第40話 元浮気相手
<メアリ視点>
私は、お父様と久しぶりに再会したわ。まったく、婚約者教育って本当に面倒よね。実家にもなかなか帰れなくなるし……
なにより、どれだけ勉強させるのよってくらい知識を詰め込まれるわ。マナーや語学の勉強が本当に面倒。こんなの誰かに任せておけばいいのよ。皇太子様の婚約者である私は、プリンセスとして楽しく暮らしたいだけなのに……
あの家庭教師たち、おぼえておきなさいよ。
私が正式に皇后さまになったら、左遷してやるわ。
あの、ムカつくニーナみたいに、地方で埋もれてしまえばいいのよ。あの女も結局、罪こそ許されたけど、辺境に幽閉みたいなことになったし、清々したわ。
まったく、皇帝陛下も、自分の息子の評判を下げてどうするつもりかしら?
皇族の品位を損ねてどうするのよ、まったく!!
あーあ、早く皇太子さまが皇帝陛下に即位しないかしら? そうしたら、皆がうらやむ皇后さまになって贅沢ざんまいの日々が送れるのに!
「おい、メアリ? 聞いているか?」
いけない、いけない、お父様と打ち合わせ中でしたわね。
「はい、聞いていますよ。皇太子様の件は順調ですわ」
「ならいいんだが……いろんな裏工作をして、ニーナ公爵令嬢を失脚させて、お前を皇太子殿下の婚約者にねじ込んだんだからな! ぬかるなよ?」
「もちろんですわ。あのムカつく口うるさい女が消えて、私が夢のお姫様の立場になったんですよ? やれることは、やります! 皇太子様と面会できるようにうまく調整できましたわ。お父様の子爵叙勲のお礼ともっともらしい予定にしておきました」
「うむ」
「このまま、計画がうまくいけば、私は皇后さま。皇太子さまは、私とお父様で篭絡できますわ。そして、私たちが政治の実権を握ってしまえばいいんです。この帝国は、一応、皇帝陛下独裁の絶対主義ですもの! 邪魔するものは、片っ端から消してしまえばいいのです」
これが私たちの計画。私たち新興貴族はずっと不当な差別を受けてきたの。その鬱屈を晴らす時が、もう少しでやってくる。いままで、ふんぞり返っていた貴族様たちを潰して、新しい楽園を作るのよ!
あの女の失脚は、まだ序曲よ。
私たちは、こんなところでは止まらないもの。
「よし、次のステップに入ろうじゃないか」
「次の狙いは、何ですの?」
私たち親子は、邪悪な笑みを浮かべる。
「帝国内最大の貴族オーラリア辺境伯の弱体化と、名君であられる皇帝陛下の退場だよ」
「あらあら、お父様ったらすごい計画ですね? どうやるかは決まっていますの?」
「ヴォルフスブルクに動いてもらうつもりだよ。手はずは整っている」




