四話 イオン視点
「イオン様、朝でございます」
私は執事の声で目覚めた。
どうやら朝が来たらしい。
「分かった。すぐに朝食を準備してくれ」
執事に朝食の準備を言い渡して起き上がる。
「ルファルス、今日の予定は?」
「今日のご予定は報告書の確認くらいでしょうか。その他に特に用事はありません」
「そうか、なら報告書の確認が終わったら出かけることにする」
「了解致しました」
報告書の確認だけなら午前中で終わりそうだな。
昼食をミアと一緒にどこかの店で食べて、そのあとはのんびりとデートでもするか。
「イオン様、朝食の準備ができたようです」
「そうか、持って来てくれ」
いつもの様に扉を開けメイドが朝食を台に乗せて押してくる。
執事が持ってきた机をベッドにつけるようにして置き、その上に朝食が並ぶ。
ベッドに座ったまま食べられるように机の高さは調整してある。
「ルファルス、朝食を食べ終えたらこの部屋で報告書に目を通そうと思う。
報告書を持ってきておいてくれ」
「了解致しました」
それから直ぐに朝食を食べ終え、報告書を一枚一枚目を通していく。
この後ミアとデートをできると考えると仕事がはかどるな。
ほとんどの報告書はいつもとあまり変わらない。魔物の数の報告や冒険者の死亡報告、冒険者の数、外壁の状態などなど色々だが大体は目を通すだけだ。
重大な問題があるものなんてそうそうあるものではない。
「ん? 2日前と1日前に魔物が王都内に侵入? これは本当か?」
「はい、殿下。王都内に侵入した魔物はゴブリンとウルフ。最下級の魔物でしたので直ぐに近くにいた冒険者に討伐されました。被害も出なかったので殿下の耳に入らなかったのかと」
「そうか……今まで魔物が街に侵入したなんてことは無かったはずだが……
ん? 他の街でも三件の魔物侵入報告?」
まさか、聖女であるマリアを聖女の座から降ろしたから……?
いや、まさかな。聖女の仕事はミアが引き継いでやってくれている。ミアならマリアなんかよりよっぽどいい聖女であってくれるはずだ。
おそらく聖女が入れ替わった関係で結界が緩んでしまったんだろう。
「ルファルス、無いとは思うが念のため騎士団による街の巡回を強化。門番を増やすよう通達しておいてくれ」
「了解致しました」
聖女の入れ替わりでどれくらい結界が弱くなるのか分からないが騎士団に任せれば大丈夫だろう。
さて、早くミアとのデートに行かなければな。