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その後、私と良くんは電車に乗り由美ちゃんを捜してみたが、車内のどこを見渡しても彼女の姿はすでにどこにも無かった。おそらく別の車両に移ったのだろう。

適当に空いてる席に座ると、良くんは申し訳なさそうに切り出した。

「ごめん京子ちゃん、やな思いさせちゃって。でも由美は本当はいい奴なんだよ」

あれのどこがいい奴なんだ。ありゃ鎖にでも繋いどく必要があるわい。

「そんな風には見えなかったけど・・・」

「まあ、俺もたまにあいつが何を考えてるのか分からないことがあるけどな。でもそういう人間ってたまにいるだろ?そういう奴なんだよ、由美は」

 良くんは由美ちゃんと仲がいいのか彼女のフォローをする。うーむ、しかし納得がいかん。

「あの子の目、私を嫌ってる感じだったわよ」

「それはきっと、まだ初対面だからだよ。もっと話せば京子ちゃんも由美とすぐ仲良くなれるよ」

 あんなのと仲良くなったら、それはそれで考えものである。どうして良くんは由美ちゃんを庇うのだろうか。

「ねえ、そもそも良くんは何であんな子と仲がいいの?もうちょっとまともな子と仲良くなればいいのに」

「あいつと俺、席が一緒だったんだよ。休み時間になっても由美のやつ、友達も作らず寂しそうにずっと1人で教科書読んでてさ。で、声をかけたってわけ」

 ふむ。あの性格じゃ誰も相手にしないのも頷ける。

「それで懐かれちゃったのね、由美ちゃんに。あの子あたしのこと知ってたみたいだけど、私のことは話したりしたの?」

 良くんはコクリとうなづく。

「初めから由美には言ってたよ、俺は京子ちゃんと毎日一緒に学校に通ってるって。そしたらしつこく聞かれたけどな、俺たちのこと」

「聞かれたってどんなことを?」

「えっと・・・2人は何時に登校してるのかとか、どれぐらい仲がいいのかとか、まあいろいろ。それからかな、俺にしつこくまとわりついてきたのは」

「まとわりつく?」

「ああ。どこ行くんでもついてくるんだよ、トイレ1つとっても。この前なんか部活の男子更衣室にまで入ってきてさ。あれには部員に白い目で見られて参っちゃったけどな。ま、さっきのはその延長だよ」

あやつ・・・まるでストーカーでござるな。

「今までそんなに悪いことをされたって訳じゃ無かったから、由美を特別責めるようなことはしなかったんだ。でもさっきのはさすがにやり過ぎだからな。あいつにはあとで注意しておくよ」

 私にとっては2度と口を利きたくない子でも、良くんにとっては由美という子は大事な友達なのだろう。まあ世の中には相性というものがあると言うし、一概に由美ちゃんの人格を否定するのはよくないのかもしれない。

 隣りに座ってる良くんは車内に貼ってある中吊り広告を見て、急に何かを思い出したような顔をする。

「そうだ!それより京子ちゃん、今日学校が終わったらさ、一緒に映画でも見に行かない?テレビのCMで宣伝してたけど、ゾンビ映画の最新作が出たんだよ」

「ゾンビ映画?」

「うん。しかもただのゾンビ映画じゃないんだよ。今までは走って襲ってくるのばっかりだっただろ?でも今回のはスキップしてくるんだって。聞いただけでもワクワクするでしょ?ね、行こうよ!」

 何なんだその映画は・・・と突っ込みたくなったが、良くんが目を輝かせているので言わないでおくのが武士の情けであろう。

「う、うんわかった・・・。た、楽しみにしてるね」


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