アマツカゼは闇を駆ける(短編版)
とびらの様主催「あらすじだけ企画」参加作品です。
素敵な企画を開催していただき、ありがとうございます。
夜の裏通りを歩く大学二年の玲奈。
先日別れた恋人からの言い訳メールに嘆息。
夜道で不気味な男性と遭遇。その右腕が触手のように伸びて玲奈の足に絡みつき、逃げられなくなる。
そこに日本刀を携えた無感情な青年が現れ、男の右腕を切り落とし玲奈を救う。
直後、地面に落ちた腕が無数の触手に変化し二人を襲う。
青年が懐から落とした脇差に手を伸ばす玲奈。それを掴んだ瞬間意識が暗転。
翌日、病室で目覚める玲奈。
全身の擦り傷や打撲から、夢でなかったと確信。
数日後退院し、大学で友人の藍と過ごす玲奈。現れる元恋人の晶。
自らの浮気が原因にも関わらず未練を残す晶を玲奈は拒絶するが、彼は諦めない。
そこに裏通りで出会った青年が現れ助けてくれる。
彼は同じ大学の三年生で、翔と名乗る。
話があると言われ、喫茶店『鳥籠』で会う事になる玲奈。
その後下宿アパートに帰るが、ポストに『大嫌い、死ね』と殴り書きされた手紙を見つけ不安に。
翌日翔と会う玲奈。
先日の事を感謝するが「助かったのは君のおかげ」と言われ激しく動揺、気を失い夢を見る。
脇差を掴んだ瞬間、脳内に情報が流れ込み戦い方を習得。落ちた腕の弱点を察知して攻撃するが外し、敵を逃した事を思い出す。
目を覚ます玲奈。翔から説明。
・負の感情の宿る物を依代とし、異界から現れる邪悪な異形『稀人』。あの男は稀人に寄生された人間の慣れの果て
・翔は対稀人組織『アマツカゼ』の一員で、鳥籠はその支部
・稀人に有効なのは『神器』という人間の力を高める武器。これは契約者の精神に格納され、望めば召喚可
・翔の神器は日本刀『久遠』。久遠と対になるよう作られた脇差『永久』が存在。各々の契約者は居場所を共有でき、二本揃う事で真価を発揮する
・永久は稀人の居場所や隠された依代(稀人の弱点)を探知する強い力を持つが、精神を蝕む恐れも高い危険な神器
自分が永久と契約したと聞き驚く玲奈。協力を要請され、断れずアマツカゼの協力者となる。
逃げた稀人の手掛かりを求め、翔と共に寄生されていた男性酒井のマンションへ。
残された気配を辿り、屋上の貯水タンクへ。そこに潜んでいた水の塊の姿をした稀人が襲って来る。
戦いに不慣れな玲奈を守り、翔が稀人を倒す。久遠の刃で切り裂かれた子供用の靴の片方が残される。
先月タンクで溺死した子供がいたと発覚。その子の無念が宿った靴がそれぞれ依代となり、二体の稀人を呼び寄せた。
酒井に寄生し玲奈を襲った稀人はもう片方の靴を依代としたもので、今も逃亡中と判明。
帰宅すると、玲奈の自宅ポストに生ゴミが詰め込まれている。
藍に相談すると、泊まりに来てくれる。
翌日大学で一人の時、晶に遭遇。彼と一緒にいた現在の恋人ユカに睨まれている事に気づき逃げる玲奈。
夕方、藍から「忘れ物をしたから玲奈の部屋に入りたい」と電話が来るが彼女の悲鳴と共に切れる。
慌てて帰宅すると、玄関が壊れ荒らされた部屋と傷を負い倒れる藍の姿。
翔が現れ、藍の手当をして通報してくれる。
永久の力で、全て稀人の仕業だと察知。
犯人を見ていない藍。数日入院する事に。
友人を巻き込んだと自責する玲奈を慰める翔は、玲奈が一人でいるのは危険と判断。
不安な玲奈は翔の部屋に身を寄せる。
彼の部屋に、明るく笑う翔が写る家族写真。
四年前に稀人の襲撃で家族を失った事、その中で死亡したアマツカゼが持っていた久遠と契約し、戦って生き延びた事をやはり淡々と語る翔。
彼と交流を深め、その孤独を垣間見る玲奈。
後日五限の講義後、晶と遭遇。
玲奈は嫌がらせの事を問うが「俺じゃない」と返される。
再度の復縁要請を拒否。晶も遂に納得、謝罪を残し去る。
一人無人の講義棟を歩く玲奈。その時、傍らの講義室に引きずり込まれ、稀人化したユカと遭遇。
嫌がらせの犯人はユカ。
略奪するほど晶を想う彼女は、彼が未練を残す玲奈を憎悪。
ユカはあの日裏通り近くにおり、逃げた稀人に寄生された。その精神は次第に蝕まれ、それに伴い嫌がらせもエスカレート、ついに直接攻撃に及ぶ。
絶体絶命の玲奈の元に駆けつける翔。
水道管を破壊して溢れた水を取り込み、稀人は自らを強化。依代は触手に守られ攻撃できない。
翔を助けるため、稀人を止めるため、玲奈は危険を承知で永久の真の力を開放。
稀人を逆に蝕み能力を封じる永久の力により稀人は弱体化、翔に倒される。
同時に稀人に精神を呑まれかけ、玲奈は昏睡状態に。
辛うじて助かり、病室で目覚める玲奈。
久遠の気配を感じて部屋を出ると翔の姿。
常に無表情だったその顔に安堵を浮かべ、玲奈を抱き締める翔。
いつしか翔を信頼するようになっていた玲奈は、その抱擁に安堵。
ユカは一命を取り留めたが精神を喰われ植物状態だと知る玲奈。犠牲者を増やしたと後悔。
君の力が守ったものもあると励ます翔。
アマツカゼに加入する決心はまだできない玲奈。
しかし迷いながらも、自分にしかできない事があるはずと考え、翔の隣に留まり戦う事を決意。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。