赤
なんだろう。この気持ちは。
――僕のせいなのか? 。
わからない。何もわからない。
目の前には人が倒れている。それでもわからない。
周りは鉄を舐めた時のような匂いで満ちている。
それでも分からない。なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ?。
疑問が頭の中で木霊する。
その倒れている体から溢れ出る液体は降りしきる雨と混ざり合い、アスファルトにへばりつくようにドブ川へと流れていく。赤、朱、紅、緋、赤、緋、紅、朱、赤、朱、紅、緋、赤、つまり、赤。
どうして倒れている? 僕は知らない。知らない、知らない、知らない。
でも、一つだけ分かることがある、それは僕の手に握られたものは、傘ではなく、真っ赤に染まった、出刃包丁だったということだ。