白い記憶(存在)
誤字やおかしな部分があれば言ってくださると嬉しいです。
まだ序盤であるためよストーリーの全貌が見えてこないかもしれませんが、最後まで見てくだされば幸いです。
投稿は不定期になります。極力早く投稿したいと思いますので、応援お願いします。
リリリリ!!!!
夢現の僕を強制的に起こす、不快な音。
今日こそはアレよりも早く起きようと思っていたのに、また負けてしまった。
もうこうなったら、意地でも寝ようと布団を自分に掛け直す。
リリリリ!!!!
まだ鳴り続ける不快なBGM。
確かにこのキカイは便利である。これさえあれば寝坊をする事もほとんどないだろう。
素晴らしい発明だと思う。
………………………
まあ、
その素晴らしさは本人に起きる意思がある場合に限るが………
「ん………んむぅ………」
不快な音こそ聞こえるが、この布団という物はなかなかに人を惹きつける優しさと温かさを持っている。
リリリリ!!!!
あと………もうちょっとだけぇ………
「こらー!瞬くん!!もう朝だよ!!早く起きないと朝ご飯抜きだからねー!!」
大きな声でしかし優しさがこもった声が聞こえてくる。
「あ、お姉ちゃん!ダメだよ!それは瞬くんのだから!!」
………………
「ああー!!食べたぁ!!」
「いや!僕の分!!」
流石に朝ご飯抜きは成長期に突入しようとするこの体の体力ががががが
叫びながら、寝室から出て、階段を降りて、リビングに入る。
「待って!まだ残して!」
息切れしながら明姉ちゃんに懇願する。
そんな僕の様子を見て、笑う声が2つ。
赤髪の姉妹が、僕の慌て方を見てクスクスと笑っている。
二人の様子には気づいたけれど、朝ご飯が残っているのか気になって先に机の上に目を向ける。
そこには、コメと呼ばれる異国の食べ物と目玉焼きにベーコンという、こちらに来てからほぼ毎日食べている朝の定番料理が並べてあった。
「な、なんだ〜。食べてなかったのか〜。良かった〜」
僕の毎日の楽しみでもある朝ご飯が抜かれていなかったことに安心しつつ、嘘を吐いた姉妹に対して苦言を呈そうと顔を向ける。
「何で、嘘を「なかなか起きない瞬くんが悪いんじゃない」
「い、いや、僕はまだ眠り「うふふ。ダメよぉ〜。早起きしないとぉ〜。寝坊助さんには、朝ご飯抜きですよぉ〜?」
「すみませんでしたぁぁ!!」
朝ご飯を出されてしまった僕は、抵抗虚しく頭を下げて謝罪をする。
これで何度目のやりとりだろうか?何度も繰り返し行っている事なのに、僕はこれを期待して、楽しみにしていた。
「まあ、いいや。瞬くんもようやく起きた事だし早くご飯を食べましょうか」
そう言って彼女………赤浜 凛は、キッチンへと向かい味噌汁を持ってくる。
「もぉ〜。凛は瞬には甘いのよねぇ〜」
ふふふと優しい笑みを浮かべながら彼女、、、赤浜 明は、席に座る。
「朝ご飯抜きにならなくて本当に良かったです。凛のご飯は格別ですからね」
そして、僕。清宮 瞬も明さんの向かいに座る。
あの日。最悪の日に、僕は彼女に出会った。
ここがどこか分からない。言葉が通じない。そんな僕に彼女は優しくしてくれた。
ここが日本と教えてくれた。ここの言語を必死にジェスチャーなども交えて教えてくれた。読み聞かせや、箸の使い方も教えてくれた。
勿論、家に上がらせて生活までさせてくれた明さんにも感謝の念しかないのだが。
特に優しくしてくれた、凛には感謝以上の感情がある。
「あれ」
いつの間にか飲み終わっていた味噌汁をまた持ってしまう。ぼぉっとしていた事を気付かれないようにしようと、ご飯に手をつけて、もうすでに食べ終わっていたことに気づく。
勿体無い事をした。大切な朝食の時間ぐらいは何も考えずにしようと思っていたのに………
(凛に変に思われてないかな?)
そんな事を考えて凛の方を見るが、どうやら食事に集中していて気付いていないようだった。
チラリと明の方を見ると、クスリと柔和な笑顔を僕に向けていた。
「ね、姉ちゃん………その………」
何も入っていない食器を持ったりしていたのだ。その光景はすごくシュールに映っただろう。
そう思い、明に弁解しようとするが、
「あら。もう食べ終わったの?美味しかった?」
しどろもどろになっている間に凛も食べ終わっていたようで、優しい笑顔と共に少し頰を赤らめながら、僕に質問をぶつけてくる。
流石に凛を無視するわけにはいかないので、「う、うん。凄く美味しかったよ。」と、当たり障りのない回答をしてしまう。
「むぅ〜。食べ終わったんなら、勉強しましょう!」
僕のいつも通りの定型文が気に食わなかったのか、頰を少し膨らませてーでも嬉しそうにー不満顔になる。
「う、うん。その………ごめん」
自分でも、今の回答は少し雑すぎたと思って謝罪をする。
「何で、謝るのよ」と言いながら僕から顔を背けて、リビングから出て行く。
「それじゃあ、えっと、姉ちゃん………」
さっきの弁解と一緒に食器洗いを任せる旨を伝えようとしたけれど、
「あら?凛が待ってるわよ?」
とクスクスと笑いながら食器を持ってキッチンに向かってしまった。
(弁解、、、出来なかった、、、)
何か勘違いされてそうで釈然としないけれど、明の言う通り、凛を待たせるわけにもいかないので、そそくさとリビングを抜け出して凛の部屋を目指して行った。
2つ目の記憶廻りの開始。
未だ記憶への干渉は無し。
『赤浜 凛』と『赤浜 明』の確認。