完結させる。
始まった物語には、必ず終わりがあります。
代表的なのは、行きて帰りし物語です。辛い現実から逃れた主人公が、ファンタジー世界で成長して現実に戻ってくる。『はてしない物語』や『ホビットの冒険』、『ハリー・ポッター』シリーズ、等々。枚挙にいとまがありません。あるいは最近の「小説家になろう」では、行きて定着する物語というのも多いですね。
これを言い換えると、作者には、始めてしまった物語を終わらせるという責任が付きまとうということです。
うっかりすると、作者はそれを忘れがちです。自分の思い描く世界を、永遠に物語を続けたくなります。ですが、最初にあらすじを最後まで決めたのを覚えているでしょうか。エンディングを想定したことを覚えているでしょうか。ちりばめた伏線を回収することはできたでしょうか。長い長い物語に幕を引くことができるでしょうか。
いつものような毎日の更新とは違います。この最後の更新をもって、物語は完結するのです。これは非常に辛い瞬間です。もう「更新しました!」と勢いよく呟くこともできません。そして物語を読み終えた読者は、去っていってしまいます。おそらく、永久に、戻ってくることはないでしょう。というのは言いすぎですが。
作品は、完結します。それは、作品が作者の手を離れる瞬間でもあります。あなたの平均余命より、作品の公開される期間の方が長い、という事態もありえます。作品はあなたの子供です。産み落とし、へその緒を切り、完結させねばなりません。
何度も言いますが、身を切るような辛さが襲ってきます。思わず他愛もない後日談を書きたくなります。けれど、後日談を書くためには非常に難しいスキルが要求されます。まずは、ぐっとこらえてください。作品は完結したのです。それ以上は、もはや蛇足というものです。
自分のブログやホームページからリンクを張るのもいいでしょう。小説家になろうに関する掲示板(あの恐ろしい某chのことではないですよ!)に完結報告をするのもいいでしょう。
あなたは自分の作品を自慢することができます。なんといっても、あなたは一つの物語を完結させたのですから。