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1 思い出しました、夢であってほしかったです

 


「うわー」


 ベッドの中で公爵令嬢らしからぬ声をだす私

 夜中だったため周りに人はおらず、令嬢としての何かは失わずにすんだが、今はそれよりも大変な問題がある

 何がきっかけだったのかは分からないが眠っていたら唐突に思い出した


 所謂、前世の記憶 というものを


 前世の私は、日本という場所に住んでいて、死ぬ前は乙女ゲームにはまり始めていた

 やっとメインヒーロールートを終了した時、事故にあった


 という記憶をつい今しがた思い出したのだが、今世の私の名前や婚約者の名前にどうも聞き馴染みがある


 ……うん、乙女ゲームの世界に転生したね

 いやー、よくある話だよねー

 ってなる訳ない!


 しかも私、メインヒーロールートの悪役令嬢になってるんだよね

 ……ははは

 きっとこれは夢だ、夢に違いない

 そう思いながら私は眠りに落ちた



 朝、視界に映るのは夜中にも見た天井

 夢じゃ…なかった…


 い、いや、もしかしたら……もしかしたら、まだここは夢の中かもしれない

 そうやって考えていること自体が、ここが現実の世界である ということの証明なことからは目を瞑り、考えないことにする


 いろいろと頭の中を整理したいところだけど、今からは朝食の時間のため、部屋にやってきた侍女に着替えを手伝ってもらい食堂へ行く


 他人に着替えを手伝ってもらうのって結構恥ずかしいから一人で着替えようと思ったんだけど、すぐに諦めた

 だって、どう考えても一人で着れる服じゃなかったんだもの

 世の貴族女性はすごいわ、うん

 記憶を思い出す前の私も手伝ってもらうのが普通だと思ってたし……


 国が、いや、世界が変われば常識も変わる


 頑張って慣れるしかないんだろうなぁ

 とかなんとか考えてるうちに食堂につきましたー


 扉を開けるとそこには、見た目麗しい両親と兄が…!


 え、今からこの美形たちと食事するの?



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