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S  作者: ぼーし
第四章 【三帝】編
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- if -  読者様サービス話~勇者の悲しき末路~

と、言うわけで【勇者】との決戦である。本当は色々有る(予定)だけどこれはあくまで『if』の物語だからそこから辺は適当で良いのだ。


「覚悟は出来たかな? この僕、光裁誠が相手だと知って逃げなかったその根性だけは認めてやろう。だが、子供に手を上げるなんて最低な行為は、この僕の目が黒いうちは絶対にさせないぞ!」


――きゃぁあああああああ! 【勇者】様ぁぁあああああああ!! がんばってぇえええええええ!


黄色い歓声が【勇者】に飛び交う中、対戦相手である霧裂は気だるそうに立っていた。そして当然の如く向けられる罵詈雑言。


――死ねぇええええええ! 最低男ぉおおおおおおおお!! 全然イケメンでもない癖にぃいいいいい!


「俺の顔は関係ねーだろ! ちくしょう、なんでこうなった!」


ざっくりと心を大きく削られ、既に致命傷を負った霧裂は空に向かって大きく慟哭する。そんな哀れなフツメン男に対する声援はもちろんある。彼の後方に立っている愉快な仲間達だ。


「霧裂さーん! オレ達帰っても良いですかー!」

「ねぇ瞬、もう帰ろう? 見てても面白くないし」

「シャルロット疲れた」

「そうですねぇ、彼なら何とかなるでしょうし」

「うむ、さっさと帰って酒でも飲みたいであるなぁ」

「キュ、キュキュー!」(訳、パパがんばれー!)


どうやら真面目に応援しているのは鎌咲の頭にへばり付くキューだけの様だ。霧裂王間哀れなり。そんな仲間達に気付かず、きっと応援してくれてる! と心の中で信じ続けるフツメン男。黄色い声援に答えて投げキッスを披露するイケメンリア充。そんなリア充に怒りゲージを溜めるハーレムメンバー。そしてまたまたそんなリア充に気付きブチブチと血管が切れてる対戦相手。

様々な人々の思惑が交差する中、(主に女性関係で)正反対に位置する二人の転生者は真正面から激突した。


そんなこんなで戦闘開始。


戦闘が始まり、切れまくる霧裂は馬鹿正直に【闘神狂う(ベルセルク)】を嵌め『闘気』を纏わせた拳を固めて、一直線に駆け出す。カウンターチャンスが有りまくりの霧裂を見据え光裁は、友を迎え入れるように両腕を広げ何故か演説を始める。


「なるほど、素晴らしい速度だ。動きを見ていれば分かるよ、君は一流の戦士だ。でも相手が悪かったな。なんたって君の相手はこの一年で王国の危機を何度も救った神の使い、この【勇者】様なんだからね。さて、そうだな五十パーセントの力で様子を見ようか。何、心配しなくても百パーセントの力は出さないさ。安心しただろう? はっはっはっ」


高笑いする光裁に、怒りが何か可笑しなことになって何故か柔らかい笑みを浮かべる霧裂は、光裁との距離が十メートルを切った直後、轟! と風が唸りを上げ限界速度に到達した。音速の壁をぶち破り、一瞬で光裁の眼前に到着した霧裂は、『闘気』を最大出力まで上げた右拳をムカつく顔面に向けて振りぬく。


「ぶべらっ!!」


ドッゴ!! と轟音が炸裂し後方へ吹っ飛ぶ光裁へ追撃。音速を超える一つの砲弾と化した飛び蹴りが光裁の股間にぶち当たった。


「ぷぎゃぁっ!!」


プチッと何かが潰れる音が鳴り、数十メートルの距離をノウバウンドで突き進んだ光裁は、地面に顔面から落ち、ズリズリズリーッ! と血の道を作りながら、地面に倒れ伏せた。


シン、と静まり返る観客を見渡し、霧裂はとても晴れやかな顔を――――していなかった。怒りの表情は変わらず、何時もの様に白いコートのポケットから一つの魔道具を取り出す。取り出した魔道具は、球体の様な形をした物体の側面に左右それぞれ三本の足が付いている。名を【閃光堕ちる(パニッシュメント)】。過去使用した時のver生地獄の様な生易しい物ではなく、きっちり止めを刺す様である。


ぽい、と【閃光堕ちる(パニッシュメント)】を尻をこっちに向けて倒れこんでいる光裁へ放った。【閃光堕ちる(パニッシュメント)】が光裁の真上に来た直後、霧裂は叫ぶ。


「リア充爆破しろッッッ!!!」


その言葉を合図に、バォ! と破裂し白き光の塔となり天へと立ち昇った。当然の様に光裁を巻き込んで。


「誠様ぁああああああああああああああああああああああ!!」

「誠ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「光裁様ぁあああああああああああああああああああああ!!」

「バカ弟子ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

「光裁さんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」


白き光の塔に巻き込まれた光裁を見てハーレムメンバーが絶叫した。ちなみに上から第一王女(純情ヒロイン)女騎士(ツンデレヒロイン)メイド長(尽くすヒロイン)師匠(依存ヒロイン)貴族少女(ロリヒロイン)だ(ちなみにルビの何ちゃらヒロインは変更する可能性大)。ハーレムメンバーの叫びを聞いて、再び年齢=彼女居ない暦の霧裂の怒りの火山が噴火する。


「ちっくしょぉおおおおがぁああああああ! テメェなんでそんな恵まれてんだよぉおおおおおおお! こっちはヤンデレと猫被りだぞぉおおおおおお!! ぶっちゃけ怖ぇえええええんだよぉおおおおおおお!!」


魂のへたれな咆哮を上げる霧裂は光裁に突っ込もうとして、はぁ? と間抜けな声を出し動きを止めた。何故なら、粉塵の中光裁誠がその二本の足でしっかりと地を踏みしめ立ち上がったからだ!


勇者は負けない。正義は必ず勝つ。死の淵に覚醒する。ご都合主義。そんな言葉の数々を体現するかの様に立ち上がった光裁の顔は――――それはもう見るも無残哀れな事になっていた。キラリと輝いていた白い歯はボロボロ、顔面は血だらけ、鼻は折れ曲がり、蜂に刺されたように腫れ上がり、髪の毛は頂点に数本ゆらゆらと風に揺れているだけ。着ていた金ぴか鎧や剣も粉砕され、股間辺りが鮮血で濡れ、内股になっている。


――キャァアアアアアアアア!! 勇者様ァァアアアアアアアアアア!!


悲鳴が上がる中、イケメンは死にブサメンが誕生した。


……何て事になる筈も無く、ハーレムメンバーの王女が何やら秘宝を持って来い! などと叫び、持ち出されたなんちゃらの涙とか言うこの話限定の秘宝が登場し、霧裂が呆れる中秘宝で見事イケメン【勇者】光裁誠は復活を果たした。


「はぁはぁありがとう。おい! 不意打ちとは卑怯な手を! 恥ずかしくないのか!」

「え? いやいや俺真正面から殴っただけだけど?」

「やはり悪の手先! はっ! 貴様【魔王】の手先だな!」

「え~と、話聞いてます?」

「恐らく幹部! 四天王か何かか! 一番の脅威である【勇者】光裁誠を殺しに来たのだな!」

「……」

「だが残念だったな! この【勇者】の実力はこんなもんじゃない!」

「……もう良いや……」

「貴様の敗因は一つ。そう、たった一つだけだ。貴様は僕を怒らせた。見よ! 神から授かった力! 【黄」


直後、霧裂の右拳が光裁の顔面に爆音を響かせ突き刺さった。


「ちょ、まっ、ぐっふゥゥゥあああああああああああああああああああっ!!!」


愉快に回転しながら宙を舞う光裁の顔面にもう一発ぶち当て、地面に叩きつける。地面に仰向けに倒れる光裁に馬乗りになりながら、ゴキベキポキを拳を鳴らす。


「ば、ばびを……!?」


ふらふらと起き上がろうとするが力が入らないのか、ピクピク指先が動くに留まる光裁に霧裂は拳を握り締め、


「俺がッ! スッキリするまで! 殴るのを止めないッ!」

「ご、ごべんなざびびびびぎゃァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああqあwせdrftgyふじこlp!!?」


光裁の悲鳴に耳を貸さず、『闘気』を纏った拳が振り下ろされる。

地鳴りの様な轟音を連続させ、最低最悪の気晴らしが始まった。



◆ ◆ ◆



目の前で行われる一方虐殺に誰も彼もが言葉を無くし、異様な静けさの中轟音だけが響いていた。そんな虐殺風景を瞬谷は顔を真っ青にしてレアルタと共に見ていた。


「(やっべぇえええええええええ! 霧裂さん遣り過ぎだって! 絶対犯罪者決定だよあの人!)」

「(どどっどどっどどどどどうするであるか!? さっさと逃げるであるか!!?)」


ガタガタ震えながら絶賛パニック中の二人は、そうだ! 鎌咲さんに頼もう! と名案を思いつき、鎌咲の方に視線を向ける。そこには、鎌咲、サリアナ、キュー、シャルロットの三人と一匹がチンピラにナンパに有っていた。


「ねぇちゃ~ん、俺達と遊ぼうぜ~」

「お断りします」

「そう言わずにさぁ~」


そんな言葉と共に下劣な笑みを顔に浮かべて、男達は冷たい双眸で睨みつける鎌咲の胸をむんず、と鷲掴みにした。


「げひゃひゃひゃひゃっ! 良い乳じゃねぇか!」


驚きに目を見開いた鎌咲は暫しの間思考を停止させ、


「……屑共が」


ぶぢり、と切れてはいけない何かが盛大にプッツンする。


「私の体にィィィィィその汚らわしい手で触ってんじゃねェェェェェェェぞォォォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


轟!! と鎌咲の体から漆黒のオーラが吹き出し、真紅と碧空の雷がパチパチと周囲を踊り、ぽっかり口を開けて固まる男達の前で骨で出来た死神の鎌へと変貌した大鎌を手に取る。


「ああ゛ん!? テメェら何私の体を見てんだよぉ、その汚物を狩り取るぞ!!」


直後の出来事だった。

大鎌を体の前へと持ってきた鎌咲は、その大鎌をぐるりと回転させた。一回転した大鎌は鎌咲の狙い通り、男達の股間に雄雄しく聳え立ちテントを張っている男の象徴を、半ばからスッパリと狩り取った。


「うぇ? ぐぎぃ、ぎゃぁぁぁああああああぁぁあああアァあああアアぁぁアアあぁぁあああああ!!?」


鮮血を撒き散らしながら絶叫し股間を押さえ蹲る男達を鎌咲は怒りが冷め止まぬ双眸で見下ろす。


「痛いですか? 痛いですよね? ですが……私の心の傷の方がいてェェェんだよォォおおおおおおおおおおおおおおおお!! 分かりますか!? 汚物に体を弄られた私の不快感! 貴方方は私の心に大きな傷を残したんですよ!! その罰をここで受けろ!! 死んで詫びろよ社会の屑共がァァァァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! 」


鬼神の如き怒りの表情で大鎌を振り回す鎌咲を見て瞬谷とレアルタは全てを諦め小声で話す。


「(あ、俺は逃げる準備しときます)」

「(そうであるな。もう我輩達に道は残されてないであるよ)」


そんの言葉を交わした数分後、晴れやかな笑顔を浮かべる霧裂とゴシゴシと布で体を拭いている鎌咲とその他を抱え瞬谷はどこか遠くの彼方へ【空間転移(テレポート)】した。

残されたのは観客とハーレムメンバーと元【勇者】現肉の塊だけである。



こうして彼は名実共に【魔王】となったのだった。






◆ ◆ ◆






白い何も無い空間。そこで光裁誠は目覚めた。

と、一気に浮かんでくる記憶。その悪夢を思い出し、光裁はガタガタ震えながら失禁した。


「ど、どこだここ? あれ? ここって……」


辺りを見渡した光裁は直ぐに気付いた。この空間は神とであった場所だ。一体何故? そう思案しふと理解した。


(そうか! きっと神様が僕に新しい力をくれるんだな! 何たって僕は【勇者】だからな!)


真の力に目覚めたらアイツを殺してやる! とウキウキ意気込んでいたら、目の前に唐突に銀の長髪を持った美しき女神が光臨した。


「おお【勇者】よ、死んでしまうとは情け無い」

「す、すみません! ですが僕に力をくれたら必ずや」


そこで言葉が途切れる。目の前のこの世全ての美を凝縮した様な神から圧倒的な殺意が吹き出したからだ。


「てか何世界平和目指してんの?」

「そ、それは貴女の為に」


きっとこの神は争いの無い世界を望んでると勘違いした光裁の発言に、にっこりと悪意の笑みを見せながら。


「世界平和なんてクソ喰らえ☆ 君には天罰永遠地獄♪」

「え? そ、そんな! ま、待って! ぼ、ぼうゆずじでででででぎぎぎぎぎゃァァァァああああああああああああああああああっ!!!」


神の手から放出される説明不能、理解不能、正体不明の力が光裁を襲う。


「あははっははあはははははあっははははは!! ねぇ、どーしたのぉ? なんか言ってよほらぁ!!」

「ぴぎゃァァァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああくぁwせdrftgyふじこlp!!?」


高らかに楽しそうに狂ったように嗤う神の前で、気を失う事すら許されず、正気を保ち続ける光裁は延々と永遠に続く罰を受け続けるのだった。



終わり☆

本編の勇者はキャラ違います。

霧裂及び鎌咲が怒り狂ってもここまでしません。

創造神はこんな感じ(笑)


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