表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

11

 映画館『シアタースピリット』は道路沿いにあった。

 私たちはさっそくフロントでポップコーンとジュースを買って、映画のやっている上映室の中に入る。中は平日もあってか結構空いており、どこでも好きな席に座れたので私と良くんは真ん中の通路側の席に座った。

 ポップコーンをモグモグさせながら、私はさっそくスキップをしながら襲って来るという良くんいち押しのゾンビ映画『ホップ!ステップ!ゾンビ!4時間スペシャル』を見ることにした。さーてどんな内容かな、っておいおい・・・。4時間もあるんかい、コレ。

 照明が暗くなり、上映が開始する。

『チェーンソーを持って来い!こいつらまとめてぶった切ってやる!』

『それどころじゃない!腕が!腕が!ぎゃぁあぁああぁああああ!』

 セリフと共に画面が大量の血しぶきで真っ赤に染まる。

 目の前で上映されてるのは、農村に大量のゾンビが迫り来るスプラッターもので、主人公の農夫は返り血を浴びながら、スキップをしながら襲ってくるゾンビを必死に駆除している。

 良くんを見てみると、彼はもうスクリーンに釘付けである。

『くそ!このガソリンに引火させて全部焼き払ってやる!』

『待ってくれ!ゾンビに噛まれて感染しちまった!先に俺を焼いてくれぇえぇええええ!』

 絶叫しながら農夫の1人が火炎に包まれていく。

 はぁ・・・何でこんな映画にしたんだろうな良くん・・・。もうちょっといい映画があったろうに・・・。

 そのとき私のお腹がグルルルっ!と鳴り出す。

 昼に食べたお弁当が下りてきたようである。しゃあない、気分転換にトイレで一丁ハッスルしてくるか。

「良くんごめん、ちょっとトイレに行ってくるね」

 映画を見ていた良くんはこっちに目を向ける。

「え?あぁ、うん。京子ちゃんトイレの場所わかる?途中まで一緒に付いてってあげようか?」

 良くんのこの言葉で、嫌な気分が一気に晴れた気がした。

「ふふ。ありがとね良くん。でも朝も言ったでしょ?もう16歳だって。子供じゃないんだから大丈夫よ」

『子供が!俺の子供がやつらのエサに!』

『それよりも足が!足が!ぎゃぁあああああああああ!』

 スクリーンから農夫の哀れな断末魔が聞こえてくる。

 いい加減にしろお前ら・・・。足が!じゃねぇ・・・。

 スクリーンの俳優どもにキレつつ私は席を外す。上映室を出てフロントのあるホールをグルッと見渡す。

「トイレトイレ・・・と」

 上を見ると『トイレ➡』の看板がある。お、向こうか。不慣れな映画館の道案内、かたじけない。看板に深々と礼をし、矢印の方へ歩いていく。すると細い廊下の先に女の子のマークがあった。

「あそこですな。本能を解き放つ場所は」

 私はテクテクとそっちの方に歩いていく。

 しかし人がいないなこの廊下。みんなあの映画に夢中なんだろうか。お、自販機だ。あとで良くんに何か買ってもらおかな。炭酸系がいいな。よく振って貴志くんの顔の前で開けよう。

 そのまま廊下を進んでいくと、女子トイレに着いた。ドアを開けて入ると中は綺麗に清掃されており、わりと広い。ふむ・・・。これはなかなか、踏ん張りがいがありそうじゃな。

 さてどこに入るか。奥にするかの。気配を殺すにはあそこが一番であろう。

 ガチャ。

 うしろの方で入り口のドアが開く音が聞こえた。誰か入ってきたようである。

 ほほう、同志よ。おぬしもここで踏ん張る気か?出すからには、それなりに溜めてきたんであろうな?

 誰が入ってきたかチラッと見てみる。

 そこには死んだ人間のような、生気のない土色の顔の男が立っていた。

 え・・・?まさか・・・ゾンビ・・・?

 良くんとさっきまで見ていた映画と一瞬ダブってしまった。

 片目はえぐれ、耳は異様に長く、全身つぎはぎのような跡・・・。死人のような顔をしてるが、人間の顔ともいえない。何者だろうか・・・?

「あ、あの・・・ここ女性用のトイレなんですけど・・・」

 ここから出て行ってもらうよう、やんわりと告げる。

 だが私の警告を無視してこの不気味な男は、何やら見たことも無い武器を取り出した。それは刃物でもなく、銃でもない。警棒のようである。よく見るとその警棒は、先端から赤色のぼんやりした光を放っている。

 スタンガンだろうか・・・?見たことのない武器・・・。

「!」

 いや、これは・・・この男は・・・!

 そう思った矢先、この得体の知れない人物は武器を突き刺すようにして、いきなり突進してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ