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熊よ。

別れ離れの悲しき友よ。

生きとし生ける大地の友よ。

嗅いだ。

そなたの果てる命の匂い。

たらたら流る臓腑の匂い。


熊よ。

爪を交わした大地の友よ。

美しきそなたを纏う。

誇る。

血の煮え滾るそなたの毛並み。

風に戦いだそなたの怒り。


熊よ。

歩む。そなたと占める。

果てなき大地の一片を。

砕く。

人という小さな器。

大地を忘れた真白き踵。


熊よ。

嘆き給うな。

鉄が齎すこの憂い。

飲む。

そなたが湛えた命の泉。

その赤黒き大地の水を。


熊よ。

憂い給うな。

千里の果てに途絶えた影を。

歌う。

讃美歌を。

そなたの臭き血の歌を。


熊よ。

そなたの野生に従って、

ただ美しく、

殺せ。

わたしを讃える血飛沫よ。

今友となる。


熊よ。

この生きとし生ける大地を行け。

どうか私と大地を行け。

美しき大地を行け。


お前と歩む。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 力強い作品だと思いました。 熊が威風堂々と歩いている姿を想像しました。 自然に生きる物は力強さが違いますね。
2020/10/13 20:31 退会済み
管理
[良い点] 言葉に力強さ、荒々しさ、神々しさを感じました。 自分の心が熊の爪に流血しているようで。 そのまま生きていく気持ちで。 自宅に設置されていた、夫が闘病した医療ベッドが今しがた撤去されまし…
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