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三十話 騎士団員視点



 ネケラスに帰ってきた次の日の朝、俺は冒険者ギルドで登録を済ませて街の外を歩いていた。


 昨日は休日でエレナの学校が休みだったこともあり、夕方までずっと話し込んでいたので昨日できた事と言えば、今腰にある剣を買ったことくらいだ。


 安物の剣といってもお金のない今の状況ではそれなりに痛い出費だが仕方ない。武器がなければ魔物と戦えないのだから。

 剣ではなくナイフや短剣という手もあったが、ナイフだと心もとないし、短剣もあまり使ったことがないので騎士の時に使っていたような剣の方がいいだろうと剣を購入した。


 まぁ、今回狙うのは最下級のウルフだからナイフでもやってやれないことはなかったような気もするけど。


 今日冒険者登録を済ませたばかりの俺はランクが低いのでほとんどの依頼は受けることができない。俺のランクだと魔物の討伐などほとんど見当たらなかった。

 ランクを上げるためには地道に魔物を討伐するか、依頼をこなし続けるしかないらしい。例外として、オークやオーガなど明らかに低ランクモンスターではない魔物を討伐できるのなら冒険者登録時からある程度のランクを貰えるらしい。

 だが、残念ながら俺一人ではオークを討伐することはできそうにない。支援部隊の時はルデウスと二人だったからなんとかなったが一人だと恐らく厳しいだろう。


 だから地道にやっていくしかない。

 冒険者登録さえ済ませていれば魔物の買取はやってもらえるしな。


 とりあえず目的のウルフを探すために街から数キロのところにある森に入る。


 少しの時間歩いていると魔物に囲まれた。

 ゴブリンだ。


 「ゴブリンかよ……」


 ゴブリンは数が多いので常時、討伐すればそれに応じて国から報酬がもらえる。

 討伐して右耳を持っていけばいいんだが、買い取ってもらえる部分がないのでウルフよりももらえるお金は数段階下がる。

 

 俺としてはゴブリンにかまわず、ウルフを探しに行きたいがそうさせてはもらえないらしい。


 俺を取り囲んだ四匹のゴブリンが飛びかかってくる。

 武器を持っているのもいるがなんの問題もない。


 俺は剣を抜いて応戦する。


 「はぁっ!」


 一匹のゴブリンを剣で斬り伏せ、もう一匹を足で蹴り飛ばす。


 蹴り飛ばしたゴブリンが起き上がる前にもう二匹を討伐してしまおうと思い剣を振るう。

 だが、討伐できたのは一匹で、もう一匹には防がれてしまう。


 それから起き上がったゴブリンを加えて二匹を相手にして1分ほど経った後、討伐が完了した。


 「はぁ…」


 やっぱり変だ。


 いくら群れに囲まれてもこの程度の数なら十数秒で方がつくはずなのに……

 支援部隊の時に感じていた違和感。

 身体が重い。動きにくい。

 それに、魔物の動きが鋭くなったような気もする。

 

 訓練は怠っていない。

 昨日はよく休んだ。疲れはとれている。

 それなのに、なんだこれは……?


 俺は数を数えながら剣を振ってみる。


 「一ッ、ニッ、三ッ、四ッ、五ッ!」


 五秒間で剣を振れたのは8回。

 いつもなら十数回は振れていたはずだ。


 騎士団の時に使っていた剣と今の剣は違う。だが、今の剣の方が少し軽いはずなので剣を振るのが遅くなるなんてありえない。


 自身に使っている身体強化もいつもと変わらないはずだ。


 おかしい。

 なんなんだこれは?


 街への魔物の侵入、騎士団長を殺せるような変異種の出現、身体がうまく動かずいつもとは違うという違和感。


 おかしいことだらけだ。

 いったい何なんだ?


 これは俺だけが感じている違和感なのか?

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 聖女の「結界」と「加護」の、加護の方がまさかこれなのか? 人間を強化、魔物を弱体化させていたのか……? あと多分、やっつけた赤いオーク、強くなって復活してきそうだ……
[一言] 障気か?
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