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S  作者: ぼーし
第五章 【亜人】編
56/62

-47- 真夜中の雑談

これから鎌咲と合流するまで、ほのぼの日常編を目指して行こうと思いますっ

 嵐が通り過ぎたような、見る影もなくなった元森の中で、焚き木を囲む複数の影。コートに付いた土を落としつつ、霧裂は視線を九埜に向けた。


「落ち着いたか?」

「ん、まぁね。かなりパニくっちった」 


 えへへへ、と頭を掻いた九埜は、居ずらそうに体を揺らしながら、ちらりと霧裂の姿を盗み見る。一年間、探しに探しつづけた兄。久しぶりに見る兄の姿は、少しだけ変わっていたが、雰囲気などは全く変わっていなかった。地球の日本で暮らしていた時と同じ。その事にほっとしつつ、九埜はどう兄に接すれば良いか決めあぐねていた。


 このまま『久しぶりだね兄貴っ! 一年間オナネタが遠く離れてたせいで性欲溜まってるでしょ? ほら、久しぶりのアタシのムチムチエロボディたっぷり視姦しながらヌいて良いんだよ?』と昔のように言い放てば良いのか。

 はたまた『会いたかったよぅ兄貴ぃ~。アタシ、この一年間大変で、でもまた兄貴に会いたくて……っ! ひぐ、兄貴にまた会えて良かったよぉぉぉぉぉ~!』と保護欲を掻き立てる感じで泣けば良いのか。


(一体どちらのアタシが正解なんだ……!? くそぅ、読心魔術でも開発しとくべきだったか……っ! 迂闊、迂闊だよアタシ! 兄貴との感動の再会の後のイベント、『禁じられた初夜』の妄想に励みまくってたせいで、それまでの行程をなんら考えてなかったぜ! なんか良い感じのムードになってそのまま挿入的な事にはならなそうだしなぁ)


 割と本気でしょうもないことを考えていた九埜に、霧裂が再び声を掛ける。


「九埜、お前このキチガイとどういう関係だ?」


 そう言って、霧裂が指差したのは二本の剣を地面に置き、完全に警戒も何もしていない無防備状態のセレーネ。ぐで~と横になっているセレーネは、懐から取り出したサンドイッチを『……潰れちゃった』などと呟きながらパクパクと頬張っていた。


「……私は断じてキチガイなどではない。あっ、これ美味しい」

「いやいや、お前をキチガイと言わずになんと言うんだよ。ちょっと食わせろ」

「……私は殺し愛を愛してるだけでパッパラピーじゃない。はい、どうぞ」

「お前は完璧なキチガイだよ。……おっ、中々美味」

「……でしょ」

「ああ」

「あの、霧裂さん? もの凄く馴染んでますね、正直尊敬します」


 普通に談笑している二人。決してつい先程まで殺し合っていた者がする行動ではない。

 引き攣った笑みを浮かべてそういった瞬谷に対し、霧裂は眉を顰めながら、


「自分から喧嘩売る必要はねーだろ? なんかあれば殺すし」

「……ん、今はココノから話を聞くのが先。殺し愛はそれまでお預け」


 なぁー? と互いに頷きあう二人だが、目が笑ってない。霧裂は正直セレーネに少なからず恐怖してる為、さっさと殺してしまえば気が楽なのだが、それは今は許されない。九埜の関係者らしいセレーネを殺した結果、九埜を悲しませる事になったら目も当てられない。頭のどこかで『殺しちまえば気が楽だぜ!』という声が聞こえるも、理性で黙殺する。


 なにより、九埜に死体を見せたくない。

 霧裂は気付いていた。この異常な世界において、九埜は今だ変わっていない。昔のままだ。

 だからこそ、変わってしまった自分の姿を見られたくなかった。


「で、どうなんだ九埜」

「えと……友達?」

「……駄目だ、こんな奴が友達なんて認めれるか」


 首をかしげながら言った九埜の言葉に、霧裂は首を振る。霧裂の言葉には、言外に『友達だったら殺せねーじゃん!』という意味もあったのだが、残念ながら気付いたのはハクと瞬谷ぐらいだ。


 九埜は不満そうに頬を膨らませ、


「セレーネは友達だ、兄貴にとやかく言われる筋合いはないよ」

「兄貴はお前の友達に殺されかけたとですがそこんところはどうなんでしょうかはいセレーネさんお答えください」

「……本能に身を任せてみた」

「頼む、兄ちゃんこのままじゃ夜も眠れないの。九埜、分かってくれっ」

「えーでもぉ~」


 兄貴の好感度は上げたいけどセレーネとは友達で居たいっ。

 そんな九埜の心情をそこはかとなく理解した霧裂は、仕方なく最後の手段としてセレーネを見る。


「セレーネ、お前が決めろ。九埜と友達で居るか、俺と殺し合いの続きをやるか。どっちが良い?」


 答えなど決まっている。

 セレーネは目を爛々と輝かせ、


「……貴方と私でランデ――――」

「すとーーーーーっぷ! 兄貴、お腹空いたよ! アタシはご飯を所望するぜっ!」

「いやまてよ、今セレーネ絶対お前との友達の縁を切ろうとしてたろ」

「いやいや、アタシは聞いてないぜそんな言葉! それよりお腹空いたんだよ!」


 わたわたと手を振りながら、必死に言葉を並べる九埜に嘆息しつつ、霧裂は食べかけのサンドイッチを放った。


「まぁ……なんだ。セレーネ、お前絶対俺を殺すなよ」

「……私の本能が拒絶する」

「そうは言ってもなぁ……俺が死ねばもう殺し愛出来なくなるけど良いのか?」

「……むぅ、それは少し困るかも」

「だろ? 時々相手してやるからさ、一先ず今は止めとこうぜ」

「……はっ。つまり、半殺し愛……? うふふふ、了解」


 こくり、と小さく頷くセレーネを見ていた霧裂は、額の汗を拭いながら『【服従の首輪】でも造って見るかな……?』などと物騒な事を考えていた。


「マイマスター、安心してください。なにかあれば全力で救済いたします」

『そうじゃっ! 我も居るしの! 我が居ればまさに百人力よ! 我の真の姿バージョンプラス主は一騎当千。こんなキチガイにやられるほどヤワではないわ! ふはははははーっ! 我が付いている限り安心じゃぞ主よ。安心したか? 安心したじゃろ? ならば我を崇めるがよい! そして潔く我ルートを攻略しちゃって主っ!!!』


 ゴスロリ幼女という凄まじい姿をしているにも拘らず、にっこりと暖かな笑みを浮かべるステラはまさに聖母。心なしか神々しい光を放っているようにも見える。霧裂は脳内で響くなんちゃらを限りなくナチュラルに無視しつつ、ステラに縋り付く。


「ステラ、マジで心が救われるよ。頼むぜ、お前は希望だ」

「イエスマイマスター、私は貴方の味方です」

『あっるじー? あれれぇ、我の声が聞こえてない? 主ー! 主ぃー!! 我を無視しないで! 我泣いちゃう、泣いちゃうからーっ! 主お願いーっ! ………………あ……れぇ? これってもしかして無視してるんじゃなくて聞こえてない? いや、そんな馬鹿なっ! 無視に決まってるのじゃ! いや……でも……。あれ? 我、ここに居るよね? 我存在してるよね!? ちゃんと居るよね!!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! いつの間にか死んでるのにそれに気付かない幽霊とかじゃないよね!!?? 主、我が居るってことを証明してよ主ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』


 残念ながらエーテルの声は霧裂とステラ以外には届かない。

 そして、霧裂の清清しいほど華麗に無視している姿を見て、ステラはこう思うのだ。


 あっ、これが正しい変態(エーテル)の扱い方なんだ(察し)。


 それはともかく。当然エーテルの嘆きが届かない九埜。彼女は目の前の光景に目を見開かせていた。つまり、捜し求めていた愛しの兄貴が遥年下のゴスロリ幼女に縋り付く光景である。


「ふ、ふ~ん、なななな、成る程ぉ……兄貴も変わっちゃったね。昔はアタシの使用済みパンツでシコシコしてたのに」

「はぁ!!? ふざけんな九埜! 俺がいつそんな事をした!!」


 行き成りの義妹の爆弾に、全くの濡れ衣を着せられた霧裂は声を大にして否定する。そんな霧裂を無視して九埜は周囲を、主に女性陣に目を走らせるが……。


 九埜の発言に対し、ゴミを見るような目を霧裂に向けたのはサリアナただ一人だった。

 ステラもハクも、特に気にした様子はなく、平然としている。エーテルは分からないが、瞬谷は霧裂の言葉を信じたようで苦笑い浮かべているだけ。セレーネとシャルロットはそもそも意味を分かっていない。


 そんな皆の反応に、霧裂はほっとする。

 対して、問題発言をして九埜はと言うと。


(ちっ! 『兄貴の好感度を駄々下がりにして独り占めしちゃおう作戦』は失敗かっ! 中々信頼度が高いようだね兄貴!)


 とても黒い事を心の中で呟いていた。


 今はこれくらいにしておいてやろうなどと考えつつ、九埜はサンドイッチを口に含む。

 その時、セレーネが、遠く離れたある方向へと視線を向ける。セレーネと霧裂の戦闘により、森が一部消滅したが、全て消えたわけではない。セレーネ達が居る場所から凡そ二〇〇メートル程離れた場所にある、木々の隙間に視線を向け、一度、二度、と連続で高速瞬きをした。


 その様子を見ていた霧裂は、面倒臭そうに、


「ふーん……、あの不思議連中(、、、、、)もお前の仲間か」

「……ノーコメント。でも、もう襲われることはないと言っておく」


 殆ど答えを言ったような物だが、霧裂は心底興味無さそうに流し、小動物のように両手で持ったサンドイッチを頬張っている九埜へと視線を向ける。


「で、九埜。お前も転生者だな?」

「おう、そうだぜ兄貴。兄貴が死んだ直ぐ後に死んだの」


 九埜の答えに頷きつつ、霧裂は思案する。

 やはり、オカシイ。何がオカシイのかと言われれば、霧裂達『転生者』の全てがオカシイ。間違いで死んでしまい、お詫びとしてこの世界に『神の力(チート)』付きで転生した転生者。一人や二人なら、まだ分かる。いや、それでも十分異常なのだが、それでもまだ分かるのだ。


 しかし、これは違う。今現在、霧裂が知っているだけでも『間違って殺され、お詫びとして転生した』という元地球人が、霧裂自身を含め一〇人は居るのだ。異常だった。そして転生者達は、皆同じ時期に死んでいる。詳しく言うならば、一年前に間違って殺された転生者が二桁は居るのだ。


 ふざけるな。そう霧裂は思う。ずっと。瞬谷に合い、瞬谷から他にも転生者が居ると聞かせれてからずっと、霧裂の中で燻っていた疑問が脳裏に浮かび上がる。


 神は、自分をわざと殺したの(、、、、、、、、、、)ではないか(、、、、、)


 馬鹿らしい、と霧裂は疑問を一蹴する。自分達を殺し、神の力などと言う物を与え転生させて、一体神になんのメリットがあると言うのだ。なにも知らない霧裂は、頭を振って疑問を打ち消す。


 だが、背筋を走る悪寒だけはどうにも消せそうになかった。






「【魔女】? お前が??」

「そうだぜ兄貴」


 サンドイッチを腹の中に収めた九埜は、ドヤ顔でそう言い放った。

 既に深夜を大きく越えた時間帯。サリアナとシャルロット、それにキューは既に新たに張ったテントの中で就寝中だ。


 今尚起きているのは、そもそも睡眠欲というものが人より少ないハク、エーテル、ステラ。それに加え、徹夜で見張りや一週間ぶっ通しで戦闘など、睡眠を取らない事に慣れている霧裂、瞬谷、セレーネ、九埜の合計で『八』だ。


 霧裂は瞬谷に視線で尋ねる。お前知ってたか? と。

 それに対し、瞬谷は静かに首を横に振ることで返事をした。

 瞬谷の返事を見て考え込む霧裂を横目に、瞬谷は内心で僅かだが歓喜していた。今の今まで、霧裂にとって亜人の敵である【聖騎士】は、それこそ敵前逃亡を選ぶぐらいに、全く持って関心のない相手だった。


 だがどうだ。【聖騎士】が狙っている【魔女】が、霧裂の義妹である九埜だった。

 つまり、これで出来た訳だ。霧裂が【聖騎士】と戦う理由が。

 瞬谷は一人で【聖騎士】を殺せるなどと自惚れては居ない。


 出せるカードは全て出し、全力で、それこそ他力本願と言われようとも、必ず【聖騎士】を殺す。出来れば己の手で殺したいという感情はある。だが、それで一人で突っ走って返り討ちにでも合ったら、まさに愚の骨頂。

 瞬谷は冷静だ。過去に霧裂の【傀儡師】に対する無慈悲な行動をしかと目にしている。だからこそ、瞬谷は霧裂の手を借りてでも、【聖騎士】に特大の悪夢を見せるために行動する。


 己の手で【聖騎士】を殺したいなどというちっぽけな自尊心を理性で蓋をし、ただどんな事をしてでも【聖騎士】を殺す為だけに、復讐の一手を打つ。


「霧裂さん、今後どうするんですか?」


 答えなど分かりきっていながら、あえて瞬谷は尋ねる。

 恐らく今の霧裂の脳裏には、サリアナの村の惨状がフラッシュバックしている事だろう。

 霧裂は僅かに表情を強張らせつつ、


「あー、そうだな。特に予定もなかったし、九埜と一緒に行きたいんだが、駄目か?」

「全然っ! 全然オーケーだよ兄貴っ!」


 目を輝かせて何度も頷く九埜と、それを見て苦笑いを浮かべる霧裂。

 瞬谷もまた、二人の会話を聞きながら、内心でガッツポーズを掲げるのだった。






「……ところで一つ良い?」


 不意に今まで傍観していたセレーネが口を開く。霧裂は来るか!? と少しばかり警戒していてのだが、セレーネは何故か霧裂ではなくハクの方を向いており、首をかしげながらこんな質問をした。


「……神獣というのは、人の姿になれるものなの?」

「な……っ! お前、なんで……ッ!?」


 驚く霧裂に対し、セレーネは何故そんなに驚いているのか分からないようで、先程とは逆の方に首を倒しつつ、


「……気配が一緒。誰でも分かる」

「いやわかんねーよ!?」

「……ともかく、私の質問に答えて」


 セレーネも元とは言えSS級の冒険者。魔物が自力で人になれるのであればそれは脅威でしかない。そこれへんは気になるのだろう。

 セレーネの追求に、霧裂は仕方なくといった表情で、


「ハクを人にしたのは俺だ」

「……方法は?」

「ノーコメント」

「……ケチ」


 ぶす、と頬を膨らませたセレーネは、件のハクの方へと目を向ける。

 ジロジロと上から下まで眺め回したセレーネは、唇を湿らせハクに言う。


「……災害級、神獣【白夜狼】。貴女に聞きたいことがある」

《…………なんだ》


 面倒臭そうに、ハクは言った。

 セレーネはハクの様子に全く関心を寄せず、質問を始める。


「……木も草も地面ですら、全てが氷で出来たマイナス一〇〇〇度の()の世界、【氷獄樹海】。そこが貴方の領域(テリトリー)の筈。何故、貴女は【氷獄樹海】を抜け出したの?」


 神獣とは、ある一定の領域内で力を振るう存在である。自らその領域を出ることはなく、だからこそ人や亜人は絶滅していないのだ。


 だが、そんな中でハクだけが例外。【傀儡師】に操作されテリトリーを抜け出した神獣は存在するが、ハクは違う。完全に、自分の意思のみでテリトリーを捨てている。


 何故? それはハクだけが知っている。

 霧裂も、そこらへんの事情に詳しくなかったため聞いていなかったのだ。

 ハクは心底面倒臭そうに、しかし周囲の期待した目をみて仕方なくといった表情で話し始めた。


《そうしなければ死んでいたからだ。今から凡そ一年前、俺様の領域(テリトリー)【氷獄樹海】が――――猛毒に侵された。【世界蛇】の毒にな。あのまま【氷獄樹海】に居たら死んでいた》


 衝撃が走る。特に、この世界で冒険者として活躍していた瞬谷とセレーネの二人に。神獣のテリトリーを侵し、いらぬ災害を引き起こすなど狂気の沙汰だ。本来は遠く離れた場所にある災害を、自らの手で解き放つような物だ。


「一年前……転生者か?」

「いえ、分かりませんよ霧裂さん。一年前と言えば転生して直ぐの事じゃないですか。転生した直後に、災害級の【世界蛇】を殺し、尚且つハクさんにばれずに【氷獄樹海】に毒を盛るなんてまず不可能です」

《ああ、お前の言うとおりだ。【氷獄樹海】に毒を持った奴を俺様は見た。殺そうとしたが直ぐに消えうせたせいで見たのは一瞬だったがな。【氷獄樹海】に毒をもったのは女だったよ。異世界の臭いがない、背丈の倍はあるだろう長い髪をもったな》

「他に特徴は?」

《そうだなぁ……確か、右手に古びた剣を持っていて、目が……ああそうだ。あの女の目がオーマ、お前と同じ色だったんだ。だからこそ、オーマに初めて会った時、俺様はオーマを襲ったんだからな》

「俺と同じ……って事はこの気持ち悪い七色の双眸って事か?」


 霧裂の言葉に、僅かながら反応を見せたのはステラとエーテルだ。今の今まで泣き喚いていたエーテルが唐突に黙り込み、静かに思案をし始める。ステラも同じように思案しているが、それに気付いたのは残念ながら居なかった。


「……そう。人によって解き放たれただけで、それがなかったらテリトリーを出ることはなかったの?」

《ああ。ないな》

「んで、ハク。ソイツに復讐でもするのか?」

《そうだな。見つけたら殺す。だが進んで見つけたいとは思わないな》


 これは事実だ。ハクは確かに【氷獄樹海】を気に入っていた。それこそ、初めは【世界蛇】の毒をもった女を殺すために、外の世界へ飛び出したのだから。だが、外の世界へと飛び出し、そこで出会った一人のオカシナ男がハクの運命を変えた。


 今でもテリトリーを台無しにした女の事は憎んでいるのは間違いない。

 だが、アレがなければ霧裂と出会わなかったとなれば話は別だ。

 どうでも良い、と呟くハクに、霧裂は小さくそうか、と頷き、


「そろそろ寝るか。明日、というか今日も早いだろ?」


 両手を叩き、霧裂は言う。

 九埜、つまり【魔女】と行動を共にすると言う事は、即ち亜人の本拠地に行く事を示している。

 セレーネによると、例え九埜の義兄だとしても、簡単に入国は出来ない。

 暫くの間、霧裂達は最寄の街に滞在することになるのだ。


 三日か、一週間か。ともかく、霧裂もまた鎌咲達と集合しなければならない。

 起きた後の計画を立てながら、霧裂は簡単に組み立てたテントの中に寝転ぶ。

 ステラやセレーネが居る以上、見張りは必要ない。瞬谷と二人、テントの中で横になりながら、霧裂は目を閉じた。



 こうして、彼らの夜は更けていく。

さて、ハクのテリトリーに猛毒を盛ったのは一体誰!?(笑)

いやーそれにしても。なんか全然話が進んでないなぁorz

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