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ありふれた恋すら、あなたとは。  作者: よせなべ
第一章『友達から始まる義理の生活』
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03『私の好きなもの』

03『私の好きなもの』




 学校が終わって放課後。

 私は電車に乗って一駅隣りの商店街に立ち寄っていた。


 沢山のお店が立ち並ぶアーケードには、帰宅途中の学生さん達が多くいて、和気藹々とお喋りしながら食べ歩きを楽しんでいる。

 友達と写真を撮り合う姿は、今時の女子高生といった雰囲気で、デパートや映画館のある繁華街に向かって歩いていく感じも正しくぽい。


 私も同じ女子高生として、彼女達の列に並ぶべきなのかもしれないけど、今日ばかりは目的が違って。華やかだなぁ。なんて他人事みたいに思いながら、彼女達とはすれ違い、友達のみさきと並んでアニメショップの前に立つ。

 

 食べ歩きや、洋服のショッピングはまた別の日にしよう。

 程々に我慢しなくちゃ好きな物に使えるお小遣いがなくなっちゃう。


 今日は、私の大好きなアニメ『AllOut』の原作漫画の最新刊が発売される日で。

 単行本だけだったら学校の近くにある書店でも手に入るけど、専門ショップでしか手に入らない作者書き下ろしのイラストカードがどうしても欲しくて、学校帰りに勇み足で、普段からお世話になっているこのお店に訪れていた。


「あっ。あったよ穂花っ!」


 入口の雑誌コーナーを通り抜けた先。

 目に留まり易い広々とした空間に平積みにされた新刊の数々。

 その中に私達の目当ての一冊も、可愛いらしいポップが付いて並べられている。


 手乗りサイズの画用紙にはシンプルな『青春爆発』の四文字と、作中に出てくるマスコットキャラクターの『ぷんぷ』が画用紙の半分を占める大きさで描かれていて、とにかくインパクトが凄い。

 迫力と可愛さが両立されていて、ポップも貰っちゃダメなのかな……。


 ファンシーなペンギンが躓いて転んでいる姿がとっても可愛らしい。


「売り切れになってなくてよかったぁ」

「ねっ。グッズも何か新しいの出てないかな?」


 二人で一冊ずつ確保して、みさきを先頭にグッズコーナーに向かう。

 彼女は高校に入学してからすぐに仲良くなった子で。

 話すきっかけになったのはお互いの名前のおかげだった。


 東条穂花と佃みさき。


 仮名も漢字も一文字だって被ってはいないけど、出席番号の順番で席順が前後になった私達は、みさきから話しかけてくれたことで仲良くなれた。


 私の一番仲の良い友達と言えるのがみさきで。

 その容姿は学校内でも一、二を争うくらいに整っていて、色んな人から可愛がられているところをよく見かける。


 くりくりのぱっちりお目目に、まっすぐ通った鼻筋。

 豊かな感情が現れた上向きの口角。

 身長は私の肩くらいの高さだから女子の中でも小柄な方だけど、体型のメリハリは私よりもはっきりしていて、それがほんの少しだけ羨ましい。ほんの少しだけ。


「穂花! みてみてっ。この前売り切れてた俊太くんのアクキー入荷してる!」


 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。

 そんな言葉が当て嵌まる可憐な少女が、何故かアニメキャラのアクリルキーホルダーに目を輝かせていて、熱っぽく私に実物を見せてくれる。


 そのちぐはぐな感じが可笑しくて、可愛くて。

 無意識の内に口元が緩んだ。


「ホントだ。私も買っておこうかな」

「……え? なんで?」

「へっ?」


 だけど、私の何気ない一言で、その嬉しそうな表情は一瞬にして壊れて。

 キラキラに光っていたつぶらな瞳が曇り空みたいに暗く、凄みを増していく。


「穂花って東くん推しじゃなかったっけ……? 私の俊太に浮気するの?」


 まるで私がみさきの彼氏に手を出したみたいな空気感。

 何も悪いことはしていない筈なんだけど、圧が怖いから謝てしまいそう。


「ち、違うよ? 全員分揃えたいなって思っただけで。他意はないから!」

「それならいいけど……。俊太くんが私の推しだってことは忘れないでね?」

「う、うん……。みさきって同担拒否だったね」

「だって、私の想いが一番大きいんだもん。これは仕方のないことなの」

「愛が重いよぉ……」

「重いってことは、愛がいっぱいあるってことだから。いいことなんだよ?」

「えぇ……。んー。そうなのかなぁ?」


 みさきがアニメにハマった原因は私にあって。

 みさき以外の友達には、この趣味のことについて話していないから、語り合える仲間が増えるのは素直に嬉しいことなんだけど、私の知らない間に敬遠されるタイプのファンになっちゃてるから、彼女の今後が少し心配。


 同じ推しの人と出会って喧嘩にならないといいけど。


「ほら。早くレジ行こ?」

「わ、分かった」


 みさきに手を引かれてレジに連れて行かれる私。

 他のお客さんの精算が終わるのを待つ間、天井から下げられたモニターに視線を移すと、小さな画面につい先日映画化された『AllOut』の予告映像が流れていた。

 大好きな作品が色んな形で盛り上がっていて、凄く嬉しい。


「わぁー。公開日までもう少しだぁ。早く観に行きたいなぁ」

「中間試験終わったら一緒に行こ。そのために。みさき。分かってるよね?」

「な、なぁに?」

「赤点取って、補習を言いつけられたりしないように!」

「勿論だよっ。信じて穂花! 今回は頑張るから! 私頑張るから!」

「ほんとかなぁ……」 


 みさきは器用で地頭は良いのに、学校の成績は芳しくない。

 本気で取り組めば学年上位も狙えると思うんだけど、本人曰く好きなこと以外の集中力が絶望的で、勉強は特に楽しくないからやる気が湧いてこないみたい。


 私も勉強は特別好きという訳ではないけど、私達も高校二年生になって、進学や就職のことを少しずつ視野に入れていかなくちゃいけなくて。


 楽しいことだけでは、いつか困ってしまうと思うから。

 自分の将来のためにも少しずつでいいから頑張って欲しいな。


「あっ! 良いこと思いついた!」

「どうしたの?」


 精算を済まして、駅に向かって歩き始めた瞬間。

 上機嫌な様子のみさきが突然手を叩いて大きな音を鳴らす。

 何か思いついたらしい彼女に振り返り、続きを催促してみると、

 

「勉強! 穂花のお兄さんに教えてもらおうよ!」 


 彼女は一切物怖じすることなく、そう言った。


「え? それは、ちょっと……」

「だって、お兄さん高校三年生で、凄く真面目な人なんでしょ? 私達が習ってるところは去年勉強してるだろうし、とってもいいアイデアじゃない?」

「う、うーん。でも、ね……」

「なぁにー? だめなの?」

「……駄目かどうかは私じゃ分からないし。誠太くんに聞いてみないと」

「なんか嫌そー。もしかして触れちゃいけない話題だったぁ?」


 私の中途半端な言動に、みさきが訝しむように目を細める。

 そう見えてもおかしくない言動だったって自分でも思う。

 だけど、本当にどう答えたらいいのか分からないから。


「違うよ。……受験勉強で忙しそうだから。どうなのかなって思っただけ」


 不自然にならないように理由を取りつけて、誤魔化す。

 それも私の中にある思いだから、嘘じゃないと言い訳して。


「迷惑掛けたら悪いでしょ?」

「それこそ本人に聞かないと。すんなり受けてくれるかもしれないのに」

「……そう、だね」


 きっと、誠太くんは快く受け入れてくれるような気がする。

 あの人は凄く優しいから。でも、それで無理をさせちゃう可能性もあって。

 優しいから断りたくても断れないかもしれなくて。

 私には、それがどっちかなんて分からない。


「我儘は、あんまり言いたくないな」


 だったら、頼まないことが一番だなんて、思ってしまう。

 嫌われるのは嫌だから。


 こんなお願い一つも言えない関係を、家族なんて呼べないよね。


「そっかぁー。まぁ、それなら仕方ないね。穂花で我慢するっ」

「……なんで上から目線なんだろ。それだけ教えて欲しいかも」


 最後に冗談を言って、話を終わらせてくれるみさき。

 その後は明日の授業の話や友達の話をして、駅ビルの前でお別れを済ませた。


 帰りの電車は人も少なく、空いていた席に座って、携帯を取り出す。

 家に着くまでの時間は音楽を聴いて過ごそうとホーム画面を開き、そこで通話アプリの通知が来ていたことに気が付いた。

 アプリを開いて確認すると、メッセージの送り主は誠太くんだ。

 内容は『今日の晩御飯何がいい?』と書かれていて、慌てて返信を返そうとしたけど、メッセージが届いた時間からは既に三十分以上の時間が経過している。

 

「あっ……。気付かなかったよぉー」


 仕事で帰りが遅い両親に代わって、夕飯作りは誠太くんが担当してくれている。再婚する前から家事は誠太くんが熟していたみたいで、母さんの料理にも負けない美味しいご飯が出てきた時は本当に吃驚した。

 やっぱり、誠太くんの年齢が私と一つしか変わらないとは到底思えない。


 私が一人で夕飯を食べないといけない時は、冷凍のお弁当が宅配されるようになっていたから料理の腕は絶望的。買い出しだって彼が請け負ってくれている。

 毎日献立を考えるのは大変なのに、私も提案くらいしたかったな……。


 ただ、今更そんな風に思っても手遅れだから、『ごめんなさい。今気付きました。もう少しで帰ります』と記入して、送信する。


 既読が付くかが変に気になって、そのまま画面を見続けていると、自分の打ち込んだ文章が簡素で、素っ気ないことにも気が付いてしまう。


「……なんか怒ってるみたい」


 絵文字の一つでも付けるべきだったかなって、そこでも後悔して、今からスタンプを送ろうかと思ったけど、それも取って付けた感じになっちゃいそうで。


 結局何も送れないまま。

 音楽にも集中できないまま。


 携帯の画面と睨めっこしている内に、いつの間にか最寄り駅に到着していた。


 夕方の住宅街を急かされてもいないのに早足で歩いて、玄関の扉を開く。

 ローファーを脱ぎ、早足でリビングに向かうと、鼻の奥に甘いバターの匂いが広がった。


「ただいま!」

「お。おかえりー」


 キッチンに立って夕飯を作ってくれていた誠太くんが私を笑顔で迎えてくれる。

 オーバーサイズのトレーナーにカーキ色のエプロンを付けた彼は、慣れた手付きでフライパンを揺すって何かを炒めていた。


 その立ち姿があまりにも堂に入っていて。

 今までずっと、彼が家事を任されていたんだって痛感する。

 

「もうちょっとで晩御飯できるから手洗ってきな」


 手を止めることなく、子供を諭すような優しい雰囲気を纏う誠太くん。

 私の返信がなかったことを気にした様子は一切感じられないけれど、言わないともやもやが残ってしまうから。求められてもいないのに頭を下げた。


「あの、連絡くれてたのに返信できなくてごめんなさい」

「え? あー。いや、問題ないよ。夕飯何にするか浮かばなくて。穂花ちゃんが食べたい物があればそれにしようかなーって。軽い気持ちで送っただけだからさ」


 顔を上げると彼は僅かに困った顔をしていて、やっぱり上手くできてない。

 

「……明日はパスタがいいな。和風パスタ」


 せめてもの埋め合わせがしたくなって、言葉をどうにか絞り出す。

 そんな言葉でも、誠太くんは表情を和らげてくれた。


「うん。明日はそうする。ありがと」

「着替えてから食器の準備するね」


 一度洗面所で手を洗い、自分の部屋で部屋着に着替える。

 それから駆け足で夕飯作りの手伝いに戻ったら、誠太くんがケチャップを持って、ダイニングテーブルと向かい合っていた。


「なにしてるんですか?」

「ん? 落書き中」

「落書き?」


 言葉の意味がよく分からなくて、彼の横側から手元を覗き込む。

 テーブルの上には平たいお皿が並べられていて、そこに盛られた料理に、思わず感嘆の声が漏れてしまった。


「わっ。とっても美味しそう」


 今日の晩御飯。誠太くんが作ってくれた料理は、シンプルなオムライスで。

 その見た目は、お店で提供されていてもおかしくないくらい凹凸のない綺麗な曲線を描いている。チキンライスを包んだ卵焼きもムラのない焼き目が付いて、触らなくてもふわふわの感触であることが伝わってきた。

 

「これでよし」


 そんな見ているだけでお腹が空くオムライスに彼がケチャップを絞っていく。


 雪だるまのような輪郭に、にょきっと生えた腕みたいなモノ。

 一段目の丸から飛び出した三角形。


 それが徐々にペンギンの立ち姿に見えてくるのは、さっきぷんぷを見てきたからなのかな。お腹の出た体型に、くりくりの目。先の尖ったくちばし。


 ケチャップで描いた絵だから所々途切れたり、潰れちゃったりしてるけど……、


「これって……」

「何か分かる?」

「えっと、ぷん。じゃなくて、ペンギン?」

「おぉ~。大正解。はい。これは穂花ちゃんの分」

「あ、ありがとう……」

 

 手渡されたお皿を受け取って、目の前に掲げる。

 見れば見る程ぷんぷにしか見えなくなってきた。でも、たまたま特徴が一致しただけかもしれないし、もし違ったら私がアニメオタクだってことがバレちゃうし。


 ただ誠太くんがペンギンが好きだったって可能性の方が全然高いから。

 変に思われたら嫌で。これ以上踏み込むことは怖くてできない。

 

「それじゃ食べようか」

「……うん」


 そうしている内に話は流れ、私達はダイニングテーブルに向かい合って座る。

 手を合わせて、ご飯を作ってくれたことに対する感謝の念を沢山込めた。


「いただきます」

「どうぞ。口に合えばいいんだけど」


 新しい生活が始まって一か月。

 晩ご飯は殆ど誠太くんのお世話になっていて。

 美味しいってことを疑わない。


 オムライスが出されたのは初めてだけど、絶対美味しいに決まってる。

 そう確信を付けられる私とは反対に、誠太くんは少しだけ不安そうで。


 私の反応を窺うようにじっと視線を向けられると、ちょっとだけ食べ辛い。


 不思議な緊張感に急かされながら、スプーンでオムライスの端っこを掬う。

 それを震える手で口に運んで。

 その瞬間から、誠太くんの視線は気にならなくなった。


「んっ!?」


 唇に触れた卵焼きのしっとりとした口触り。

 噛めば噛むほど広がっていく優しい味付け。

 チキンライスの酸味とほんのり甘いとろとろの卵焼きが絶妙に混ざり合って、意識なんてしていないのに声が溢れ出していた。


「美味しいっ……!」


 不安そうだった誠太くんの表情を確認するのも忘れて、次の一口に手を伸ばす。


「ふぅ。よかったぁ」


 その安堵した声色で我に返って、顔を上げた視線の先。

 胸に手を置いた誠太くんは、緊張の糸が解けたみたいはにかんでいる。


「……心配なんてしなくても、誠太くんのご飯はいつも美味しいよ?」

「ありがとう。オムライスは得意料理だから。特に反応が気になっちゃってね」

「今まで食べたオムライスの中で一番美味しかったです!」

「そ、それは流石に言い過ぎじゃないか? ……滅茶苦茶嬉しいけどさ」

「ううん。言い過ぎじゃないっ!」


 お世辞なんて一切なくて、素直な本心を力強く宣言して。

 大袈裟だって照れる誠太くんは何だか新鮮だった。


「オムライスは誠太くんも好きなんですか?」

「そうだね。一番の好物かな」

「へぇー。そうなんだ。誠太くんって意外と……」

「ん?」

「あっ。な、なんでもないです」

 

 会話が弾み、空気が緩んだから気が抜けて、頭に浮かんだ言葉をそのまま言ってしまいそうになる私。慌てて誤魔化しはしたものの逆に不自然になって、彼の瞳がどんどん細められていき、追及しようという意思をはっきりと感じた。


「今なんか。含みがなかった?」

「き、気のせいじゃないかな……」

「怪しいなぁ。もしかして悪口か?」

「ち、違うよっ」

「あぁ。そっか。悪口だから言い辛いのかー。悲しいなぁ」

「いや、だから、違くて……。うぅ」


 必死に否定をしてみるけれど、誠太くんは許してくれない。

 肩を落として、曇った表情をされると心が痛くなってくる。


「あはは。責めてはないよ。ただ、逃がさないから何思ったのか白状しなさい」

「……好きな食べ物がオムライスなのが、子供。じゃなくて、可愛いなって」

「ふんふん。子供っぽいか。なるほどなるほど。はいはいはい」


 あれ。なんでだろう。

 普段から気を付けているのに失言が止まらない。

 焦りで自分が何を言っているのかもよく分からなくなってきた。


「……い、いい意味でっ!」

「いい意味で?」

「そう! いい意味で!」


 勢いで有耶無耶にしようと試みる私に誠太くんが苦笑いを浮かべて、右手を顎に当てる。そのまま気難しい表情で首を傾げて、「うーん」と唸った。

 

「男は可愛いって言われても喜べないんだよなぁ」

「でも、親近感が湧いたのは本当なんだよ?」 

「……親近感?」

「誠太くんは勉強も料理もできて。同年代って感じがしないから」

「えっ……。もしかして。近寄り辛かった……?」

「そうじゃないけど、私が子供だから気を遣わせちゃうこともあるかなって」

「……穂花ちゃん。それは全くの勘違いだ」

「え?」

「僕は全然子供だよ。出来ないことも苦手なことも沢山ある」

「ほんとに?」

「うん。だから、僕を凄い奴だなんて思わないでくれ。それに気を遣わせるなんて言葉は、穂花ちゃんが気を遣ってるから考えてしまうことじゃない?」


 そう確信を突いて、誠太くんが優しく微笑む。

 その笑顔が、少し幼く見えたのは、私が彼のことを一つ知ったからなのかな。


「言いたいことは何でも言って。……これでも面倒見は良い方らしいから」

「……うん。ありがとう。誠太くん」

 

 私は誠太くんのことを全然知らない。

 自分の意志で知ろうとしてこなかった。

 

 彼の存在は再婚する前から母さんやお義父さんから聞いて知っていたのに。

 その気になれば、いつだって顔を合わせることはできたのに。


 それをしなかったのは、私は母さんと二人だけの生活でも充分だったからで。


 一人の時間が沢山あっても。一緒にご飯が食べられなくても。

 夜眠る前におやすみと言い合えたら、それだけでよかった。


 大きな期待をしないのが、私の生き方だった。


 だから、私は新しい生活が始まっても、心の何処かで、何れ終わりが来るんだと、そんなことを考えていたんだ。


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