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 しばらくして電車は山に囲まれた小さな駅に停まる。学校へはここから歩いてすぐだ。私たちは他の学生に混じって電車を降り、自動改札口まで歩く。

 定期券を使って改札口を抜けると、後方でぶつかる音が聞こえた。

「・・・何の音?」

 うしろを振り返ると、相方のダウンロード型ヒューマノイドが改札口で引っかかっていた。

「そっか、あなた定期持ってないのよね。どうしよっか?」

「俺にそんなものは必要ない」

 彼が開閉扉に手をかざすと手の平から青い光が放射され、扉はいとも簡単にパカッと開いた。

「便利な能力ねそれ」

 何となく悔しい。私もその能力が欲しいわい。

 2人で一緒に駅を出ると、ダウンロード型ヒューマノイドは急に立ち止まる。

「どうしたの・・・って、ん!?」

 相方の方を見ると、体がどんどん薄らいでいく。

「ちょ、ちょっと!体が消えかかってるわよ!?」

 彼は驚いた様子もなく、冷静に自分の体を見つめる。

「おそらく、ダウンロードする時間に限界が来たんだろう」

「え!時間制限なんてあるの!?」

「みたいだな。どうやら俺は、この世界に長く滞在することはできない仕組みになっているようだ」

「そうなんだ・・・。なーんだ。もうちょっと一緒にいてほしかったのに」

「心配するな。京子ちゃんの想念が良に届く限り、俺は何度でもこの世界に来ることができるんだ。きっとまたすぐに会えるはずだ」

「そう、よかった」

「何かあったら、良のことを念じてみろ。そうすればまた俺を呼び出す事ができるはずだ」

「うん、わかった!」

 私の安心した顔を見るとダウンロード型ヒューマノイドは笑顔を見せ、空を見上げて目を閉じた。

「良の想いが弱くなるのを感じる・・・」

 そうつぶやくと、彼は目の前からフッと消えてしまった。

 うーむ、時間が経つと彼は消えちゃうのか。ロウソクみたいなやつだな。

 そっか。良くん、まだ私のこと心配してくれてたんだ。離れ離れになっちゃったけど、何だか彼とまだ繋がってるような気がする。

 よし。何かあったらまた彼を呼び出そう。うん、そうしよう。

 ダウンロード型ヒューマノイドと別れたあと、学校までの歩道を1人テクテク歩く。

 ・・・ところで思うんだが、ここが電子世界という作り物の世界であるなら、マジメに学校に通う必要が果たしてあるんだろうか。でも私にとっては、この電子世界が現実なんだから仕方ないか。何だかややこしい話である。

 それにしても由美ちゃんはどこに行ったんだろ。たしか彼女、良くんと同じクラスだったよな。今日はもう学校には来ないんだろうか。

 そっか。あんなボールみたいな姿になっては、学校なんて来れるわけないか。もし来たら体育祭の大玉ころがしに使えそうだったんだけど。ぷぷ。でもサイズ的にちょっと小っちゃすぎるか。

 そんな妄想遊びをしながら、正門、下駄箱、渡り廊下を通り抜けて廊下の奥にある自分の教室にたどり着き、窓際の1番うしろの席に座る。

 チャイムが鳴るといつもの退屈な授業が始まり、黒板の前で教師が教科書を読み進める。窓の外はいつものポカポカ陽気。

「ふわぁあああ・・・。何かいろいろあって疲れちゃった。・・・寝よ」

 私は昨日と同じように教科書を立てて顔を隠し、授業中にこっそり眠ることにした。

「・・・くかー」

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