マグタイトクロニクル2について。
どうも青い鴉です。マグタイトサーガの続編(コードネーム:フライハイ)か、はいこちら旧冒険者ギルドの続編(イーグランド遠征)を書こうと思っていたのですが、3月ごろ少し仕事が入ったので放置していたら、見事に書けなくなっていました。
領空侵犯にせよ領海侵犯にせよ、国境を超えた進入という点でこの二つのテーマは似ています。では、国境を越えたときに何が起こるのかな? と考え始めると、出不精な私には想像もできないようなトラブルの連続があるのだろうな、と。リアリティについて考え始めると全く筆が進まなくなるのはお約束です。
しょうがないので気分転換に映画などを何度か見に行った結果、マグタイトクロニクルに続編があってもいいのではないか、いいかげんフェリス国王陛下を主人公にしてもいいのではないかと思い立ち、今回の「マグタイトクロニクル2」となりました。
で、そもそも前作であるマグタイトクロニクルを知らない方もいるだろう。ぜひ知ってもらいたい。ということで、マグタイトサーガの末尾のほうに転載・追記する形になりました。
今回苦労したのは、まず続編であること、次に文字数の壁です。順に見ていきましょう。
まず、続編ですから、過去の設定を踏襲する必要があります。マグタイトクロニクルとマグタイトサーガに共通する背景設定およびキャラクターを一度全部洗い出し、矛盾しないように書かないといけません。王女ナターシャと鉱夫ゴーシュ。マグタイト戦争とナターシャ条約。勇者コータの登場と活躍。黒の魔王の撃破。それから約10年後、世界はどう変わったのでしょうか。あるいは、どう変わっていないのでしょうか。
あまり登場人物が増えすぎるのも考え物です。国王フェリスを主人公とすると、絶対に外せないのが鉱夫ゴーシュと王女ナターシャです。過去のキャラで流用できそうな奴、たとえば勇者コータ、貴族フラーウム、貴族フレイズマル卿なんかはそのまま使えます。
その一方で、使えないキャラもいます。ファフニール卿、オッテル卿、レギン卿は高齢のため十年後には死ぬか引退してしまっているでしょう。傭兵のヴォルフガングは芸術家としての道を歩み始めました。元魔法使いアーサーと盗賊のエフトは色々あって結婚してしまっています。
マグタイトクロニクル2の話の軸は、十歳を迎え、不老不死の白い魔法使いから真実(マグタイトクロニクルを参照)を聞かされた国王フェリスの暗殺計画が持ち上がることから始まります。すると登場人物として暗殺者が必要そうです。次に、鉱夫ゴーシュの行動を妨害するキャラクターも要るでしょう。
さて、この暗殺劇の黒幕は必要でしょうか? 探し出して天誅を与えるべきでしょうか? これはキャラクターの名前と設定も決めたのですが、考えた末、要らないという結論になりました。
プロットを練る際には、この「誰でも分かる!小説の書き方入門」を何度か自分で読み返しました。案の定タイトルと内容が決まっているのに書き出せない、という症状に見舞われたので、あらすじから作っていきました。
一行コンセプトはこんな感じです。
「若き国王は父と出会い、今は亡き母の情報を得る」
これだけだと、ちょっとよく分からないですね。
ネタバレになりますが起承転結に分割すると、こんな風になります。
起 若き国王フェリスはお忍びで出かけたところを、女暗殺者ライカに狙われる。
承 だが、ライカはフェリスに一目惚れしてしまう。
転 フェリスを連れて逃げるライカ。鉱夫たちとの合流と銃撃戦。
結 若き国王は父と出会い、今は亡き母の情報を得る。
やや結が弱い感じですが、まあいいでしょう。
で、これをベースにどんどんアイデアを書いていき、プロットを作りました。一見不要と思えるアイデアや台詞、シーンも書き留めていったので、一万字の作品に対して、キャラ設定等を含めると五千字のプロットがあるという、なんとも本末転倒な話になりました。
数えてみれば分かりますが、前作マグタイトクロニクルと、続編のマグタイトクロニクル2は、それぞれたった一万字です。そうです。上で述べた通り、文字数の壁にぶつかったのです。短編として独立して投下するのを躊躇ったのは、この微妙な文字数のせいでもあります。
が、続編を書くというのはそういうことです。
一万字の作品に五千字のプロットがある。
ということは、五万字の作品には二万五千字のプロットが必要なのでしょうか?
踏襲すべきものは踏襲し、新しい設定は新しく書き起こす。これらの作業をサクサク進められる方は、素直に尊敬に値します。その能力を少しでいいから分けてもらいたいくらいです。
では、続編を書くだけでこんなに大変なら、続編の続編を書くには、どのくらいの設定とキャラクターとプロットを用意すればいいのでしょうか。これは、ちょっと自分の手が届かない高みにある目標のような感じがして、考えるだけでため息が出ます。書き続けていれば、いつかその高みに到達できるのでしょうか。
最後に、人称についてです。今回はシーンの切り替えが多い都合上、三人称単視点をいくつか組み合わせ、三人称多視点になってしまっています。本当は読者の混乱を避けるために三人称多視点を回避するべきですが、なんとなく映画的な効果を狙ってあえてそのままにしました。もし読んでいて誰の視点なのか分かり辛かったらすみません。
前作よりも上手く書けていることを祈りつつ、いったん筆を置かせていただきます。
2013/05/10 青い鴉




