2 相談されました(王太子の友人視点)
ある日、友人の婚約者であるクリスティーネ嬢に呼び出された
正直あまり好きではない女性なのだが、友人オスカーについての話だ と言われると断る訳にはいかなくなってくる
大方予想はついている
最近オスカーと仲が良い元平民についてだろう
この間、オスカーとその女が仲睦まじくしている所を見ていたのだ
懲らしめたいとかそういった話をされるのだろうが、俺は口で止めることしか出来ない
指定された場所へ行くとそこには見覚えのない女性がいた
クリスティーネ嬢はまだ来てないのか と思い少し待とうとしたら、その女性に声をかけられた
聞こえてきた声は、知っている声だった
髪や瞳の色はクリスティーネ嬢に似ているし、声も聞き覚えがある
だが、俺の記憶の中にいるクリスティーネ嬢とは似ても似つかない
髪型、化粧、匂い記憶に強く残っている部分は全て変わっていた
そして話されたことに俺は自分の耳を疑った
いや、本人に聞き返した
「今、なんて言いました?」
「オスカー様との婚約を破棄したいんですの
その旨をオスカー様に伝えていただけませんか?
と言いましたわ」
友人、オスカーとの婚約を破棄したい?
本当に、この女は俺の知っているやつか?
もしかしたら別人なのかもしれない
そう思ってしまうほどに姿形も、考え方も変わっていた
そしてしばらくの会話の後、それとなくオスカーに伝えることを約束した
今までのクリスティーネ嬢は傲慢で、自分が一番でないと嫌だ というような性格だった
だから俺は、オスカーと桃色の髪の平民の少女が話しているのをクリスティーネ嬢が上機嫌な様子で覗いているのを見た時、すぐさまオスカーに報告した
何を企んでいるのかわからないぞ、と伝えておきたかったのだ
その数日後にオスカーはクリスティーネ嬢の家を訪れていた
帰ってきたあいつはいやに上機嫌だったが、何があったのかきいてもはぐらかすだけで何も教えてくれなかった
いや、待てよ?
あいつは何と言っていた?
たしか、面白いものを見つけたと……
クリスティーネ嬢か?
何があったのか分からないが急にいろいろ変わったからオスカーが興味を持ってもおかしくはない
もし本当にそうなら……
俺は未来を想像して慌てた
あの腹黒なあいつが気に入ったやつを簡単に逃がすわけがないし、逃げることを考えることですら許すわけがない
俺は慌ててオスカーの元へと向かい、先程クリスティーネ嬢に言われたことを伝えた
すぐに黒いオーラをだし始めたオスカーを見て、いいことをした と安心した