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第5話 しばらく考えてはみたんだけども……

 うーん……。良い考えが何も浮かばないねぇ……。


 いや、俺もただ漫然と悩んでいただけじゃあ勿論ないよ?


 僅かな可能性として、隣村の現状を調べてみようとはしてみたんだけどね。


 だけど、夢の中の俺にどうやって隣村に関心を持たせたら良いのかが、皆目見当が付かなくってさぁ。


 俺の例の行動誘導策ってば、行ってはいけない方向を示す事は出来ても、あっちへ行けなんて指示は難しいんだよねぇ。


 勿論、何か話題とか取っ掛かりでも有れば、其処から俺の行動を振り回して何とか出来そうな気もするんだけども、直近に隣村に関するような案件は特に見当たらないし。


 これはもしかすると、もう隣村は武力衝突に対してとっくに準備万端整えていて、此方にそれを察知されないように大人しくしているとかじゃないよな?


 う~ん。なんかそんな感じが、ひしひしと伝わって来るぞ。


 うん? 伝わってくる?


 あっ、そうか! 別に俺自身が気が付かなくても良いのか!


 夢の中の俺が、周りの人との関わり合いの中で隣村の話題が出た時に、何回も挙動不審にでもなれば周りの皆も何かの異変に気付くかも知れない!


 これ迄、俺は予言者か占い師かの様な振る舞いを多々、周りの人達に見られて来ている筈だから、それだけで何かを察してくれるんじゃないか?


 良し! 他に良い案も思い浮かばないので、取り敢えずこれで行ってみよう!


 とまあ、そんな訳で試してみたんだけど、どうにかこうにか皆の関心を隣村に向ける事が出来た。


 その時の様子はこんな感じだったよ。


 おっと、その前に今まで話している場面とか特に出てきていなかったのに、話の内容とか認識出来ていたのかとか疑問に思ってる?


 まあ、そりゃ勿論出来ていたさ。じゃないと行動の誘導もままならないよね。


 ただ、夢の中の俺が独り言とかをぶつくさ言うような奴じゃあ無かったから、話す場面が出てきていなかっただけだよ。


 じゃあ、仲間数人とのお喋りの模様の公開を始めるね。




「……って感じで、絶対彼女は俺に気があるに決まってるぜ!」


「え~、そうか~?」


「ああ。だからここは、此方からも積極的に押していって両思いになって付き合おうと思ってるんだ!」


「ふーん。で、どういう風に押していくんだ?」


「まあ、ここは無難な所で贈り物で良いんじゃないかな。」


「ほうほう。だけどうちの村に有る物は大体皆持ってるし、そんなに特別な物なんて無いんだから、大して喜ばないんじゃね?」


「ああ。だからここは奮発して、行商のおっちゃんに街で今流行りの髪飾りかなんかを仕入れて来てくれるように頼んであるんだ。」


「おお~。やけに手際が良いじゃんか。力入ってるね~。」


「まぁな。だけどその頼みの行商のおっちゃんが、最近うちの村に顔を出さないんだよなぁ。まさか、何かあったとかじゃないよな?」


「あはは、ナイナイ。こんな田舎の村を行き来する道に盗賊なんか出ないよ。魔獣とかでもツノウサギ位だし、多分また隣村の未亡人のおばちゃんに引っ掛かってるんじゃないか?」


「…………。」


「おい、どうした? 急に黙り込んで。それに顔色が悪いぞ。……オイオイ、まさかまた何か悪い予感がしたとかじゃないよな?」


「ああ、その悪い予感だ。だけど何に対してなのかは、まだハッキリとは分からないけどな。」


「えぇ~? 今の話の何処に関わってるんだ? チャンとハッキリしておかないと怖くて身動きが出来ないよ。」


「じゃあ、今の話に出てきた事柄に対して一つ一つ確認していくか。先ずは盗賊からどうだ?」


「ああ、それじゃあないみたいだ。後は……。」


「…………とかは?」


「…………だな。」





 とまあ、そんな感じで突き詰めていって隣村に関心を向ける事に成功したんだ。苦労したぜ。





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