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想い剣  作者: kou
8/10

通達

 「師匠、体調でも悪いのですか?」


襖に向かって尋ねるが返事もなく、気振りも見えない。

廊下に正座して兵太は困惑した表情でため息をついた。

もう2日も顔を見せていない師を心配して、朝稽古を中断してまで様子を見に来たというのに。

そう思うと、軽く咳払いをして背筋を伸ばした。


「失礼します」


そう言って襖を開けた。

しかし、返事があるわけがない。

そこは蛻の殻であった。

兵太は首を傾げる。


「はて、帰っておられぬのか」


部屋に入り、なんとなく部屋を見渡す。

中央には敷きっぱなしになっている布団。

綺麗に片づいている。

というより、物がなにもない部屋だった。


「…うん?」


そのなにもない部屋でふと兵太の目に止まった。

布団の横にだらしなく開かれた紙切れ。

それを手に取ると、目の前に広げた。


「これは…通達書?」


ゆっくりと目を通す。

しばらくして、くしゃりと音が鳴った。

暢気な表情は一転、雲行きが変わる。

足早に廊下に出る。

中庭には、鳥がのどかに散歩をかましていた。

辺りを見渡す。

当然、屋敷には誰もいない。

手に握り潰した手紙をもう一度見つめた。


「まさか、師匠…」


呟く声は、走り出す音にかき消された。


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