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第二十九話 最上級任務




カリスが亜人種保護部隊で活動し始めて半年の月日が経った。


彼は明言した通り上級任務を率先してこなし、多くの功績を積み重ねていった。


准兵士から下級兵士へは容易に昇格できる。


この昇格のみは慣れてきたかどうかという簡単な判定基準だからだ。


だが、それ以降はそう簡単にはいかない。


下級兵士から中級兵士に、中級兵士から上級兵士に、上級兵士から准騎士にと段階を踏む度に昇格は難しくなっていく。


必要な功績の数も多くなり、双肩にかかる責任も重たくなっていく訳だ。


准兵士からは数日で下級兵士へと昇格できたが、中級兵士になるにはより長き月日が必要となる。


それこそ、最初の昇格が嘘であったかのように長い。


その為、准騎士であるカリスが更に昇格する為にはそれ相応に功績を重ねる必要があるという事になる。


半年間、懸命に働き、漸くカリスは下級騎士の階級を得る事が出来た。


カリスの同期である者達も順調に昇格している。


疾風のマジシャン、ガスト・ゲイルラインは上級兵士に。


鬼人、コウキ・マエヤマは中級兵士に。


魔剣士イレイス・クラインは中級兵士になり、更にダブルアークへと昇格した。


イレイスを最初にシングルアークとしたのは下級任務を消化したいキルロスの策だった。


ダブルアーク、トリプルアークともなれば、下級任務を受諾しない。


結果として、下級任務の数と下級任務を受ける人数がつり合わなくなってしまっていたのである。


そこでイレイスの存在は役に立った。


ダブルアークに値する実力を持つイレイスをシングルアークとする。


それによって、出世欲が強く、自尊心が強いイレイスは『出世する為、見返す為には数をこなすしかない』と懸命に下級任務を消化する事は容易に察せられた。


イレイスの性格を利用した策だったのである。


それが効を奏して下級任務はかなり消化できていた。


そして、後はもう他のシングルアークに任せれば大丈夫だろうという首脳陣の判断でダブルアークに昇格が成されたという訳である。


氷結のマジシャン、キャル・ラズリアと魔槍使い、ロザニィ・ラズリアの双子姉妹も順調に功績を重ね、中級兵士の階級を得た。


彼女達は二人で任務をこなす事を常としており、昇格に遅れは出ているが、二人での戦闘に磨きがかかっていた。


ダブルアークである彼女達だが、二人合わせればトリプルアークにも遅れを取らないだろう。


昇格の差はやはりこなす任務の位の違いからだ。


任務の数は圧倒的にイレイスが上回っているが、全て下級任務。


最近になって中級任務もこなすようになったが、その数も大した多さではない。


上級任務を一人でこなし続けたガストが最も出世しているのが任務の位による違いを表していた。


カリス達が順調に任務をこなす傍ら、ミスト、ローゼンもまた懸命に日々を過ごしていた。


姫として、巫女として、教育を受け、成長していくミスト。


ミストを護りつつ、カリスの依頼された調査をこなしていくローゼン。


真実にまで辿り着く事はなかったが、それでも徐々に近付いている事は確かだった。


カリスも調査を依頼した調査員から情報を仕入れ、ローゼンと共有する事で確かな事実を求めていった。


半年間、カリス達は確かな実績を残していった訳だ。


そんな折、カリスは聖巫女より嫌な噂を聞く。


『最近、革新軍なるものが出来たらしいのです。首謀者は調査中ですが、目的は政権を奪う事にあると聞きます』



政教分離を掲げる謎の組織。


首謀者、参加者は不明だが、徐々に勢力を拡大しているらしい。


噂の段階でしかないが、火のない所に煙は立たないという。


注意するように、聖巫女は身内や護衛部隊に呼び掛けた。


カリスは胸中に不安と警戒を抱えながら、今日も任務をこなす。










「お前達と共同で任務を受けるのは初めてだな」


大剣を背中に掛け、仮面とマントを付けた騎士。


「ふん。貴様のように群れるのは嫌いだからな。今回は仕方なくだ」


豪華な装飾品に身を包み、杖を懐に入れるマジシャン。


「この程度の任務など俺一人で充分だ。お前達は引っ込んでいろ」


剣を腰に佩き、常に仏頂面な剣士。


「ほぉ。自信があるようだな。イレイス」


現在、カリス、ガスト、イレイスの三名が馬に跨り目的地へと移動していた。


総勢三名の共同任務である。


単独行動を好むガストとイレイスが共同任務を受けた理由。


それはこの任務が最上級任務であるからだ。


キルロスに何の意図があったのかは知らないが、命令という形で三人に依頼された。


イレイスとしては下級任務という小さな功績ではなく大きな功績が欲しい。


中級までしか受けられない我が身を憎んでいたが、最上級任務というチャンスが舞い込んできた訳だ。


渋々ではなく、自ら立候補するぐらいの勢いであっただろう。


ガストとしては命令なので渋々といった感じだ。


孤独を好む彼は戦闘方法も単独でのものを意識していた。


他人に合わせる術も学んでいるが、本人が一人を好む以上、合わせる事もしないと考えられる。


この三人、能力は非常に心強いが、連携という面では非常に不安が残る構成だった。


「そういう奴が一番足を引っ張るんだがな」


「何だと?」


「ふん。事実を言ったまでだ」


「てめぇ!」


そして、更なる問題。


イレイスとガストの仲の悪さである。


かたや最高位と言える公爵家の出身であり、衣服や装飾品で裕福な暮らしをしている事が分かる。


かたや最下位と言える男爵家の出身であり、傷付いた防具、汚れた衣服などで貧乏な暮らしをしている事が分かる。


元々反りが合わないであろう二人。


そこに出生や家の事まで絡んできたら手の付けようがない。


「まるで礼儀がなっておらん。貧乏貴族が公爵家の子息である俺に対してめぇとはな」


「てめぇはガキだな。公爵家という後ろ盾がなければえばれないのか?」


「貴様! 今、何と言った!?」


「公爵家の野郎は耳が遠いみたいだな。ああ。いいぜ。教えてやる。てめぇは公爵家という看板がなければ何も出来ないお坊ちゃんって事だよ」


「貴様ぁ! 言わせておけば」


怒りの形相を見せ、今にも飛びかかろうというガスト。


「ほらほら。お坊ちゃんが。来るなら来いよ」


対するイレイスはかかって来いよと言わんばかりの態度である。


「・・・はぁ(キルロスさん。何故、この組み合わせに)」


喧嘩腰の二人の後ろでため息を吐くカリス。


彼らと組んだ以上、こうなる事は分かっていたのだが、やはり疲れる。


「やめろ。二人とも」


味方同士で争いかねない二人。


本格的な喧嘩になる前にカリスが仲裁に入る。


「イレイス。そう挑発するな」


「ふん。先に突っかかって来たのはあいつだろうが」


「何!?」


「ガスト。お前もお前だ。上流階級を自負するのなら、多少の挑発に乗るな。大人ならば笑い飛ばすぐらいの懐の広さを見せてやれ」


「チッ!」


舌打ちをしながら、先へと進んでいってしまうガスト。


いつも傲慢ではあるものの冷静なガスト。


それがあれだけ取り乱してしまう。


相当、彼らの間にある溝は深い。


「何故、そうガストに突っかかる?」


「突っかかっていないと言っているだろう。お前には分からんよ。公爵家に養子入りしたお前には男爵家である俺の気持ちなんて」


そう言い残し、ガスト同様、イレイスもカリスから離れていった。


「実際は子爵家なんだがな。アークルインと改名したし」


この半年間、カリスにも様々な事があった。


まず、ミスト、ローゼンとのセイレーン観光。


カリスは顔を隠す事もせず、ミストも姫としての衣服ではなく、以前の衣服に身を包み、ローゼンは人間形態で堂々と観光した。


セイレーンは自然との調和を大事にしている。


よって観光地と呼べる場所も自然が溢れる場所が殆どである。


野原一面に咲く花。


大きく綺麗な湖など。


美景、絶景と呼べる数多の観光名所がセイレーンにはある。


それらをカリス達はのんびりと観光した訳だ。


心癒され、身体休まった事は間違いないだろう。


次に、友人との再会。


セイレーン傭兵ギルドに戻っていたアリアとラミット。


カリスは彼らと再会する事が出来たのである。


カリスが二人と会った時に、仮面の事で驚かれたのは言うまでもない。


ラミットに関しては爆笑であった。


そこでお互いに状況を報告し合い、互いの現状を知った。


二人も亜人種保護部隊に入隊しようとしたらしいが、カリスからの依頼を引き受ける形で断念とした。


カリスは二人に傭兵達の間で情報収集するように頼んだのだ。


傭兵は多くの戦場を渡り歩き、多くの情報を握っている。


そんな彼らならば、カリスとローゼンが調査している事件の事に関して何か知っているかもしれない。


二人はカリスが強く望む為、その要望を叶える事を友情の証とした。


こうして、カリスはローゼンによる王宮内の情報、調査部の調査員による亜人に関わる事の情報、ラミット、アリアの両名による傭兵間の情報と三つの情報網を得た訳である。


真相を解き明かす日もそう遠くないであろう。


そして、最後にアークライン家の改名である。


以前、ランパルドが話していたように、ランパルドが立ち上げたアークライン分家は王家の権限により立ち上がったものでアークライン本家配下ではなく、王家配下である。


その為、分家と名は付くものの、実質は一つの家として確立している。


本家配下であれば何の問題もないが、王家配下という事は国内にアークラインと名が付く家が二つあるという事になってしまう。


その状態は色々と紛らわしく、ランパルドとしても本家や他の分家に申し訳ない。


また、現在の本家当主はランパルドの息子であり、引退した身としてはいつまでもアークラインの名に縋っていたら潔くない。


ランパルドは他家を気遣い、アークラインの名から離れる事を決めた。


当然、ランパルドの養子であるカリスもアークラインという名を改める事になる。


セイレーン王家、五公爵家当主、アークライン分家当主などアークラインに深い関わりがある者達と長きに渡り話し合い、先日漸く改名後の名と立場が決まった。


新たに生まれたはアークルイン子爵家。


これよりランパルドはアークルイン様と呼ばれる事になった。


そして、カリスもまた、カリス・アークルインと名乗るようになったのだ。


これにより、カリスとアークライン家は完全に関わりが失くなったと言える。


相続問題や家督問題に巻き込まれる事は決していないだろう。


継ぐとしてもこちらのアークルイン家である。


と、言っても、領地もなければ、これといった権限もない。


カリスは家ではなく、個人として名を轟かすしかないという訳だ。


ま、カリスとしても望む所だろうが。


「ふむ。犬猿の仲の二人と共同か。前途多難だな」


呆れのため息を吐きながら、カリスは二人に追いつくべくスピードを上げた。










~SIDE イレイス~


ふん。


公爵家の野郎共が好き勝手言いやがって。


お前達に俺のような男爵家の気持ちが分かってたまるか。


生まれながらに裕福な奴らと違い、こっちは生き残るだけでも精一杯なんだよ。


街に活気もなければ、それを立て直す術もない。


今のクライン家を盛り立てるには俺が出世するしかないんだ。


俺がクライン家の名を国中に轟かすしかないんだ。


俺の代で歴史あるクライン家を潰す訳にはいかない。


何としても、俺はお前達より先に出世しなければならないんだ。


家におんぶに抱っこなお前達とは志も気合も違うんだよ!


この任務だってそうだ。


温室育ちの野郎二人なんか足手纏いだ。


トリプルアークだが何だか知らないが、実力は俺の方が上。


あの時は油断して負けたが、次はそうはいかない。


この程度、俺一人で充分だ。


お前達は功績を俺に譲り、さっさと尻尾を巻いて逃げるがいいさ。


それの方が俺の為にもお前達の為にもいいだろうよ。


~SIDE OUT~










~SIDE ガスト~


チッ。


何故、俺があんな奴と共に任務を受けなければならない。


貧乏貴族が生意気な。


最近になって漸くダブルアークに昇格した奴なんて足手纏いでしかあるまいに。


アークラインは別に良い。


・・・今はアークルインだったな。


あいつの実力は肌で感じている。


部隊内で敵わないと思っている奴の一人だからな。


だが、クラインはダブルアークでしかない。


俺達の足元にも及ばないだろう。


まったく。


何故、格下を俺達と組ませた。


キルロスの奴め、何を考えている。


~SIDE OUT~










今回、彼ら三人が引き受けた任務は密漁団の討伐である。


密漁団は亜人種保護部隊からしてみれば天敵と言って良い存在である。


貴族達が奴隷として亜人を欲する限り、密漁団は失くならないだろう。


亜人の奴隷は何よりも金になる。


密漁団の存在は貴族という需要があるからこそ成り立っている。


その為、密漁団の一つや二つを討伐した所で根本的な解決にはならないだろう。


しかし、それでも犠牲が減るならやるべきである。


亜人を保護する以前に、密漁を防ぐ事が出来れば、連れ去られる者も減るのだから。


国の財政とて無限ではない。


保護する数にも限度がある。


いつまでも保護している訳にもいかないのだ。


政治とは綺麗事だけでは成り立たない。


このままでは保護出来る限界数を超えてしまい、保護すべき亜人を政府が殺せざるを得なくなる事も考えられる。


その為に王家はある計画を進めているのだが、カリスが知る由はない。


とにかく、天敵と言える密漁団は討伐する必要があるという訳だ。


数多くいる密漁団を一つずつ潰していくのは地道な作業だが、重要な事である。


カリス達の士気が下がる事はなかった。










「・・・あれか?」


最上級任務を引き受けた際に指定された場所。


それは山を越えた先で、山に囲まれた砂漠地帯である。


砂漠地帯のど真ん中にそれらしき砦が見える。


その砂漠と平原の境目に彼らはいた。


「そうみたいだな」


「なら、さっさと行くぞ」


「焦るな。イレイス。まずは情報収集が先だ」


すぐにでも飛び込もうとするイレイスをカリスが止める。


「何故、そんな面倒な事をしなければならない」


「それだから、貴様はダブルアークでしかないんだ」


「何だと!?」


「この任務は貴様が受けていたような下級任務とは桁が違う。貴様のような甘い考えではやられるのがオチだ」


「てめぇ! 腰抜けが何を偉そうに。挑むのが怖いだけだろうが!」


青筋を浮かべるイレイス。


だが、正しい事を言っているのはガストである。


何の情報もない状態で飛び込んで勝てる訳がない。


いくらカリス達が少数精鋭と言えど、敵は規模が大きい密漁団。


数もあれば、罠もあるだろう。


情報収集するに越した事はない。


「イレイス。ガストの言う通りだ。これは最上級任務。情報がない状態で挑んで成功する程、甘いものではない。準備に余念なくとも危ないのだから」


「チッ。てめぇも腰抜けかよ」


「腰抜けで結構だ。俺達に求められているのは任務の成功。胆力を見せようが、武勇を見せようが結果が全てだ。無謀な行為をする程、俺は愚かではない」


「それは俺が愚かだと言いたいのか?」


「そうだ。お前が考えている程、この任務も、現実も、甘くはない」


「チッ。勝手にしやがれ。俺は俺の好きにやる」


「独断行動は許さんぞ!」


「ふん」


ガストの言葉に鼻を鳴らしながら去っていくイレイス。


向かった先は砂漠ではないので、一応は待機していてくれるという事だろう。


「ハァ・・・」


ため息を吐くカリス。


「あれが噂の問題児振りか。確かにあの性格では単独での任務が良いだろうな」


「自分勝手なだけだろう。現実を知らない唯のガキだ」


呆れるカリスに対し、ガストは憤りを隠せずにいた。


「ま、イレイスの事は置いておこう。問題は・・・」


「ああ。情報収集だな。簡単に言えば、偵察か」


仕掛けるべき時間帯や攻めるべき砦の隙。


流石の調査部と言えど、ここまでは分からなかった。


これらを調査するのは執行部であるカリス達の仕事だ。


調査部からの情報で敵の規模、本拠地の部屋配置、敵兵種の種類と数など、ある程度の事は大まかだが把握している。


ここまでお膳立てされているのだ。


それ以上のものは要求しない。


後は自分達だけでやってみせる。


「とりあえず『何時仕掛ければよいのか』と『何処から仕掛ければよいのか』の二つは調査しておくべきだろう」


「そうだな。堂々と前から行ってもいいが非効率だ。抜け道を探そう」


ガストの意見に頷くカリス。


「俺が『何時』を調査しよう。アークルイン。貴様は『何処』を調べろ」


「了解した」


ガストが『何時仕掛けるべきか』をカリスが『何処から仕掛けるべきか』を調査する事となった。


「とりあえずだ。こんな明るい時から調査は出来んだろう。まずは野営の準備をするべきだ」


「そうだな。ここから少し離れた所にちょうど良い場所があった。そこで野営をしよう」


「分かった。アークルイン。案内しろ」


「ああ。こっちだ」


カリス先導の下、ガストはその場を離れた。


「イレイスには俺から伝えておく」


「ふん。あんな奴は放っておけば良い」


「そうはいかんだろ。放っておけば単独行動しかねないぞ」


「まったく。面倒な奴だ」


移動中でも、ガストのイレイスに対する怒気が収まる事はなかった。










「・・・妙に手馴れているな。貴様」


「お前とは年季が違うからな。野営が当たり前の時期が俺にはあった」


「それでか。俺は最近になって漸く慣れたもんだがな」


野営の準備を終え、食糧を確保してきたカリスを見て、感嘆の息を吐くガスト。


あっという間にテントは建てられ、火が焚かれ、調理が始められた。


「今まで屋敷暮らしが当たり前だったんだろう? 慣れただけでも充分なもんさ」


「ふん」


確かに公爵家として何の不自由もない暮らしをしてきたガストだ。


屋敷内でも全て使用人が世話をしてくれる。


そんな者が野営で、更に一人で全てをこなさなければならないのだ。


それをこなせるようになった、慣れたという事だけで充分に凄い事だった。


「それで? 俺は何をしていればいいんだ?」


渋々といった感じで問いかけるイレイス。


先程、カリスがイレイスを呼びに行き、合流した。


調査は二人でこなすというし、単独行動をしようにも止められている為、彼にはやる事がなかった。


「貴様には何も期待していない」


「何!?」


「イレイス。落ち着け。ガスト。黙ってろ」


呆れながら仲裁に入るカリス。


「お前には戦闘で活躍してもらう。とりあえず調査は俺達に任せ、留守を頼みたい」


「留守番だと? そんな事を何故俺が」


「その程度も出来ないのか?」


「てめぇ!」


「黙ってろと言っただろう。ガスト」


「ふん」


間に入るカリスが本当に大変そうである。


「俺達の移動手段である馬があり、ここは拠点ともなる場所だ。留守番も立派な役目だと思うが」


「チッ。分かった。分かった。やってやろうじゃないか」


「ああ。頼むぞ」


面倒そうだが、しっかりと頷いたイレイス。


カリスは安心して、調理の続きを始めた。


「留守番くらいきっちりこなしてくれよ」


「・・・・・・」


ガストの言葉。


それを完全に無視するイレイス。


ガストの額に青筋が浮かんだ。


だが、それで喧嘩を売れば本当に大人気ない。


深く息を吐き、無視する事を決めた。


「・・・ハァ・・・」


そんな二人を見て、再度ため息を吐くカリスであった。










~SIDE イレイス~


「チッ。腰抜け共が」


何で俺が火の番なんてしなくてはならないんだ。


すぐに攻めて、殲滅して、終わり。


それでいいじゃないか。


こんな任務に時間を掛ける必要がどこにある。


「・・・ハァ・・・」


こんな事で時間を喰っている暇は俺にはないんだがな。


こんな任務さっさと終わらせて、違う任務に移りたい。


「父上。母上」


剣を手に取り、その刀身を見詰める。


この剣は父上と母上が無理してまで贈ってくれたユニコーンの角を刀身の芯とした貴重な剣だ。


その思いに報いる為にも俺は一刻も早く出世しなければならないのだ。


それを・・・あいつらは・・・。


「・・・やはり、俺一人で行くべきか」


・・・ふむ。


やはりそうするべきだ。


そうするのが最も良い結果を得られる。


「そうと決めれば話は早い」


俺は防具に身を包み、剣を腰に佩き、準備を進めた。


向かう先は敵の砦だ。


俺だけで終わらせてやる。


待ってやがれ!


~SIDE OUT~










~SIDE ガスト~


調査を終えた俺は拠点に帰る前にアークルインと合流した。


「どうだった?」


「ああ。見張り番の交代時間が分かった。その時を狙うのが良いだろう」


風が全てを教えてくれる。


俺は風から伝わる向こうの会話を聞いただけだ。


無論、風に協力してもらったがな。


「そうか。こちらは見取り図から判断して、そこを調査したが、意外と罠やら見張りやらで固かった」


「では、隙はなかったと?」


それでは困るのだがな。


「いや。違う所で見つけたさ。そこから乗り込む。見張り番の交代と合わせればバレる事なく侵入できる筈」


どうやら上手く行ったようだな。


「そうか。それなら、その時間に合わせて俺達も侵攻を始めよう」


「ああ」


そう話しながら拠点へと戻ったのだが、そこにはあいつの姿がなかった。


問題児のクラインの姿が。


「チッ。あいつは何をしているんだ?」


テントの中を見てみたが、姿は見えない。


「おい! ガスト!」


慌てているのか、叫ぶアークルイン。


俺はすぐにアークルインの方へ向かった。


「どうした?」


「あいつの荷物がない。防具も武器もだ」


・・・という事は・・・。


「あいつ! 単独で攻め込みやがったな」


留守番すら碌に出来ないとは。


だから、足手纏いだというんだ。


「・・・・・・」


黙り込むアークルイン。


何かを考えているようだった。


それが俺に落ち着きを取り戻させる。


やってしまった事は仕方がない。


それをどう埋めるかが俺達の仕事。


そういう事か・・・。


「俺達が取れる行動は二つ。一つは即刻砦へ向かい、イレイスと合流しつつ殲滅する。もう一つは予定通り相手側の隙を突いて攻め込む。そのどちらかだ」


後者であれば容易に達成できたものを・・・。


いや、最早言うまい。


文句を言った所で状況は変わらないしな。


文句を言うべき対象もアークルインではなく、この場にいないクラインだ。


任務が終わったらどうしてくれようか。


「クラインの処罰は後だ。今、どうするか。それを考えてくれ」


見透かされているな。


ま、いいさ。


「前者だ。後者だとクラインが死にかねない」


「・・・イレイスを庇うと?」


「馬鹿を言うな。俺は勝手な事をした野郎を罰せないのが嫌なだけだ」


「・・・素直じゃないな」


「あ?」


何か言ったか?


「いや。なんでもない。了解した。すぐに攻め込むぞ」


「ああ。怪我する事は覚悟しておけよ」


「それぐらいなら問題ない。俺が治癒してやる」


「ふん。そうだったな」


こいつは聖術が使える。


即死するような事がなければ、治してしまうという訳か。


俺は単独行動ばかりだったが、治癒役がいるというのは良い事かもしれんな。


無論、俺が怪我を負う事は万に一つないだろうが。


「馬は繋ぎ、置いていく。武装だけ纏い、即刻向かうぞ」


「分かっている」


計画は崩れたが、その程度でどうにかなる俺じゃない。


教えてやろう。


ゲイルライン公爵家の疾風というものを。


~SIDE OUT~










~SIDE イレイス~


「追えぇ! 逃してはならん!」


「殺せ! 殺せ!」


チィ。


数だけの雑魚共が。


「そっちにいたか?」


「いや。こっちには」


「クソッ。そこらにいる筈だ。探し、殺せ!」


「オォォォォ!」


囲まれちまうとは迂闊だったな。


流石の俺でもこれだけの人数を一斉には相手に出来ない。


屠っては引き返すを繰り返すか。


「かかってこいや。我こそはクライン男爵家が嫡男。イレイス・クライン。討ち取れるものなら討ち取ってみせよ」


「いたぞ! こっちだ!」


「行けぇ! やっちまえ!」


十人か。


所詮、雑魚。


相手にならん。


「ハァ!」


すれ違い様に一閃。


まず、一人だ。


次!


「ハッ!」


剣に炎を纏わせ、断ち切る。


「な、何だ? この野郎は」


「ふ、ふん。数はこちらが上だ。一斉にかかれば問題ない」


「そ、そうだな。行くぞ!」


その考えは甘いんだよ。


「ウィンドカッター」


向かってくる敵を一纏めに切り裂く。


風の刃。


甘く見るな。


雑魚はこれだけでも充分致命傷なんだよ。


「クソッ!」


残されたのは三人だけ。


いや、三人も残しちまったという訳か。


「に、逃げるぞ」


「あ、ああ」


逃げすつもりはない。


「ファイヤーボール」


まず、これで一人。


「ハァ!」


二人。


「ク、クソッ! オラァァァァァ!」


好都合だな。


向かってくる敵を切り裂く。


「ふん。雑魚が」


ウィンドカッターで仕留め切れなかった奴は剣で突き刺す。


致命傷は負ってても死んだ訳ではないからな。


これで全滅という訳だ。


「いたぞ。あっちだ」


ふん。


来るなら来い。


こちとら雑魚過ぎて退屈しているんだよ。


「あいつか?」


「へい。隊長」


隊長?


密漁団がいっちょまえに隊長とか名乗ってんのか?


笑わせる。


「好き勝手暴れてくれたみたいだな。だが、俺が来たからにはそうはいかせない。ここで死んでもらう」


「ふん。お前も変わらず雑魚だろうが」


「口だけでは何とでも言えるさ。おい!」


「へい!」


チッ。


囲まれたか。


ここは一本道の廊下。


両側から囲まれちまえば逃げ道はない。


タラッ。


額に汗が流れる。


かなりやばい状況だな。


「逃がしてくれそうにはないな」


「ふん。貴様はクライン家だか何だか知らんが、一応は貴族なのだろう?」


てめぇ、馬鹿にしやがって。


「今に見てろよ。俺の名は天下を轟かす」


「ハッハッハ。ここで死ぬお前には無理な事だ。ん? ちょっと待てよ」


何だ?


「いや。生け捕りにしてやる。そうすれば、お前の家から金を奪えるからな」


「なッ!」


「ハッハッハ。これは良い。金持ちから金を奪う。何て民想いの義賊なんだ」


「ハハハハハハ。我々が義賊ですか。それは良い」


クソッ。


賊徒全員で笑いやがって。


馬鹿にしやがって。


「身なりを見れば貧乏な事は分かるが、相手も貴族。相当に金を持っているだろう」


そんな事、させる訳にはいかない。


ここにいる奴ら全て俺が殺してやる。


「ふむ。かかってこいとでも言いたそうな面だな。お望み通りにしてやろう。行け!」


「へい!」


両側から一斉にきやがった。


だが、俺を甘く見てもらっては困る。


「ハァ!」


一閃。


まずは一人だ。


「中々やるようだな。だが、戦いってのは数なんだよ」


「オラァ!」


「クッ」


勢い良く振ってくる斧をどうにか受け止める。


「今だ!」


「グハァ」


その隙を背面から突かれ、俺は壁へと吹き飛ばされた。


クソッ。


今ので、脇腹が。


「休ませてはならんぞ。続け」


「続け!」


「続け!」


ええぇい!


数だけの輩にこうまで舐められるとは。


「袋叩き。何て良い響きだ」


・・・クソ野郎が。


「ハッハッハ。な、何・・・」


な、何だ?


突然、眼の前の雑魚共が吹き飛んだぞ。


「だから、言ったであろう。足手纏いだと」


こ、この声は・・・。


~SIDE OUT~










~SIDE ガスト~


「だから、言ったであろう。足手纏いだと」


アークルインと共に来てみれば、群がる賊徒に追い詰められたクライン。


まったくもって足手纏いだな。


「ガスト」


「ああ。ウィンドニードル」


とりあえず、道を切り拓くか。


「グハァ」


「グァ!」


避けられる者などいない。


ウィンドニードルは完全に俺の支配下にある。


ま、例外はあるがな。


「ク、クソッ」


こちら側は完全に蹴散らした。


残るは逆側のみ。


とりあえず、あの足手纏いを救出するか。


「無事か? イレイス」


「・・・てめぇら」


「考えもなしに飛び込むからそうなる。これで自覚しただろ?」


「クッ!」


「まぁいい。後は任せて治癒してもらえ。アークルインは治癒要員だ」


「おいおい」


クラインの事はアークルインに任せ、俺は残る賊徒共と対する。


「さて、始めようか」


詠唱は既に済ましてある。


少しでも隙を減らす為に、事前に詠唱を済ませるのはマジシャンの基本だ。


まぁ、それでも完全に失くす事は出来ないが。


「今度はお前が相手をしてくれるのか? ま、先程の奴の仲間だ。大した事はないだろう」


「試してみるか?」


舐められる訳にはいかないんだよ。


ゲイルライン公爵家の一員としてな。


「おい。ガスト。大技は使うなよ。砦が壊れる」


「ふん。そんな事は分かっている。この程度の輩に行使する事自体勿体無いだろうが」


貴様は黙って治癒していろ。


なに、貴様の出番はないさ。


「とりあえず、だ。貴様一人だけ残してやる。光栄に思え。ウィンドカッター」


複数の風の刃を空間に具現化。


そして、放つ。


「グハァ!」


「他愛もない。所詮は賊徒。俺の敵ではないな」


賊徒共の身体を断ち切る。


うむ。


やはり風は良い。


「お前は何者だ? それ程の威力。並みのマジシャンではあるまい」


「ふん。賊徒に名乗る名は持たん。俺は己が名を誇りに思っているからな」


「ほぉ。偉そうにまぁ。だが、こいつらと俺は違うぞ」


「そうか。それなら、少しは楽しませてくれ。雑魚相手はつまらん」


来るならさっさと来い。


「オラァ!」


「ふん。そんな大振りで・・・なッ!」


当たりはしなかった。


だが、あの力はなんだ?


斧を壁にぶつけた衝撃で壁を破壊してしまった。


「甘く見るな。俺とてこの組織で隊長職に就く一人。お前達程度には負けんよ」


馬鹿力め。


「ほらほら。避けるだけじゃ何も変わらんぞ。攻撃してくれば良いじゃないか?」


好き勝手言う。


そんな余裕を与えるつもりはないのだろう。


「なるほど。マジシャンにしては中々動けるな」


止まった!


今こそ好機!


「ウィンドニー・・・」


「オラッ!」


魔術を行使しようという瞬間、迫ってくる斧。


あいつ、斧を投げてきたのか。


「じゃあな。坊ちゃん」


クソッ。


避けられん。


「近接戦闘なら俺に任せてもらおうか」


バッと俺の前に現れ、斧を薙ぎ払う影。


「・・・アークルインか。相変わらず余計な事をする」


「お前ばかりに働かせる訳にはいかないからな。後は俺に任せておけ」


「手を出すな」


そいつの相手はこの俺だ。


「ガスト。お前程の頭なら理解できるだろう。お前の役目は対多数。俺はこういう奴を仕留める為にいる」


・・・それぐらいは理解している。


魔術が行使できる俺は多数を殲滅するのに向いているとな。


だが、一度対すると決めた以上、そいつの相手は俺が務める。


「おうおう。既に倒した気でいるのか? 優男が」


「ふむ。見た所、余裕そうだからな」


「華奢な身体で俺に対するとは無謀だな。仮面野郎」


・・・確かにアークルインの見た目は華奢だ。


それに対し、向こうの賊徒は大柄で斧を棒のように扱っている。


流石のアークルインと言えど、分が悪いのでは?


「ふむ。力こそが全てと?」


「無論だ」


「では、試してみるか? まぁ、力比べでも負けんとは思うが」


「ほぉ。優男が何を根拠に」


「試してみるかと言っている」


「上等じゃねぇか。オラァァァァ!」


向かってくる賊徒。


アークルインはその場に立ち、受け止める体勢を取っている。


「無謀だ! あいつの力を見ただろう!」


お前では弾き飛ばされるのがオチだ。


「まったく。俺は信用されていないな」


「何?」


何を言っているんだ?


「あの程度の斬撃。何度受けていると思っている」


ガンッ。


「な、何!?」


・・・軽く受け止めやがった。


まるで動じず、真正面から、あれだけの斬撃を。


「我が父は俺以上の剣士。あの程度の斬撃など幼少の頃より受けていた」


・・・貴様以上だと?


そんな剣士を父に持つのか、貴様は。


「それに」


バッと大剣を振り回し、賊徒を吹き飛ばすアークルイン。


「本当の斬撃とはな」


そして、壁へと吹き飛ばした賊徒に向かって勢い良く飛び込み、一閃。


そのスピードは凄まじく、瞬きする暇さえ与えてくれない。


「全てを断ち切る。衝撃で破壊するような事はしない」


賊徒のみではなく、後ろの壁まで断ち切ってみせた。


壊すという表現が似合う亀裂入りの破壊ではなく、本当に一直線に亀裂一つなく切り裂いてみせた。


賊徒からしてみれば、『何時斬られたのか』と思うに違いない。


それ程に奴の素早さは凄まじく滑らかな太刀筋だった。


・・・どうやら、俺はまだこいつの事を過小評価していたらしい。


「さて、イレイス」


「な、何だよ?」


「独断で単独行動。結果を残せるのなら良いだろう。だが、結果も残せず、足を引っ張った。それに対してお前はどう弁明する」


「そ、それは・・・」


言葉が詰まるクライン。


だが、それも仕方がないかもしれない。


今のアークルインからは眼も合わせられない程の殺気で満ちている。


俺とて口を挟めそうにない。


「戦闘がどういうものなのか。それを理解していないお前は足手纏いでしかない。邪魔だ。先に帰っていろ」


「なッ」


今まで一言も『足手纏い』や『邪魔』だと言わなかったアークルインが辛辣に告げる。


何の遠慮もなく、遠まわしにではなく、針のように鋭く。


「俺は戦場を甘く見る者が何よりも嫌いだ。そいつのせいで味方に被害が被り、作戦も台無しになる。百害あって一利なし。お前がここにいる資格はない。消えろ」


「ま、待ってくれ」


「消えろと言っている」


有無を言わせない態度。


そして、醸し出される威圧感がクラインを黙らせている。


「何がお前を焦らせているのかは知らん。だが、ここにいる以上、最善の結果が得られるよう努力するべきだ。何を甘えている。お前こそ現実を直視していない腰抜けだ」


「・・・・・・」


「戦場に立つのなら、感情を抑え、常に冷静でいろ。お前のような目先の事だけしか考えられない味方は邪魔でしかない。もう一度言う。消えろ」


「お、おい。アークルイン」


「何だ?」


俺の言葉にアークルインは振り向き、俺を見詰めてくる。


仮面越しに伝わる殺気。


眼があった瞬間、全身に鳥肌が立ち、身体が震えた。


今までに味わった事のない恐怖感。


この俺がここまで恐怖するとは・・・。


「・・・・・・」


「何だと聞いている。ハッキリしろ」


「お前こそ落ち着いたらどうだ?」


「何?」


・・・ッ!


更に殺気が増した。


「落ち着けと言っているんだ。貴様らしくない」


「俺らしく? お前に俺の何が分かるんだ?」


「そ、それは・・・」


「お前は甘い。誤りは誤りであると告げなければ、こいつが考えを改める事はない」


「・・・俺が甘い?」


この俺が甘いだと?


「そうだ。問題児なら問題児で結構。だが、己が過ちを改める事はしないのは問題児以下。愚者でしかない。ここで言わずして何時言うんだ」


「・・・・・・」


何も言い返せなかった。


俺は言い過ぎだと思っていた。


だが、正しいのはアークルインだったのかもしれない。


散々、今までクラインは問題児として他者に迷惑をかけてきた。


そして、今回もまた同じ事をして迷惑をかけた。


まるで過ちを改めていない。


そんな奴にはハッキリと言ってやるべき。


厳しく、激しく諭す必要があるという事か・・・。


「た、頼む!」


「何だ?」


「もう単独行動は取らない。お前の指示にも従う。だから・・・」


「お前は何もしなくて良い。さっさと消えろ」


「だから、俺も連れて行ってくれ。頼む!」


「・・・・・・」


アークルインは口を開かない。


「俺は・・・どうしても出世しなければならない。家が貧乏で、領地にも活気がない。クライン家を存続させる為には俺が出世するしかなかった」


・・・そうか。


それであんなにもこいつは懸命に働いていたのか。


「焦っていたのも認める。己の過ちを省みなかった事も認める。己を過信していた事も認める」


「認めて、それでどうするんだ?」


「改める。己の力量を把握して、常に冷静でいようと心掛ける。独断での行動もしない」


「口では何とでも言える」


「なら! それなら、今後の俺を見てくれ。二度と過ちは繰り返さない」


「言ったな?」


「ああ。二言はない」


真剣な表情でアークルインを見詰めるクライン。


「ガスト!」


「な、何だ?」


突然呼ばれ、思わず慌ててしまった。


「お前がイレイスに戦闘の何たるかを教えてやってくれ」


「何故、俺が?」


「何故、こいつに俺が」


「黙れ。戦場で余計ないがみあいは必要ない。もしや、感情を抑えられないとは言わないだろうな?」


「・・・・・・」


「フン」


良いだろう。


教えてやるさ。


「行くぞ。ここまで来たからには敵の頭領を仕留める」


先を歩くアークルイン。


俺達は無言でアークルインを追う事しか出来なかった。


~SIDE OUT~




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