プロットの使い方。
さて小説において死ぬほど重要なのが、タイトルです。タイトルについては以前の項目、書き始める編「タイトルを決める。」を参考にしてください。まず友人に相談しましょう。よっぽどセンスのあるタイトルでないと、誰も読んでくれません。
また、これまでに出したアイデアを組み合わせて、あらすじを作成していきます。
映画観賞で培った、物語を短く簡単に表現する「あらすじ化能力」を駆使して、数千字程度の長いあらすじを、起承転結へと、一行コンセプトと呼ばれる極力短い文章へと変換しましょう。小説公開にあたって必要なのが、あおり文句の作成です。
例)国王フェリスは、母の情報を得るため、王宮を出ることを決意する。立ち塞がるのは、女暗殺者ライカと兵士たち。フェリスは仲間となったライカと共に困難を乗り越え――
また、物語を長く詳細に表現する「小説化能力」を駆使して、プロットを具体的なシーンに区切り、文章に書き起こしていきましょう。気に入らないシーンだからといって削除したりせずに、書き起こした内容はなるべく保存しておきましょう。部分的に、あとで使い回せるかもしれません。
再度、プロットの雛型の確認です。テキストエディタにコピペして使ってください。
・タイトル
・あらすじ
・ジャンル
・テーマ
・アイデア
・シーン
・台詞
・キャラクター設定……見た目、所属、各種能力、動機
・背景設定
・トリック、推理……これはミステリの場合に必要です
プロットは、小説を書く際に、たびたび見返すようにして使います。特に何らかのシーンが上手く書けない時などに、プロットはかなり大きな指針になります。
しかし「綺麗な」プロットというものに拘ってはいけません。多くのプロットは、おおむね泥臭く、ぐちゃぐちゃしています。考えられる限りのアイデアを出し尽くした結果なのですから、それは当然です。完璧なプロットなどといったものは存在しない。完璧な小説が存在しないようにね。と、無意味に村上春樹っぽく言ってみます。
作品の本文を書いているうちに新しいネタを思いつき、どうしても採用したくなって、矛盾が出ない範囲でプロットを修正したくなることもあります。筆が止まってしまい、プロットに従ってシーンを淡々と書き進めざるを得ないこともあります。プロットはあくまで計画です。計画がうまくいかないときは、再計画(プロットの変更)を恐れずに行いましょう。
書くにあたっては、できれば起承転結の中にさらに起承転結を入れ子にしたり、山あり谷ありの緩急を付けた描写、戦闘シーンと日常シーンの書き分けなどを心がけたいですね。
一人称や三人称単視点に満足できず、登場人物の視点をコロコロ変えて同じ内容を書く……いわゆる「side使い」になりたいという欲望も出てくるかもしれません。
ですが、あまり技巧をこらして「上手く書こう」とは思わないほうが良いです。読者が見たいのは小手先の技巧ではなく文章の内容だからです。
「自分では上手く書けた」「これは最高傑作だ」という自信を持つのは、多くの場合錯覚です。もっと上手く書ける人は大勢います。数週間おいて、頭を冷やして読み直してみると、まだだいぶ向上の余地があることが分かってきます。自信満々の技巧が滑っていると指摘されるかもしれません。
自信を持つのはかまいませんが、そこで思考停止してしまってはいけません。逆にすっかり自信を無くしてしまい、作品を捨ててしまうのもよくありません。ひとまず書き上げましょう。
書き続けていれば、筆力は自然と向上していきます。
驚くようなアイデア、魅力的なシーン、かっこいい台詞――プロットを作って使うことは、きっと創作の助けになるはずです。
あなたの次回作のために、または執筆中の作品のために、このエッセイのプロットの作り方編が僅かでも参考になれば幸いです。




