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S  作者: ぼーし
第四章 【三帝】編
37/62

-31- ガキは嫌いだ、いやマジで

瞬の足に付いてちょっと追加しました

茫然自失と言った感じで口を開けて固まる瞬谷を抱え、霧裂はその場を退室する。外で待っていた騎士長レアルタ=カヴァリエーレに鎌咲達を呼んで来るように言い、瞬谷と並んで地面に腰掛けた。


「……サリアナの村ってどこにあんだよ」

「……王国と帝国の間に広がる山脈のふもとにあります」

「そっか、この事は誰にも言わんほうが良いだろ。出来るだけ早く調べに行くぞ」

「はい、……ありがとうございます」


頭を下げ礼を言う瞬谷に良いってと軽く返事をしながら、定位置にへばり付くキューをわしゃわしゃわしゃーっ! と目一杯愛でていると、レアルタに連れられ鎌咲達が城の前まで来る。


「よっ、起きたみたいだな」


霧裂の視線の先にはあの鬼人種が。少しぼーっとしている様だがともかく目を覚ましたようで、霧裂は心の底から安堵の溜息を吐く。そんな霧裂に、しかし鎌咲は言い辛そうに、


「い、いえ。起きたのは起きたのですが……その」

「何だよ、何かあったのか?」

「えぇっと、……どうやら記憶を失くしているようです」

「はい? 何を失くしたって?」

「記憶です! この娘は記憶喪失のようです」


記憶喪失、つまりは何も思い出せないと言う事で。その事が分かるのに数秒の時間を費やした霧裂は、パッカリと口を開け唖然とする。瞬谷やハク、レアルタは【傀儡師】のせいで記憶を失くしたと考えているのか、『可哀相に、地獄に堕ちると良いんですよあの肉片』や『オーマ、どうにかしてやれんのか』の他に『あのクソガキ許せんである』など言いたいことを言っているが、霧裂は顔を真っ白にさせながら、『うんそうね、デキルダケヤッテミルヨ』と言うのが精一杯だ。その心中は、


(やややややっやややっべ―――――――っ! 記憶喪失って何!? 確かに遣り過ぎた感は有るけども! でも記憶喪失って、馬鹿じゃないの!? そんな簡単に記憶って無くなるもんなの!? やばいよ、どうしよう!!?)


と、盛大にパニック中で、もしここに誰も居なければあわわわわあわわっわあわわ!! と滅茶苦茶に転がり回っていた事だろう。そんな霧裂に誰も気付かず、否ハクだけは気付いていたが、何やら感づいたのか何も言わず、一先ず記憶が戻るまで少女を預かると言う事になった。


「名前が無いのもあれだしな、付けてやるよ。そーだなぁ……よし、お前の名前はシャルロットな」

「いや、何勝手に決めてんですか? 名前とか皆で考えましょうよ!」

「そうです、私も名前考えたいです」


はいはいっ! と挙手し鎌咲と瞬谷が思い思いの名前を挙げていくが、当の少女は霧裂の考えた名前が気に入ったのか、『シャルロット、シャルロット』と何度も呟いている。


「何か気に入ってるぽいし良くね? シャルロットで」

「うん! シャルロット名前気に入った!」


にぱぁ、と花の様な笑顔を浮かべるシャルロットに、鎌咲と瞬谷は己の敗北を悟り地に項垂れた。






霧裂達は崖の上に立ち城を見下ろしていた。


「よっし、やるぞ?」

「うむ、構わないである」


振り返り背後に立つレアルタに確認を取り、右腕を城に向ける。


「【変更・右腕(チェンジ)】⇒【業焔渦巻く(レーヴァテイン)】」


轟! と右腕から放たれた焔の剛球が瞬く間に城を燃やし尽くして行く。二度三度と放たれる剛球は城の他にあの血の匂いを纏った街までも焔で埋め尽くし、死者を弔う様に赤々と燃え上がった。


「ちょ、あっつーい! ねえ、氷出して」

《黙れ小娘! お前は何でそんな馴れ馴れしいんだ!》

「私はまだ瞬谷をボコボコにしたこと許してない」

《ふん、お前なんぞに許されんでも別に構わんわ》


何故か仲良くなっているハクとサリアナの言い争いを軽く流しながら、鎌咲達はその威力に驚きの声を上げる。


「凄い威力、本当に人を辞めてしまったようですね」

「うむ、あんな物を食らったら一溜まりも無いである。同じ人族とは思えん」

「ひぇー化物だ」

「おいテメェら、好き勝手言ってんじゃねーぞ」


心底驚いたと言う風に何度も頷きながら罵倒する鎌咲達を睨みつつ、全てを灰に帰す焔を放つ。霧裂の右腕から放たれる焔は約一時間燃え続け、城を、街を、死者達を、全てを灰に帰し呑み込んだ。


「終わったな、帰るか」


何もかも無くなり平地になった元小国を見下ろし、ふぁと大きく欠伸をしながら余裕綽々と振り返る。実際霧裂はまだまだ余裕だ。遣れと言われれば丸一日燃やし続ける事も可能だろう。しかしそれは完全に異常であり、皆一様に白い目を向けていた。

と、ここで鎌咲がそう言えば、と。


「帰るのだったら少し『英雄の墓場』に寄りませんか?」

「何でそんな不吉なとこ行きたがるんだよ」


お化けとかそう言うのが駄目なのか、若干顔を青くさせながら尋ねる霧裂に、何故かレアルタが心外だとばかりに口を開く。


「『英雄の墓場』とは遥か昔、堕神を斬り裂いた英雄が祀られている場所である。不吉な場所ではないであるよ」

「へ~、堕神を斬り裂いたね~。あれ? それって……」


凄いな的に聞いていた霧裂は、ふと『旅人の故郷』で瞬谷に聞いた殺傷能力バリバリMAXな魔道具の話を思い出す。


「ええ、王城の前の広場に突き刺さってる剣を使った英雄が眠ってるんです」


瞬谷が言うには、堕神を葬る事に成功した英雄は、しかし同時に致命傷を負ってしまい、自身の剣を地面に突き刺した後絶命したと言う。その英雄の亡骸を、民は感謝の念を込めて現在『英雄の墓場』と呼ばれている場所に祀ったらしい。今でもその剣は突き刺さったまま、真の継承者が来るのを今か今かと待っている為、他の人族では抜く事が出来ない様だ。


「何かアーサー王伝説みたいだな。ほら、エクス何ちゃらを抜くアレ」


話を聞いた霧裂の超適当な感想に、あははは、そうですねと瞬谷も適当な返事を返す。どうやら霧裂の扱い方が分かってきたらしい。

ともあれ、サリアナの村の事もあるため、今回は『英雄の墓場』へ行かないという事で話は決まり、王都への帰り道の途中。一度には無理な為、鎌咲とサリアナは少し待っててもらう事にし瞬谷の【空間転移(テレポート)】に、はしゃぐシャルロットと驚くレアルタと共に空中散歩を楽しんでいると、霧裂が何やらぶつぶつと呟いていた。瞬谷が注意して聞いてみると。


「う~む、堕神を斬った魔道具か。あの時はどうでも良いと思ったが興味深い。ちょっと拝借して」

「ダメですよ!? あれ国宝なんですから!」

「え? ああならちょっと」

「分解も欠片を取るのもダメですからね!? あれは遠くから見るだけにしてください!」

「ええー、それだと分かんないじゃん。ちょっと弄くるだけだからさぁ」

「アンタ話聞いてたか!? 国宝だっつてんだろぉぉがぁぁ―――――――――っ!!」


瞬谷は胃薬が欲しいと切に願った。



◆ ◆ ◆



色々有って王都前の森の中。全員がそろった所で何時もの入り口へ歩を進める。

と、やはり何時も通りの門番は帰ってきた霧裂達に目を向け、は? と口をポッカリ開いた。


「何で増えてんだよ!」


昼過ぎに王都を出たときは四人だったのに、帰ってきたら何故か白銀の鎧に身を包むおっさんと金髪ボブの幼女を連れて帰って来るという謎の行動。さらには瞬谷の片足は義足になっているのだ。ちなみにこの義足は霧裂が間に合せとして、簡単に、それはもう呆れるほど簡単に造り出した魔道具だ。混乱しながらも問いただそうとする門番に、【死神】鎌咲が睨みをきかせ、不審者対応の鎖型魔道具を二つ毟り取り、堂々と王都へ踏み込んだ。

項垂れる門番に瞬谷が同情の視線を送ったが、他の面子はどうでも良い事のようで真っ直ぐと『旅人の故郷』へ急ぐ。


「そう言えばあの少年は如何してるでしょうか」

「さぁ? どっか行ってんじゃねーの?」


宿に置いて来た少年の事を今思い出した鎌咲だが、霧裂は大して取り合わず、どうせ赤の他人なのだからともしまだ寝ていたら放り出す積もりだ。

そんな霧裂を鎌咲はぶん殴ってでも止めようと心に決め、ガラッと勢い良く『旅人の故郷』の扉を開けた。『旅人の故郷』一階、主人に客が増えるという朗報を報告してやろうと思い視線を向けた霧裂の目に予想外の光景が飛び込んできた。


「うばっ! お帰りなさい!」


元気良く、口に大量の食い物を詰めて声を掛けて来たのはあの少年。何故か少年は、バクバクバクーっ! と手を止めず食べ物を口に放り込んでいる。


「え? 何してんの?」

「食べてます! 助けてくれてもぎゅもぎゅありがとうございました!」


豪快な食べっぷりを披露する少年は年相応の笑みをその顔に浮かべていた。少年の食べっぷりを見ていた為か、シャルロットのお腹からくぅ~と可愛らしい音が鳴り、くいくいっと霧裂の服を引っ張る。


「シャルロットも食べたい」


こてん、と首を傾げながら言うシャルロットの頭をぽんぽんと優しく撫で、引き攣った顔で霧裂は尋ねる。


「ガキじゃなくて、ぼくぅ~お金は持ってるのかなぁ?」


気色の悪い猫なで声を出す霧裂に若干引きながら、まさかと瞬谷は気付く。

少年はにぱぁと笑い、自信満々に、言い切った。


「持ってません!」


ドンッ! と言う効果音が似合うドヤ顔で胸を張りながら言う少年。持っていないのに何故そんなに食っているのか。主人もその話は聞いていなかったのか、唖然と少年を見つめる中、注目の対象となっている少年は、霧裂に手を差し伸べ、


「だから僕の変わりに払ってください!」

「ふざけんなガキィ!!」


ここまで堂々と金をたかる小学生を見た事があるだろうか。ビキビキ青筋を立てながら殴り掛かろうとする霧裂を慌てて鎌咲とレアルタが羽交い絞めにし、その隙に瞬谷が主人に言う。


「すみません、払います! 幾らですか!?」

「お、王貨三枚と金貨十九枚、銀貨三十六枚だ」


時が、止まった。空気が、凍った。静寂が支配する宿屋で、しかし少年は構わず食事を続ける。もう我慢の限界だった。鎌咲とレアルタが静かに霧裂を解き放ち、ゴキゴキと拳を固める霧裂は憤怒の表情で少年に近づき、


「ぶっ飛べおらぁ――――――――っ!!」

「ぶぇ? び、びぇぇえええええええええええええええん!!」


宿屋の壁をぶち破りどこかへ消え去った少年の断末魔が響く中、鎌咲が変わりに日本円にして三千万円相当を支払った。






宿屋にはもう食材は残っておらず、現在霧裂達は王都へ繰り出し料理店を探していた。

無言で。

理由は霧裂にある。金は鎌咲が支払ったが、あの少年を宿屋に置いとく事にしたのは霧裂の為、後で返せと言われているのだ。返そうと思えば今すぐ返せるが、それでもあの少年への怒りが収まらない。全身から怒気を垂れ流す霧裂に、鎌咲達は口を開く事さえ叶わず、只管無言で歩き続けていた。

否、無言ではない。霧裂の背後でこそこそと小声で話し合っていた。


「(どうします? 霧裂さんメチャメチャ怒ってますよ?)」

「(いつ怒りの矛先と言うか八つ当たりが此方に向くか分からないであるな)」

「(不味いですね。生死に関わります)」

「(ちょっとやば過ぎない? てか何でシャルは普通にアイツの服掴んでんの? 怖くないわけ?)」


小声で会議をしていた鎌咲達は視線を霧裂の隣を歩くシャルロットに向ける。どうやら随分と懐いたようで、霧裂の服をちんまい右手で掴みトテトテと歩いていた。


「(どうにかシャルを使って怒りを下げてみるであるよ)」

「(がんばってレアルタさん!)」

「(貴方は希望です!)」

「(まぁ死なないようにね)」


死地へと自ら赴くレアルタを尊敬の目で見つめ、小声で応援する。レアルタは任せるであるよ、とサムズアップし霧裂に声を掛けようとして、前方で人だかりが出来ている事に気付く。もっと詳しく言えば、料理店の目の前で。

漸く見つけた料理店の目の前で入り口を封鎖するような人だかり。八つ当たりの格好の餌食。レアルタは慌てて止め様として、ふと気付いた。これ止めなくて良いのではないか?

暫く名も知らぬ八つ当たり対象に成るであろう人族と、自身を比べ、うむと頷く。


(済まぬ、我輩では止められぬである)


心の中で深々と謝罪したレアルタの前で霧裂はポツリと。


「邪魔だなぁ」


八つ当たり対象が決まった瞬間だった。

背後にいる鎌咲達も八つ当たり対象に黙祷を捧げ、霧裂の後に続き人だかりの中央に目を向ける。どうやら料理店の何かを壊したらしい。野次馬の中央には土下座する少年と怒鳴り散らすコック。そしてその少年には見覚えがあった。


あの宿屋で食べまくった少年だった。


霧裂の怒りパラメーターが急上昇するのを鎌咲は感じ、止める。


「待ってください! あの子供にはもう罰は与えたじゃないですか! 助けましょうここは!」

「そ、そうですよ霧裂さん。あの子供死んじゃいますって!」


大いに慌てて霧裂を宥めに掛かる鎌咲と瞬谷の必死な姿を見て、ふーっと息を吐き分かった分かったと頷く。ほっと安心した様に一息付いた鎌咲と瞬谷の前で、霧裂は何故かコキコキと首を鳴らし、嫌な予感を覚えた鎌咲が止める間もなく姿を消し、一瞬で少年の背後へと回った霧裂は、


ゴドンッ!! と轟音を響かせ少年を地面に減り込ませた。


背後で何やら『ええ!? 助けるって言ったじゃないですか!!』や『てっきり助けると思ってましたよこの外道!!』などと言う声が聞こえるが無視し、霧裂はシンと静まり返った野次馬を見渡した後、目の前のコックに視線を移し言う。


「鉄拳制裁は俺が与えてやった。これで許してやってくれ、頼む」


口では頼むなどといっているがこれは『お願い』ではない。その拳は握り締められ、顔には笑み一つ浮かべておらず、淡々と述べるそれはどう見ても『脅し』だ。『無理なら君にも鉄拳制裁下しちゃうゾ☆』と言う明確な『脅し』。

それに男も気付いたのか、少々顔を青くさせながら、分かったそれで良いと口にし、背を向け去っていった。離れていくコックの背中を見て、にこやかな笑顔を顔に浮かべる霧裂は背後に居る愉快な仲間たちに向かって言う。


「それじゃ行こうか」

「待って! その子は如何するんですか!?」


瞬谷の問いに何言っちゃてんですかこの人と言う顔をする霧裂。


「そんなモンここに放置に決まってんだろ?」

「決まってません! 貴方は何がしたいんですか!?」

「お前等が助けろって言ったから助けてやったんだよ」

「助けてませんよ! 全く助けてません!」


うきゃーっ! と叫ぶ瞬谷と鎌咲を不思議なものを見るような目で見た霧裂は、どうでも良いかとぎゅっと服を握り締めるシャルロットの手を引き、店に入っていった。






そんなこんなでお食事である。大きなテーブルに騎士のおっさんと金髪幼女、不機嫌少女に悪名高き【死神】、そして普通の少年と頭に狐を乗っけた変な目をした少年が座っている。はっきり言って近寄りたくない。一緒独特の雰囲気をかもし出すそのテーブルに、一人の勇者な店員は涙目で向かう。

その店員に皆それぞれ注文を頼みつつ、霧裂は呆れた目でしれっと座る愉快な仲間を見る。


「何だよお前ら、あんだけ俺の事非難しておいてあいつ結局放置かよ」


そう、霧裂が店に入った後、鎌咲や瞬谷は少年を助ける事無く普通に霧裂に続いたのだ。


「いえ、考えてみたら私には関係ありませんし」

「う~ん、まぁあれだけ宿屋で勝手に食い散らかしたんだし、自業自得ですかね」

「我輩はキリサキ殿に従うであるよ」

「シャルロットはお腹空いたもん」

「……どうでも良い」

「キュー」


全く持って言いたい放題である。なら非難してんじゃねーよとジト目を向ける霧裂の視線上に居る鎌咲と瞬谷は居心地悪そうに身を捩る。

と、ここで霧裂が注文していた熊鮫の煮込みとアラチという野菜のスープが持ってこられ、そちらに霧裂の注意が集中したせいで鎌咲と瞬谷への非難の視線が止まり、ふーと息を吐いた。

続けて鎌咲達が頼んだものも届き、カチャカチャと食器を鳴らしながらお食事タイム。

シャルロットが自分が注文したステーキに齧り付きながら、しかしその目を霧裂が食べている煮込みから動かさない。


「ん? 食うか?」

「うん!」


口を開けて待つシャルロットに煮込みを食べさせていた霧裂は、にやにやと笑いながらその様子を見ていた瞬谷に視線を移す。


「何だよ」

「いや、こうしてると優しいお兄さんにしか見えませんよ」

「そりゃ優しいお義兄さんだからな」

「え? 妹いるんですか?」

「義妹が居たよ」

「ああなるほど」


ペチャクチャと喋りながらも慣れた手つきで食べさせている霧裂に、へ~と驚いていると、不意に料理店の扉が大きく開かれた。

入ってきたのは、十代後半に見える腰に一本の黄金の鞘に収めた剣を下げた黒髪黒目の青年と、鎧に身を包んだ赤い髪が特徴的な美女にあの少年だ。短く切りそろえた黒髪に真っ黒なキリッとした双眸、何処から如何見てもイケメンフェイスな青年は、静かに店内を見渡し、霧裂のほうに視線を移すと何故か怒りの表情を浮かべ、カツコツと霧裂達に近づく。未だ青年に気付いているのは瞬谷だけで、パクパクモグモグと食事を続ける霧裂達に直感で厄介事だと気付いた瞬谷が知らせ様として、しかしそれより早く青年がドンッ! と強くテーブルを叩いた。


「何だ何だ!?」


行き成りテーブルを叩かれ驚く霧裂の前で、正義感溢れる青年はあのぶん殴った少年の手を引き、抜き放った剣身含め全てが黄金に輝く黄金の剣を突き付け叫ぶ。


「いたいけな子供に暴力を振るったのはお前だな! その捻じ曲がった根性を叩きなおしてやる! この【勇者】光裁誠(こうさいまこと)が相手だ!!」

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