36『聖なるお昼』
間章
36『聖なるお昼』
二学期の終業式を終えた昼下がり。
冬休みを前に沢山の人で賑わう商店街に、私は一人でやってきていた。
市内の学校の多くは、今日が今年最後の登校日らしくて、喫茶店やカラオケの店の中で、制服姿の学生さん達をよく見かける。
それに加えて今日は、一年に一度の特別な日でもあるから、大切な人と二人きりで手を取り合い、幸せそうに過ごしている人達も多いみたい。
そんな人達とすれ違って、私はこの間見つけた雑貨屋さんを訪れる。
北欧テイストのインテリアや木製家具が取り揃えられたこのお店は、クラシカルな統一感があり、ゆったりとリラックスできるような優しい空気が作られていた。
陳列された商品を見渡してみても、綺麗で可愛いらしいデザインの物が多い。
どれも私好みで、レトロポップなアラーム時計や、落ち着いた色合いの手織り絨毯に、ついつい手を伸ばしてしまいそうになるけど、今日は私の買い物に来た訳ではないから。グッと我慢して、お店の奥へと足を進めた。
「よかった。まだ残ってる」
突き当たりの一画には、寒さを凌ぐためのブランケットやチェアマットが並べられていて、その中に目星をつけていた紺色のマフラーを発見する。
手に取ってみると、とても軽くって、なめらかな感触が気持ちいい。
それでいて生地は厚めで、保温性も凄く高いみたいだから、きっと、これからの季節に役立ってくれるって思う。
買うかどうかは、三日以上悩んじゃったけど、やっぱり欲しい。
帰りのホームルーム中もずっとずっと考えて。
気を遣わせちゃうんじゃないかとか。
困らせるんじゃないかって不安だったけど。
それでも、寒がりなあの人のびっくりした顔が見たいから。
プレゼントするんだ。
「……喜んでくれるといいな」
レジに向かって、お会計を済ませる。
学生の私には決してお手頃とは言えない料金を支払ったら、お財布の中身が寂しくなっちゃったけど、頭の中は彼の柔らかく微笑む表情で一杯だった。
「ふんふんふふーん」
上機嫌で雑貨屋さんを後にして、駅までの道のりを引き返す。
きっと、彼も今頃は家に帰っている筈なので、少し急ごうかな。
時間帯がお昼時を過ぎても商店街は賑やかになっていくばっかりで、早足で歩いていたら、行き交う人達とぶつかりそうになってしまう。
信号が赤になって、横断歩道の前で立ち止まると、瞬く間に人だかりができて、私の隣りに、他校の制服を着たカップルが立ち止まった。
ちらっとそっちを見てみたら、二人は緊張した顔付きで、手を繋いでいる。
「……ふふっ」
その様子が羨ましくて。微笑ましい。
祝日でもない平日に、これだけの人が集まる理由は一つで。
今日は十二月二十四日。
クリスマスイブの当日だった。
今日という素敵な日を彩るために、商店街のアーケードには、鮮やかに飾り付けがされていて、夜になるとイルミネーションが点灯されるみたい。
その光景が凄くロマンチックだって。クラスの子達が言っていて。
本当は、誠太を誘って一緒に見たかったけど……。
クリスマスプレゼントを渡すかどうかで悩んでいる私が、そんな勇気出せる筈もない。今年は内緒のプレゼントだけで我慢だ。
いいもん。今日は二人で晩御飯作ろうねって約束してるし。
何回も練習したオムライスを食べてもらえるだけで幸せだから。
晩御飯の買い出しを一緒にして、隣り合ってご飯を作って。
母さん達も夕方くらいには帰れるって言っていたから、四人で食卓を囲んで。
そうしたら、また誠太の部屋で夜遅くまで勉強をして。
ただのデートなんかよりも充実してる。
全然不満なんてないもん。
「むぅー」
幸せな空気に充てられて、ピリピリしながら角を曲がる。
「きゃっ」
「……っ」
そこで、ちゃんと前を見ていなかった私は、建物の陰に隠れていた人に気付かず、正面からぶつかってしまった。勢い良く歩いていたせいで、咄嗟に避けることもできなくて、肩をぶつけたその人は、そのまま地面に尻餅を付いてしまう。
「ご、ごめんなさい!」
「いえ……。私もよそ見をしていたので」
「大丈夫ですか? ……え? あなたはーー」
慌てて手を伸ばそうとして、気付く。
その人は青山高校の制服を着ていて、一度だけ話したことのある女の子。
だけど、私の頭の中には、とても強く印象に残っている。
頭の後ろで一纏めにした大人っぽい髪型に。
切れ長の瞳と。まっすぐ通った鼻筋。
一目で美人だって分かる。その人の名前はーー。
「……すーちゃんさん」
「私のこと。そんな風に呼んでましたっけ?」
「あ、えっと……」
「別に何と呼んでもらっても構いませんけど。お久しぶりですね。……穂花さん」
彼女は、柊純恋さん。
私と同じ高校二年生で、誠太が働いていたバイト先の後輩さんだ。
倒れ込んでいるのに不思議と堂々としている彼女は、中途半端に差し出していた私の手を掴んで立ち上がる。
それからスカートに着いた土埃を払うと、凛とした表情で私の方に向き直った。
「こ、こんにちは」
「……」
「あ、あの……」
お互いに顔見知りの関係ではあるけど、誠太がいる時にほんの少し話したことがあるだけだから、何を話せばいいのか全然分からない。だから、一先ず挨拶を試みてみたけど、すーちゃんさんはそれを華麗に無視して、視線を私の胸元に移す。
そこには、ラッピングされた紙袋が抱えられていて。
「……それ。大丈夫でしたか?」
「え? あ、はいっ。大丈夫です。ぶつけて壊れたりする物じゃないので」
「そうですか。ならよかったです」
話し方は端的で、表情も少ないけど、もしかしたら気に掛けてくれたのかな。
私の不注意でぶつかっちゃったのに。
「あ、ありがとうございます」
「感謝されるようなことはしてませんよ」
「……心配してくれたから」
「別に……。興味が惹かれただけです。壊れていても弁償なんてしませんよ」
素っ気ない言い方のすーちゃんさん。
私はこの人のことをよく知らないけど、きっと、良い人なんだと思う。
そんなことを考えながら、ぷいっと顔を逸らしたすーちゃんさんをじぃーっと眺めて、私はようやく彼女の左手にも紙袋が提げられていることに気が付いた。
「そ、それ! その袋に入ってる物は大丈夫でしたっ?」
「どうでしょう。割れていたら弁償して下さいね」
「ひ、ひぇっ。い、いや。勿論です! ま、任せてください」
所持金はもう殆ど残っていないけど、私が悪いから仕方ない。
タンスの奥にあるなけなしの貯金を崩す覚悟を決めて大きく頷いて見せたら、彼女は何故か口元に手を当て、微かに口元を綻ばせた。
「ふふ。冗談です」
「えっ。えっ……?」
「地面には落としていないので、大丈夫なんじゃないですかね」
あっけからんと訂正して、意地悪に微笑む。
その表情は、幼さが混じっていて可愛かったけど、それってつまり……?
「揶揄ったんですか……っ!?」
「穂花さんって、楽しい反応しますね」
「う、うぅ。ひどいです……」
まだ二度目ましてなのに、凄く自然に意地悪されて吃驚する。
しかも、彼女はその間ずっと真顔だから。心臓に悪くて仕方ない。
「あの人に似てきたんじゃないですか?」
「……あの人?」
私達が共通して知っている人は限られていて。
この人が、その言葉だけで伝わると思っているということは。
きっとーー。
「えっと……」
私は、純恋さんのことをよく知らない。
私と同じ高校二年生で、誠太が働いていたバイト先の後輩さん。
たったそれだけのことしか知らなくて。だけど、言葉通りの関係だけじゃないって、私はずっと思っていた。
彼の家庭環境を知っている数少ない人で。
私が知らなかった進路についても知っていて。
誠太と“特別”な繋がりを持つ人だと疑わない。
彼女が、誠太に対してどんな想いを抱いているのか。
それを、知りたい。
「すーちゃんさんは、誠太のことーー」
好奇心では終わらない想いを、勇気を振り絞って言葉にする。
でも、私が言い終わるよりも先に、
「少し時間はありますか?」
彼女は、困ったように微笑んだ。
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すーちゃんさんに付いて歩き、私達は商店街の中心にある小さな広場のベンチに二人並んで腰を下ろした。目の前には背の高い複合ビルが建てられていて、喫茶店や英会話教室など、色んなお店が入っている。
一階はコーヒーショップになっていて、周辺のベンチにも、コーヒーを片手に一息吐いている人達が多い。
「……」
「……」
きっと、お互いに話したいことがあって、落ち着ける場所を探してみたけど、私達は何分も黙ったまま、街行く人達を静かにじっと眺めている。
やっぱり、行き交う人々は幸せそうで、商店街全体には陽気な空気が流れているのに、私達の間にだけ物言わぬ重圧感が立ち込めていた。
すーちゃんさんは、どんな話がしたかったんだろう。
幾つも想像することはできないけど、その全てが軽い雑談にはなりそうになくて。何を言われてしまうのかなって思うと息が詰まる。
チラチラ彼女を覗き見た時に見つけた、紙袋の中身も私の緊張を加速させた。
白黒の包装紙に包まれた小さな四角い箱は、一体誰に渡すつもりなのかな。
もしも。誠太にだったらどうしよう……。
ううん。何を言われたって強い気持ちで応えなきゃ。
知り合った歴は彼女の方が長いかもしれないけど、想いの大きさなら、私だって負けていない。いざという時は、彼にも伝えていない気持ちを告白するんだ。
そんな風に決心を固める私と同じタイミングで、すーちゃんさんもゆっくりと口を動かし、言葉を紡ぎ始める。
「それ。先輩に渡すプレゼントですか?」
「そうです。今日、誠太に渡します」
「誠太に。……なるほど」
「なんですか?」
「いえ何も。良好な関係を築けているみたいで何よりです」
私の返答に、意味深な呟きを漏らすすーちゃんさん。
その意味が分からなくて視線を向けると、大きな瞳と目が合った。
強い主張を宿した眼差しは、私を覗き込むように見つめていて。
試すような。見定めるような。そこはかとない圧を秘めている。
それは根拠のない感覚だったけど、私の勘を裏付けるように、彼女は言った。
「まだ。好きなんですね」
「はい。ずっと好きです」
気持ちで負けちゃいけない。
確認のような問いかけには、はっきりとした言葉を返す。
「……食い気味」
「はっ……。ご、ごめんなさい」
私があまりにも前のめりで話すから、すーちゃんさんが引いている。
私の予想だともっと少女漫画みたいなドロドロの展開になると思っていたのに、彼女は特にリアクションもなく、ほんの少しだけ目を見開いただけだった。
見逃してしまいそうなくらい小さな動き。
でも、分かり辛い仕草の中に、彼女の想いが隠れている。
「本人には伝えたんですか?」
「うっ。……誠太には伝えられてません」
「え? あんなに堂々と宣言していたのに?」
「ほ、本人を前にするのとしないのじゃ違うから……」
「私には言えるんですね」
「……負けたくないので」
誠太にとって特別な人には。
「……。進路のことは聞けましたか?」
「はい」
「過去のことは?」
「……今は話さないって」
「そうですか……。私は知ってるんですけどね」
「むかっ」
「知りたいなら、教えてあげてもいいですよ?」
「いいですっ! いつか誠太の口から教えてもらうので!!」
ぐぬぬぬ。
ちょっと私より彼といた時間が長いからって、得意な顔しないで欲しい。
私だってその内教えて貰うんだから!
「まぁ。私も先輩から教えて貰った訳じゃないんですけどね」
「え……? そうなんですか?」
「いつだったかもう覚えてもないですけど……。宮上さんが話してくれたんです」
「あぁー……」
誠太のことになると何処にでも出てくる。
たぶん誠太と一番付き合いも長い人。
こんなところにまで名前が挙がって、私は一気に嫌な気持ちになってしまった。
「あの人のこと嫌いです」
「得意げに好きな人の話をしてくるところが?」
「付き合いが長いからって何でも知ってるぜ。みたいなドヤ顔が癪に障ります」
「……穂花さんって。嫌いとか言うんですね」
「この感情が湧き出してくるのはあの人だけですよ」
「な、なるほど……。仮にもあなたが好意を寄せている人の親友なんですが」
あの人にだって負けたくない。
知っていることも。思い出の数も。
「まぁ、私も大方同意しますが……。もしかして穂花さん。重いタイプですか?」
「な、なんのことですかっ。重いだなんて。そんなことは断じてないです!」
「さっきから発言の節々から滲み出てますよ」
「違うもん。不安だからって大泣きして、誠太も困らせたりしてないもん……」
「凄く具体的なんですが……。もしかして。やっちゃいましたか?」
うぅっ。思い出すだけでも、あの日の自分は痛々しい。
何を言われても、泣くつもりなんてなかったのに……。
「まぁまぁ。いいじゃないですか。痛い目みないとあの人は気付かないですから」
「うーん。そうなんでしょうか……」
「きっと、軽くて分からないよりは、重い方が伝わるかもしれませんし」
「……なんだか。何処かで聞いたことがあるような気がします」
私の親友は重ければ重いほど良いなんて言っていたけど、本当なのかな。
「私も……」
「はい?」
「私も。あなたみたいに一途になれていたら。違ったんですかね」
「……」
そう独り言のように言って、前を向く姿は、何かを振り切ろうとするみたいで。
私は相槌も打てずに、彼女の瞬き一つでさえも焼き付けようと目を凝らす。
「あまりにも変わってくれないので。私は愛想を尽かしてしまいました」
街行く人達を眺めながら、私と似た女の子は、そう吐き捨てた。
でも、抑え切れずに溢れた表情は、冷たくも、怒ってもいなくて。
ただただ、ほんの少しだけ寂しそうに。遠くを見つめている。
私にも彼女と同じものが見れるかなって、姿勢を正してみたけど、私達の目の前には幸せそうな人達しかいなくって。
天井を覆いつくすアーケードに遮られると、青空さえも見えてこない。
彼女が見ている景色は、何処に置いてきたものなんだろう。
きっと、その時。その場所に私はいなくて。存在さえも知らなくて。
知りたいと思っても、それは決して叶わない。
誠太は酷い人だ。
こんなまっすぐで、綺麗な人にも辛い思い出を与えて。
それ以上に幸せな気持ちを抱かせてくれて。
本当に悪い人。
「誠太は……、後ろ向きだった私を変えてくれました。期待せず生きていた私に、温かい関係を作ってくれて。そんな生き方じゃ勿体ないって。素敵な未来を信じさせてくれました」
当の本人は頑固者で。秘密主義で。恋愛にも奥手な面倒臭い人だったけど。
それ以上に優しくて。朗らかで。可愛い人だってことが知れて。
腹を立てる時があっても、この気持ちは全然無くなってくれない。
そんな人だから支えたいって。心が叫んでいる。
「だから、私は待ちます。彼が変わってくれるのを」
「……今世では無理だと思いますけどね」
「でも、言ってくれたんですよ? 恋がしたいって」
その言葉は、今も心を縛り付けている過去の出来事を乗り越えて。
前に進もうとしていることの証明だって思うから。
いつになるかなんて全然分からないけど、その時を待っていたい。
その間に、もっともっと彼のことを知っていけるなら。
この想いは枯れることなく、ずっと大きく育っていく。
「それって。誰が。誰に向かって言ったんですか?」
「誰って……? 誠太が。私にですけど」
「え……」
たぶん、私しか知らない誠太のことを打ち明けたら、すーちゃんさんは目を点にして、身体ごと私の方に振り返った。
やっぱり、凄く吃驚してる。
あの人と恋の話って結びつかないから。
私もよく似た反応をしていたと思うけど、今はとっても良い気持ちだな。
これが他の人の知らないことを知っているっていう優越感なんだ……。
初めての感覚に悪い笑みが漏れてしまいそう。
そんな浮かれている私を見て、
「……先輩が、穂花さんに告白したんですか?」
「え、ええぇっ!? ち、違いますっ!」
とんでもない勘違いをされていることに、人目も気にせず叫んでしまった。
「違うんですか? てっきりそうなんだとばかり……」
「せ、誠太のやりたいことって話で、私とは別に関係なくて」
言葉にしていて、物凄く悲しい。
こんな説明しなきゃいけなくなるなんて。
「本当にそうですかね」
「え? ち、違うって思います……?」
「なんとも思ってない人に宣言することではないかなと」
「そ、そうなのかなぁ……」
誠太が私に教えてくれた理由。
そんなモノあるのかな。
もし。本当にあるのだとしたらーー。
「期待したいって顔ですね」
「……叶うなら。私のことを好きになってもらいたいから」
「伝えないんですか? 地球上の誰よりも愛してますって」
「告白するとしても、そんな重い言い方はしません!」
すっかり重い女扱いを受けていて、私は不満です。
誠太を困らせたのは一回だけだし、その素質だって全然ない筈なのに。
「いつか。あの人に追いつけた時に伝えます」
「それは、いつ頃になりそうなんですか?」
「……どうでしょう。まだ一年以上先の話になるのかも」
「ちゃんと繋ぎ止めておかないと、あの人はすぐに離れて行っちゃいますよ?」
「知ってます。だから、好きになってもらうために頑張らなきゃ」
出来ることをしないと、ただの夢で終わってしまうから。
好きになってもらえるように、沢山の努力をしなくちゃ。
「仕方ないですね。私も協力してあげましょう」
「え?」
私の告白を聞いて、すーちゃんさんは、紙袋の中から小さな箱を取り出す。
白黒の包装紙に包まれたそれは、明らかに誰かへのプレゼントで。
可愛らしいその小箱を、彼女は私に差し出した。
「あなたに差し上げます」
「え、え? でも、これって」
「誰かに渡す物だと思いました? 残念ながら。これは自分への御褒美です」
「いやっ。そういう問題じゃ……」
「中に入っている物を見たら分かりますよ。中身は香水ですから」
「そ、そんな高価な物。余計に頂けないです!」
「ご心配なく。代えはクリスマスプレゼントとして。兄に買わせます」
「知らないところでお兄さんにしわ寄せが……」
本人のいない場所で話が勝手に決められていて、凄く申し訳ない。
当のすーちゃんさんは平然としているけど、喧嘩になったりしないのかな。
「少しでも役立ててください。これでもあなたのことは。応援しているので」
「だ、だけど……、貰ってばかりじゃ」
「等価交換でないと気が済まないのなら。お返しはあなたの話にしましょうか」
「私の話……?」
「はい。あなたがどんな人で。いつ先輩のことを好きになったのか」
思い悩む私に、すーちゃんさんは初めてにこっと笑ってくれた。
「そんなお話で充分です。女の子は、恋の話が大好きでしょ?」
その笑顔はとても素敵で、彼女の知り難い一面に触れられたような気がする。
「……はい。私も純恋さんの話。沢山聞きたいです」
同じ人を好きになった私達は、何でも話せる関係になれるかもしれないね。