story10 業界のここだけの話
「そう言ってくれてありがとう! 僕も良かったとこれで思ってるよ」
僕たちは、出逢って3日間と言う短い時間で仲良くなっていた。
そしてその日の夜の事である。お互い別々の部屋で寝ようとしていた時に僕は、古川さんと店長さんである片岡さんの事を考えていた。
それにしても僕は、今まで21年間ずっと女の子との付き合いと付き合いは無かったしモテることもぜんぜん無かったのに今年の4月になってから急に古川さんと彼氏彼女関係でもないのにいきなり同棲することになったり、就職をするためにコンビニで働こうとしたつもりが店長さんに惚れてしまいそうな自分もいるし、僕ってもしかしたら一気にモテ期が来てしまったのかな。
でも喜んでもいられないんだよなー。
ここからそのコンビニまでの距離が近いから古川さんと店長さんである片岡さんが会ってしまうと場合によっては僕は、トライアングルになってしまう可能性もあるからね。
考えただけで頭痛がしてきた。 取り敢えず今日は寝るとしよう。
それから僕は、何とか眠りについて次の日を迎えた。
僕たちは、朝食が終わってから古川さんから話してきた。
「そう言えば、私明日からリリイベが始まってお仕事が増えるから帰りが遅くなることが増えるかもしれないけど、ごめんね。リリイベの予定表渡しておくね」
「教えてくれてありがとう! 気にしなくて良いよ!お仕事頑張ってね」
「ありがとう!頑張ってくるよ」
「そう言えばリリイベってどういう意味なのかな?何かの略語かな? 」
「リリイベとはリリースイベントの略で主にアイドルがCDを発売するときに行われることが多いね」
「そうなんだ! 僕は、略語とかはあまり詳しくないからね」
「私もあまり詳しくはないよ。ただリリースイベントは、何回かしてきてるからね。それにしてもこの業界は昔と比べたら言いやすくなったって社長が前に言ってたんだけど、私はそうは思わないのよね」
「それはどうしてなの? 最近だとアイドルだった人がセクシー業界に進出することもよくあるみたいだけどね」
「確かにそうなんだけど、この業界に入ってるって言うだけで汚れた女扱いされたりとか変態女と間違えられたりすることもあってすごく辛いんだよね~確かに休みの日は何日間かあったりはするけど、本格的な仕事となれば朝から夜まで、時には深夜になることもあるからね」
「深夜って寝る時間無いじゃないですか! 」
「そうなのよね~ おまけに給料も決して高くなくて割に合わない事がほとんどだったりするから精神面で疲れてきてしまってる部分は前からあるね」
「僕かこれから頑張って働いて古川さんの負担を減らしてあげられるように頑張るよ」
すると古川さんの顔がほんのりと赤くなりながら僕に言った。
「ありがとう! 甘えたくなってしまうよ。でも私たち今は付き合ってるわけでも無ければ結婚してるわけでもないから自分のために頑張らないと」