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 そういうわけで私たち4人は、今日は学校を早めに切り上げることにした。

 電車に乗り込み、昨日と同じようにドアの前で立ち話をする。遥ちゃんは話に参加する気がないのか、吊り革でブランブランさせて遊んでいる。あんな事があったあとなのに呑気なもんじゃい。

「あの由美って奴はいったい何者なんだ?何で俺たちを攻撃してくんだよ。あんなのがしょっちゅう学校に来たんじゃたまったもんじゃねえぞ」

 鼻にティッシュを詰めながら、貴志くんはイラだった顔をする。昨日は足を蹴られ、今日は顔面強打。明日はどうなることやら・・・。

「由美ちゃんは貴志くんたちを殺すつもりはないと思うわ。貴志くんたちは、たまたまあたしと一緒にいたから巻き添えになっただけよ。彼女はたぶん、あたしだけを狙ってるんだと思うの。由美ちゃんが嫌ってるのはあたしだから・・・」

 私がそう言うと彼は急に声が明るくなる。

「ふーん、由美ってやつは京子ちゃんを狙ってるだけなのか。そうか。まあ、それならいいんだけど」

 いいのか。少しはわしの身を案じてくれ。

 貴志くんは安心したのか急に話題を変えてくる。

「それより京子ちゃん、俺と遥は暇だからデパートにあるクレーンゲームで遊んでから帰るけど、2人はこの後どうすんだ?もう帰っちゃうのか?」

「え?貴志くんたち、またクレーンゲームしに行くの?」

「またって、今日が初めてだぜ?やりに行くのは」

 貴志くんが不思議そうな顔で私を見る。

 あ、そうだった。遥ちゃんも貴志くんも、昨日と同じ動きをしてるんだった。ついそのことを忘れてしまう。

「京子ちゃんも暇だったら俺たちと一緒に遊んでいくか?」

 貴志くんが誘うと、隣りにいるダウンロード型ヒューマノイドが私のことを肘でつつく。

「なに?」

「映画館に寄ってもらえるか」

「映画館?どうして?」

「朝に京子ちゃんが言ってたこと、山田悪夫という奴が何者で、どこから来たのかを調べてみたい。俺が行けば何かわかるかもしれない」

 ふむ。それは私も気になっていたことだ。

 森で追いかけていたあいつが、どうしてあんな場所に現れたのかはずっと疑問に思ってた。まるで私のことをずっと付けていたようだったし。

 映画館、これは1度は調べておかねばなるまい。

「うん、わかった。あたしもそのことは気になってたの」

 私は映画館へ行くことを了承し、貴志くんの方に向き直る。

「ということで貴志くん。あたしたちはちょっと見ておきたいところがあるから、クレーンゲームは遠慮しておくわ」

 貴志くんは残念そうな顔をする。

「ふーん、そっか・・・。理由はよく分からないけど、いろいろ大変なんだな京子ちゃんも。じゃあ機会があったら今度はみんなで遊びに行こうな」

 ガラッ。

 向こうで電車の連結扉が開く音が聞こえる。

 由美ちゃんが現れたのかと思い、ゾクッとした貴志くんと遥ちゃんと私は瞬時にそちらに振り向く。

「・・・らしいんだよ」

「あはは、ウケるー」

 昨日と同じ、知らない生徒である。しかもセリフもまったく同じ。この子たちもやっぱり、プログラムの通り動いていたのか。それにしても何がそんなにウケるんだ、あんたら。

「ふぅ・・・あの由美とかいうバケモノが来たのかと思ったぜ・・・」

 貴志くんがホッとする。

「由美の気配は近くに感じない。安心しろ」

 腕を組みながら、ダウンロード型ヒューマノイドは冷静な様子で構えている。

「そんな事もわかんのか?」

 貴志くんが聞くと彼は無言のまま頷く。

「へー、すごいな」

 貴志くんは尊敬の眼差しで彼の顔を見ている。

 そんなことを話してると、目的の駅に到着した。

「あ、着いたよ~。映画館の駅~」

「あ、うん。じゃあ降りよっか」

「ああ」

 ドアが開いたので私とダウンロード型ヒューマノイドは降りる。

 電車の中から貴志くんが手を振る。

「じゃあな2人とも。また明日学校で会おうな」

 遥ちゃんは吊り革で遊びながらこっちを見る。

「京子ちゃんバイバ~イ。またお菓子持ってきてね~♪」

 ぐっ・・・。別れ際にちゃんと釘を刺しておくとは。なかなか抜け目の無いお子様である。

「う、うん、またね2人とも」

 苦笑いをしながら私は手を振り、貴志くんと遥ちゃんを乗せた電車が遠ざかるのを見送った。


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