黒猫と同居してます
私の家には、黒猫がいる。10階建てマンションの5階にある私の家で私と黒猫は生活してる。
「さてと、早く帰ろう」
きっと、黒猫が待ってるから。
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私の名前は、白井雹。現在高校一年生でアルバイト先は喫茶店です。猫っ毛な茶色っぽいショートヘアの私の髪はあまり好きじゃない。けれど、友人からしたらふわふわで可愛いらしい、少し不満。真っ黒なサラサラストレートが憧れだから。
目はたれ目で眠かったりしたら困ってる?ってよく聞かれる。身長は、160センチで意外と高いんだってよく言われる。それほど高くないと思うけど。
そんな私は、あまり恋愛に興味がないから勿体ないと言われる。可愛いのに、って私可愛いのか?ナルシストでもないし分からない。一般的に普通の部類だと思うけど。
「雹子ー、ぼやっとしてる?」
私は、よく雹ちゃんや雹子と呼ばれる。たまに、シロヒョウとか。クロヒョウの方がかっこいいよね?
「んー、眠くなってきたー」
「ナニしてるのやらー」
意味深に言うので、「黒猫が…」
「黒猫くん?」と反応した友人こと早希。
「なわけ、ないよねー。雹子、猫飼ってたの?」
「飼って…うん、とも言うかな?最近ね、ほんと最近」頭に疑問符を浮かべただろう早希は放っておく。
「黒猫、で思いだした。」なにが?と返す前に早希は口を開く。「今日もかっこいい!って、となりのよっちゃんが言ってた」となりのクラスの早希の友達、よっちゃんはミーハーである。アイドルの追っかけしてるらしい、よっちゃん。「ふぅーん」
「あの黒髪触りたいって、鼻息荒くして語ってたのにはドン引きしたわ」
黒髪、ちょっと羨ましいと思う。今現在の話題の人へ目を移す。そこには、長い前髪に顔を隠し1人ゲームにいそしむ男子生徒。長い前髪と横顔も後ろも同じくらいの長さの黒髪はサラサラそうで天使の輪さえある。その前髪の奥には端正な顔が隠れてる。猫目でその端正な顔はいつも無。身長は170センチで結構高いが猫背。基本、ゲームに勤しむゲーマーだがモテるのは顔か。
彼は、人の視線が苦手、と言うより嫌いらしい。
そんな彼の名前は、黒音孤麻。私と同じクラスの同級生。彼のあだ名は黒猫である。
ジッと見てたのがバレたらしい、ちらりと視線をこちらへ向けてきた。私は自然を装い視線を外した。
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「ただいま」返事などかえってくるはずもないのに、何気なく言う。帰ってきた!って感じがすればいいわけだよ。私のすむマンションは1人暮らしにしては相当広い。なにせ、5階は私の家だから。だから、私の階に降りるのは私と知り合いくらいだ。このフロアは、私しか住んでいないのだから。
そんな家を高校一年生の分際でと思うだろう。私の両親は今現在海外出張中で私は1人日本へ残った。両親は心配だからと一緒に行くつもりだったが断固拒否した。よって、打開策はこのマンション。防犯システムが完璧なここ、そして何よりも学校に近いこともあってここに住むようになったのは中学2年生の春から。そしてそんな私は最近、猫と住むようになった。これは、両親には言っていない。バレたら、どうなるのだろうか。
うん、考えないほうが身のためかな?
リビングへと続く戸を開ける、「ただいま」また告げる。「…おかえり」今度は返事が返ってきた。そこには、黒毛の猫ではなく、黒髪の同級生…黒音孤麻。
「おなかすいた…」ゲーム片手にこちらへ視線を向けてきた「うん、そうだね。ごはん今から」作るね。そういう前に、キッチンからは美味しそうな匂いがしているのに気が付く。「カレー?」「うん、作った。……疲れてるデショ?」首を傾げ、言う彼は本当に猫のようで萌!って思ってしまう。きっと、他の子たちはあまり見たことないのだろうが私は最近、よく見るのは特権だろうか?
一応、私が養ってると言ってもいいかもしれないし。
そう、私の家には黒猫、もとい黒音孤麻がいる。
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