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白い記憶と共犯者  作者: 安川 瞬
運命の特異点〜異世界転移
7/28

紅い記憶(興味ー好意)

期末テスト頑張らないといけないけれど、、、小説も書きたいし、、、

アドバイスをくださった、肥前文俊さん。ありがとうございました。

謎が増えていくばかりで申し訳ないです、、、

まだ期末テスト期間中ですので、投稿が遅れるかもしれません、、、

 私の人生には2つの転換期がある。

 1つは、家族が生まれ変わったこと。

 1つは………


 わたしには一人の姉がいる。

 名前は(めい)姉さん。

 優しくて、暖かくて、頭も良くて、顔も良くて………

 私に残された唯一の肉親。

 物心ついた時。私の周りには姉さんしかいなかった。

 姉さんはいつも泣いていた。泣いて。泣いて。蒼い感情を、黒い感情を、放っていた。

 私はそんな姉を毎日見ていた。

 私はまだ小学生で、姉さんがなんで泣いているかなんて理解出来なかった。

 でもそれが、小学一年生の私と高校一年生の姉さんの日常だった。


 ピーンポーン

 その日常が変わり始めたのはいつ頃だったか。

 私が小学二年生の頃。姉さんの涙は徐々に減っていった。


「明!また学校に来なかっただろう!?大丈夫なのか!?」


 ドタドタ家に上がってくる音。

 こんな風に無断で上がってくる人なんて、あの人しかいない。


「白………」


 リビングで泣き腫らした目をして、服をたたんでいる姉さんを見てその人は少したじろぐ。


「明………まだ学校には来たくないのか?」


 もうこの頃は私も事情を理解し始めていた。


 私のお母さんは、ここにはいないのだ。


 私のお父さんは、ここにはいないのだ。


 どこに行ったかなんてそこまでは知らない。

 唯、姉さんはそれでも私の面倒を見てくれた。


「頼むよ。お前がいない学校なんて、俺も嫌なんだ」


 姉さんの顔が少し動く。


「好きだ。明。こんな形でしか伝えられない自分を呪いたいけど、俺はお前のことが好きだ」


 彼はー白さんはそう言って、姉さんに近づき顔を自分に向けた。


「小学校の頃のような元気な明を見せてくれ」


 姉さんの頰に、暖かい何かが流れていた。



 その頃からだろう。

 私達。残された家族がー否。新しく生まれ変わった家族が元気になったのは。

 白さんには本当にどうお礼をすればいいか分からない。


「いいよ。俺にお礼なんて。俺は明の元気な姿がまた見たかっただけだからな。それに………ほら、俺ってば明のこと好きだからさ」


 彼の姿勢にどれだけ私達家族が救われたことか。

 気づけば彼は姉さんにとっての大切なかけがえのない存在となっていた。


 ピーンポーン

 白さんが、家に来るようになってーいや、姉さんが学校にまた行くようになって2ヶ月過ぎたぐらいのことかな。

 私達の家に白さんはもう一人連れてきた。


「愛くん!」


「よ、よお」


 彼は愛斗(あいと)夜夢愛斗(よるゆめあいと)くん。

 私が幼稚園の頃からの友達。まだそう言う関係じゃないのかもしれないけど、幼馴染って感じの人だ。

 そっか。白さんは、愛くんのお兄ちゃんだったのか。


「でも、白さんの方がかっこいいよね」


 つい言ってしまったけれど、ほとんど本音である。


「あーー………ありがとう?」


「何照れてんだよ」


「いや、凛ぐらい可愛い女の子に言われたらそりゃ照れるって!」


 なんだか一気に賑やかになったなーって私は人ごとのようにこの状況を見ていた。

 素直に喜べないのが、私の悪いところなのだろう。

 この難儀な性格のせいで、何度人を悲しませかけたことか………


 自分に素直になろう。

 そう思っていた頃に、私には第2の人生の転換期が訪れた。


「大丈夫ですか?」


 目の前に人が倒れている。

 いつもの下校道。いつもの日常に、非日常が眠っていた。

 それは男の子のようだった。髪は黒色でぱっと見日本人だった。

 まあ、よくよく見ると、少し蒼色が混ざっていたけれど………


「お母さん………」


 声をかけたけれどどうしよう………そう思っていると少年の口から言葉が漏れた。

 それを最後に、少年は力を使い果たしたかのようにぐたりと動かなくなった。


 ーー迷子。


 ーーお母さんとはぐれたのかな?


 ーーならお母さんはきっとすぐ迎えに来るはずだ。


 少年。私と年齢はあまり変わらないぐらいの少年の姿を見る。

 およそ、この国で使用される服ではない。

 まるで、中世ヨーロッパの貴族然とした格好に、私は3つの考えは即座に捨てた。


 ーー助ける必要がある。


 ーー彼は倒れている。


 ーー私はいつも助けられてばかりだ。


「ーーー」


 この決断は、英断だったって。

 今でも、私はそう思う。


「姉さん!!」


 家にいるはずの姉さんに呼びかける。


「どうしたの?そんな大声で呼ん………えっ?」


 姉さんの顔が驚愕に染まる。


「た、倒れてた………」


 私はそんな姉の様子に動揺して、一言。それしか言えなかった。


「………誰か、知ってるの?」


「し、知らない」


「………なんで助けたの?」


「た、助けたかったから。こ、困ってそうだったから?」


「親御さんとかは近くには?」


「いない………と思う」


 三回の質疑応答の後、姉さんは「はぁー」と溜息をついて。


「分かったわ。取り敢えず、身寄りがわかるまで、それまでは保護しておきましょうか」


 何だかんだ、姉さんは優しかった………



 それから一週間後。


「お、おはよう?今日の体調は良さそう?」


「ーーーーーーーー?」


 彼は日本人ではないのか、よく分からない言葉を話している。


「………えっと………」


「ーーーーー?お母さん?」


「お母さん?」


 初めて彼と会話?をした内容は、お母さんについてだった。


「お母さんが………」


 どうやら彼は2つの言語が喋れるようで、どこの国かも分からない言語も日本語が分かるようなのでこの時はさほど気にしていなかった。


「お母さんがどうしたの?」


 顔を真っ青にしている理由がわからなくて、私は聞いてしまう。

 選択肢として間違えた。後悔した。


「死んだ………」


 でも彼のことを知れた。

 彼の目を見て理解する。

 ああ、少し前の姉さんのようだ………と。

 それと同時に私は決意する。

 次は、自分が救う番だと。

 見ず知らず。その通りだ。姉さんのいつ通り、悪いけど見て見ぬ振りをするのが、私のこれからの人生において()()だったのかもしれないけれど。

 私はきっと、

 今の自分の現状を見ても、決意するだろう。

 何故か、彼を救いたい。

 自分のように、姉さんのように、

 苦しくても、白さんがいたように。

 彼を苦しみから解放するのは自分なのだと。

 彼の手を握って話しかける。


「大丈夫」


 何が大丈夫かなんて分からない。


「大丈夫」


 それでも、そう言うしかなかった。


「大丈夫だから」


 これは彼を救うために必要な方便である。


 ………


 人というのは脆弱な生物なんだって、今でも思う。

 私が助けなければ、彼はそのまま倒れ続けていたかもしれない。


「私が付いているから」


 ………


 素直になろうと決めた私は素直に生きることを密かに決めた。

 彼を助けよう。

 それは私にとって初めてのワガママだった。

 困った姉さんを見て、心がズキリと痛んだけれど、

 きっと彼を見捨てたら、それ以上の苦しみが私を待っているんじゃないんだろうか?

 彼の為に私はワガママを貫く。

 きっとこれからも。自分の為に。

 なんでこんなに彼のことを考えるのかは自分でも分からない。

 最初に彼を見た時もそうだ。

 全身を貫く変な感覚。そんなのに襲われた気がする。

 彼は一体何者なんだろう?


 …………これを、()()()()って言うのかな?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 彼奴が居なくなる。


 ーー全く、神さまへの態度ではないだろう?あれは………


「あはは。ごめーんね?マルクトちゃん?」


 ーーティファレト。


「うふふ。大丈夫だよ。神さまっていろんな人いるけど、優しい人だったら、まだ見てくれてるはずだから」


 先程と違い幼い少女のような喋り方をする彼女。


 ーーそう言う問題ではない。神さまの気分次第では、この世界は消えるのじゃぞ?


「あはは!怖いなー!神さまってーーーほんっと、何者なんだろうね?」


 最後の一言は、少女の明るさが含められておらず、その声には、真剣味が込められていた。


 ーー………神さまは神さまじゃ。それ以上は、禁句になるぞ?


「分かっていますわよ。ふふ」


 そうやってはぐらかす彼女だが、明らかに分かっていない様子だ。


 ーーはあ、神さまが今この場にいないから、このような会話ができるものを………聞いていたらどうなることか………


「えっ?」


 ーーむ?


 彼女がぽかんとした顔で私を見て………ニヤリと笑う。

 嫌な予感を感じる。


 ーーい、いや、お主が、記憶を見せているせいで、今この場には神さまはおらぬ………だろう………?


 後半恐怖が体を巡って、言葉が尻すぼみになってしまう。………まさかな………


「あそこ」


 ティファレトが指を指す。

 指をさした方向には()があった。


 ーー異物が混じっておるの。


 異物………神さまに対して不遜な言い方だが、それ以外に表現のしようもなかった。

 形容し難いそれがそこにはいた。

 強いて、言葉を使って表現するならば………目。だろうか。

 そしてその目が宙に浮いている。

 監視されているのだ。

 今の今まで気づかなかった。

 その気配の薄さに、気味悪いものを感じてしまう。


「神さまはね。ずっと私達を監視しているんだよ」


 一度話を区切り、私から目を逸らし、指を先程向けた方へ顔を向ける。


「まるで、結末を知っている、()を読んでいるかのように………いや、まだ結末は決められていないか」


 どちらにしても、同じみたいなものか。

 と話をまとめるティファレト。

 私ももう一度神へ目を向ける。

 ()()()()()()すらも読まれるように、その目に全て筒抜けになっているようなそんな感じ。

 先程ティファレトは本を読んでいるかのように、と言っていたが、それではまるで。

 私達の運命の行く末を、神さまがすでに知っているかのようではないか。

 それとも、今から決めようとしているのか。

 どちらにしろ、私達の人生を変えるこの闘いは、

 彼にとっては………

 ………いや、今考えてもしょうがないだろう。


「今自分にできることを全うしなくてはな………」


 そう自分に言い聞かせ、私は瞬が戻ってくるのを待っていた。

………………対象者以外の記憶の確認。『赤浜 凛』の記憶であることの確認。

『ティファレト』が何故このような行動をとったのか不明。

◯◯へ影響がなければいいが……

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