執筆環境について。
私は小説を書くことが好きです。言葉を使って、一つの物語を完成させるということが、大好きです。
しかし、具体的に小説を書くということはどういう作業なのでしょうか。思考したものをそのまま自動筆記のように書いていければいいのですが、2016年現在の技術では、執筆作業の全てを自動化するのは難しいです。
そこで今回は、執筆環境というものを切り口に、小説というものを語っていきたいと思います。
パソコン(パーソナルコンピュータ)
小説家は、小説を書くための環境、道具を持っています。かつては原稿用紙や方眼紙に向かって黒魔術めいたことをやっていましたが、時代はタイプライター、ワードプロセッサーと進み、いまやパソコン(ここではWindowsPCもしくはMacのことを指す)を使っているということは小説家の大前提でしょう。
何も無いところからパソコンを準備するとなると、ちょっと高い買い物ではあります。でもまあ、キーボードに向かうというのは、良くも悪くも今の時代の特権かもしれませんね。気の早い小説家はもうスマートフォンで文章を書いているでしょうから。
OS(オペレーションシステム)
OSは、軽く、作業中に勝手に落ちないことが絶対の条件です。昔のWindowsはこの条件すら満たしておらず、よくブルースクリーンで執筆中の小説が消し飛んだりして最低でした。クソックソッ。いまWindowsPCを買うのであれば、OSとしては2世代前のWindows7か、現行のWindows10あたりがおすすめです。
MacはUnixベースになりましたから、まあそうそう落ちることは無いでしょう。しかし、Windowsしか触ったことが無い人にとっては、少々扱いが難しいOSではあります。
メモリ
メモリのサイズは作業するテーブルの広さみたいなもので、とても重要です。予算が許す限り、たくさん積みましょう。調べ物用のブラウザなど、大量のウィンドウやタブを開いて作業するときなどに威力を発揮します。
日本語入力ソフト
Windowsだと「MS-IME」や「Google日本語入力」、「ATOK」。Macだと「ことえり」やその後継である「日本語入力」などが有名です。
Windowsに始めから入っているMS-IMEしか試したことがないという方は多いと思います。比較するためにGoogle日本語入力も一度はインストールしてみると良いでしょう。タダですし。少しお金をかけてもいいという方はATOKもおすすめです。
最近のMacだと初めから入っている日本語入力がちょっと使いづらい初期設定になっているので注意です。
まず、入力と変換の処理が重いのはダメです。軽くないと思考をそのまま書き下せません、ですからライブ変換とか、予測変換とか、そういう無駄な機能は全てOFFにしてください。
作者はMacを試しに買ってみたのですが、ライブ変換とか予測変換とかをオフにするのにだいぶ手こずりました。こんな初期設定にしたやつは針串刺しの刑に処されたあとそのまま火あぶりの刑にされればいいと思います。
さて、無駄な機能をオフにしたあとは、小説を書くのに必要な設定をしていきます。「……」や「――」などの小説には欠かせない記号を辞書に登録したり、あるいはMacなら、それらをダイレクトに入力できるキーボードショートカット(Option+;やダッシュ※)などを覚えたりするわけです。
※Macの日本語入力だとダッシュを入力するのが難しいようです。
テキストエディタ
テキストエディタというソフトウェアは、パソコンで小説を書くのに必要になるソフトウェアです。というか、このソフトウェアのためにパソコンを買うわけですから、下手なテキストエディタを選んでは本末転倒ですよね。
理想的には、作者の思考を、手足のように文章にすることができなければ、エディタとしては失格です。
Windows
・小説家になろうのブラウザに直接小説を書く
ダメです。危険すぎます。ブラウザがクラッシュしたら書いていた小説が全て消し飛びます。やってはいけません。
・メモ帳、別名Notepad
ダメです。機能が貧弱すぎて小説家がメモ帳を使うのは基本的に勧められません。気分転換のためならいいかもしれません。
・Word(Microsoft Office製品)
あなたがプロの小説家としてデビューしたくて、どうしても編集者にdocファイルを渡さないといけない場合を除いて、選択肢としてはあまりオススメしません。それにWordはよく固まり、落ちます。小説が消える悲しみを味わいたくないのであれば、別のエディタを使うべきです。
・サクラエディタ
私がWindowsユーザにオススメするのは、サクラエディタです。少し設定すれば、タブエディタとしての最低限の機能は保証されます。また、設定したフォルダに日時付きでバックアップを残しておくことができるので、必ず設定しておきましょう。この設定をちゃんとやっておけば、後で泣くことが減るでしょう。
・AUTLA あうとら
アウトラインエディタというものに興味はありますか? 自分が第何章の第何話を書いていて、物語の分量がどういう風になっているか、可視化できたら便利だなあと思ったことは? そんなあなたにオススメするのがAUTLA(あうとら)です。サクラエディタと比べて、自分に向いていると思ったほうを使うといいでしょう。
Mac
長くなるので、Macでのソフトウェアのインストール方法は割愛します。
・CotEditor
いろんなファイル形式に対応したエディタです。とはいえ、普通の小説家はtxtファイルしか使わないと思います。少し機能は貧弱ですが、安定しているエディタなのでここに挙げておきます。
・Sublime Text
プラグインでの拡張性に優れ、アウトラインエディタとして使うこともできるテキストエディタです。CotEditorで物足りなくなったら使ってみるといいでしょう。まず日本語化とアウトライン表示のプラグインを入れるのがいいと思います。
・catコマンド
cat > 新しい小説.txt
あなたは神か、あるいは頭がおかしいかのどちらかです。catコマンドは明らかに小説を書くツールではないです。にも関わらず問題なく長編小説を書き上げてしまったなら、おめでとう、あなたが神です。
・Vi、Vim
このエディタを使う人は変態その1です。もしあなたがプログラマだったとしたら、まあ少しは理解できなくもありませんが、仕事と趣味(小説書き)は別にしたほうがいいような気もします。
特徴としては、コマンドモードと編集モードがあり、交互に切り替えて小説を書くことができます。って、今時そんな面倒なことをしないといけないエディタはViくらいですけどね。
・Emacs
このエディタを使う人は変態その2です。もしあなたがプログラマだったとしたら、まあ少しは理解できなくもありませんが、仕事と趣味(小説書き)は別にしたほうがいいような気もします。(二度目)
特徴としては、elispというプログラミング言語で書かれており、設定ファイルを(プログラミング言語で)書くことで思う存分カスタマイズすることができます。
なおこの「執筆環境について。」は実験的にEmacsで書かれました。さすがは作者です。変態ですね!
さて、いかがだったでしょうか。執筆環境の良さは、小説の良さにつながります。あなただけの素敵な執筆環境を用意して、良い小説をたくさん書いてみてください。それではまた!




