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第11話 追手が迫って来たんだが……

 急に物騒な雰囲気が近付いて来た事を察知した三人は、歩いていた草むらの中で、即座に地面にへばり着く様に身を低くし、息を殺して奴等の様子を窺いだした。


 すると最初は五人程の人数の男達が、オレ村の方に向かって道を走って行って、直ぐ後に二、三人の組になった奴等がオレ村へ続く道を行ったり来たりしだした。


 その間、ユメオ達三人はずっと草むらに伏せて留まっていたが、追手の奴等は何故か道を外れてまでの執拗な捜索をしようとはしなかった。


 うーん。このまま隠れていれば三人は何とか奴等に見付からずには済みそうなんだが、そうなると当分ここからも動けないという事になりそうだよなぁ。


 ユメオ達は、トナ村の異変を出来るだけ早くオヤジ達に報告したいんだけど、こうなると奴等が捜索を諦めて引き返すまでは無理っぽいぞ。


 こりゃ、奴等との我慢比べになるのか?


 でも夜になってしまったら、大した魔獣が出ない比較的安全だと思われるこんな所でも、急に凶暴な魔獣が出て来ても不思議じゃなかったよな。


 隠れている三人は、その辺の事を一体どう考えているんだ?


 ああ、特に言っていなかったが、俺にはユメオの考えている事が明確に分かるという様な状態ではない。


 ただ、ユメオは俺と似たような思考形態をしているので、その考えを予測し易いっていうだけだ。


 しかし、今まで一度も体験をした事の無い様な事態に出会った場合には、それも上手くは働かないけどね。


 ユメオ達が茂みに隠れてから、かなりの時間が過ぎたと思う。


 その間、三人は小声で話し合っていて、このまま暗くなるまで時間が経つのを待って、奴等に隙が出来る事を期待するという方針になったようだ。


 まあ、俺もそれが良いと思うよ。


 ここで下手に動くと奴等に見付かってしまうという展開が、こういう時の定番だろうからな。


 三人はその場で、草むらの中の地面にゴロンと寝転がって、緊張で強張っていた身体から数時間振りに力を抜いていた。


 こうなってくると、当分の間は事態に変化は起きないだろうと、俺も落ち着いて現状について色々と考察する事ができるな。


 そんな訳で今になって良く考えてみると、現在の情況は最適と言える物よりも数段下を行っていると見て良いだろう。


 まず、これまでの対処の仕方で悪かったと思われるのは、プレミを助けた後の行動だろうな。


 助けて直ぐに逃げ出すんじゃなくて、倒した奴全員にちゃんと始末を着けてから、その死体を簡単に見付けられない様に、草むらにでも隠して置けば良かっただろう。


 そうしておけば、早々に奴等に露見する事も無く、今みたいに隠れる様な事態にもなっておらず、ややもすると既にオレ村まで帰れていた可能性が高いまで有るだろう。


 よしんば帰れていなくても、もっとオレ村の近くにまで到達していれば、たまたま付近を通り掛かった村人にでも助けを求める事も出来たかもしれない。


 後、他に思い付くのは、奴等の持っていた武器とかだろうな。


 何でユメオ達は武器とかを奪って来なかったのか。


 もし武器を持ってきていれば、もう少し今取れる行動の選択肢が増える事になっていたのにな。


 その事が返す返すも悔やまれるね。


 身体を動かせない今、ユメオ達も俺と同じ事を思っているのかもしれないが、その反省を現実で有効に生かせられるのが、繰り返しが出来る俺だけだっていうのが何とも言えないねぇ。




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