花びらとホームレス
憂うつさをとおりこして、感じることも鈍くなった朝
いつものように支度をして、いつもどおり遅刻ぎみにチャリにまたがり家を出る
今年も春のはじまりはいつのまにかにやってきて
近所の公園の桜は葉桜となり春の始まりの終盤をかんじさせる
ひらひら舞うピンクの花びらの奥に、微動だにせずそれを見つめる薄汚れた服の男
公園の入り口のまんなかで、肩をたらしてただ花びら舞う、葉まじりの桜をみつめている
微笑むでも悲しむでもない汲み取れない表情をうかべたホームレスのような男
また今年も、春が始まる合図をかんじたのだろうか
だれにでも平等にやってきてしまうあたらしいもの
新しいはずなのに、同じ日々が続こうとしているあせりと虚しさ
あの表情があたまにこびついて離れない。おとといの出来事
あの男は食えているのだろうか、家はあるのか、寒くはないか
赤の他人の心配をするなら、じぶんの生活のわだかまりをやわらげたい
そんな簡単にマッサージできれば、すなおに笑うじぶんになるのも簡単だろう
あの目が全てを代弁しているようで、どうしようもなく頭に残る
ずいぶんと勝手なことをいっている。表情だけでわかりきれるわけない。ただの戯言
数日もしないうちに、公園は新緑にそまる
同じ道を走り、毎日同じようでそうじゃない景色を通り過ぎる
春が始まった




