来る朝
「んんー」重い、重たい。ふかふかの私のキングサイズのベッド。なにこれ、金縛り?と思い目を開く。
あー、そうか。そうだったね、黒猫がそこにはいた。いや、正解には黒猫くんもとい黒音くんでしたね。なに、人を抱き枕にしてくれてるわけですか?あれほど言ったよねぇ?このラインからはみ出たら追い出すって!
私のベッドに入り込んできた彼に告げたのだ、なにより男女だ。うん、これでも私女の子だしね!
「……っしょ、と。はうー」
漸く黒音くんの腕から這い出ると、一息つく。「朝から疲れた」
キッチンで軽く朝食を作ると、寝室へ向かう。まだ、「寝てる……黒音くん、黒音くん!」
「んん…」身じろぎした彼にここぞとばかりに揺する。「んっ」手を掴まれグイッと引っ張られる。というか引きずり込まれる。「ちょ、黒音くん!起きて!」
そのまま、仰向けになった彼の上に寝そべり私は抱き枕と化す。「……あのぉ、苦しいんですが。それと、学校ありますよー」
「………やだ」「…………」起きてらっしゃる。目はぱっちりと開いてるし本当に嫌そうな顔を私に向けた。ねえ、君がさぼるのはどうでもいいけど、私は行きますから。
「…ごはん、食べる」のそのそ、ホールドされた腕から抜け出す為に後退。しかし、しっかりと抱き込まれた。
「あの、黒音くん……?」「………やだ、寝る」一段と抱きこまれ寝る体制に入りだす。「もぉー学校いくの!」
根性で抜け出し、ごはんを口に運ぶ。目の前には、しぶしぶ起きてきた黒音孤麻。もそもそ食べるその姿は本当に小動物みたいだ。…萌。じゃなくて、早く学校行く支度しないと。
「黒音くん、起きたってことは学校行くよね?」
昨日ずぶ濡れだった制服はキチンと洗い乾燥機にかけた。因みに自分の分もした。一着も二着も変わらないので、ささっと終わらせた。
「……乾いてる」
*****
色んな攻防のすえに、漸く学校へと辿り着いた。後ろ、約3メートルに彼はフラフラしながら歩いていて危なっかしいったらありゃしない。ゲームしながらの登校なんて、危ないからやめさせようと心に決めた。
「…雹子、なんか窶れてる?」ぺちりと、両頬を早希に挟まれた。「しゃき~」「ぷっ、可愛いねぇ雹子は」「いったいよ、早希!」
「なんで、窶れてるのかなぁー」それは、うん…朝から疲れたからだよ、早希。起こすのに疲れたのだ。その次に、また寝ようとした彼を引っ張り出してガチャリと鍵をしめて家を出てからもハラハラしちゃって、でも周りに見られたら私の学校生活オワタだよ。
なんて、いくら早希でもいえないので「…寝れなかったの!」「まあ、今日はしっかり寝なさいねぇ」
姉御肌今日も健在ね、早希。
明くる朝は、ゆっくりとしてやる!
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