美の気持ちを理解してあげたいんだ。我儘なやつだけどな」

 隣りで吊り革にぶら下がって遊んでいた遥ちゃんが、笑顔で会話に加わる。

「良くんは優しいね~。貴志くんも見習わなきゃダメだよ~。クレーンゲームばっかりしてないで~」

「クレーンゲームはお前が行きたいって言ったんだろ!」

「ホラすぐ怒る~。そういうところがダメなんだよ~」

「ぐぐ・・・」

 遥ちゃんにバカにされ、言い返せない貴志くんは悔しそうにする。

「とにかく!俺はあいつとはぜってぇ仲良くなんかしないからな!」

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