対象者の存在証明
誤字やおかしな部分があれば言ってくださると嬉しいです。
まだ序盤であるためよストーリーの全貌が見えてこないかもしれませんが、最後まで見てくだされば幸いです。
投稿は不定期になります。極力早く投稿したいと思いますので、応援お願いします。
「………!!?」
赤髪の少女と目があった瞬間、僕はこの地に戻ってきていた。
結晶の光は徐々に収縮を始め、輝きは失われていった。
「いま………のは………?」
先程見た誰かの記憶。
暖かいお母さんに包まれた、僕の記憶。
そして、冷たいお母さんの手を握った、僕の記憶。
僕の………名前は………
「キヨミヤ………シュン………?」
思い出した僕の名前を口にしてハッと気付く。
「声が出せる………」
記憶を見るまで無かった自分の手を白い世界に翳す。
「……………」
様々なことが同時に起きて軽いパニックを起こしてしまう。
「まずは、記憶の整理をしようかな」
先程見た記憶の内容で僕自身が誰なのかが少し見えたような気がした。
………と言ってもほんの一部だけだけど。
まず、僕の名前は「キヨミヤ=シュン」。
お母さん曰く、名字があるのは貴族の印と言っていたような覚えがあるから、僕は何かしらの貴族の一人だったんだろう。
そして僕の年齢は7歳。僕は、とある貴族の学校に入る予定だった。
その学校の名前までは思い出せないけれど、あの事件は入学式の前日だったと僕は記憶している。
(なんで、お母さんは殺されちゃったんだろう?)
お母さんが殺された理由がイマイチわからない。そもそも僕のあやふやな記憶が正しければ、殺した奴の中には僕やお母さんと仲が良かった人もいた筈。
となると、お母さんが何か恨まれるようなことをした?
そんな訳がない!お母さんは………お母さんは………
?
あれ?
お母さんはすごく優しくて………
あれ?
僕のお父さんって、誰だ?
今更な疑問だった。
お母さんのことを考えるあまりに失念していた。
僕の記憶にはお母さんの記憶がある。
でもその中にお父さんの記憶は含まれていない。
だけれど、子供である僕がいるから、お父さんもいるはずだ。
「うーーん」
記憶が無いからお父さんのことは全く分からない。
だから、姿も性格も声も何も分からない。
それに分からないのはお父さんだけじゃない。
お母さんもお母さんで謎が多い。
彼処に住んでいた時は意識していなかったけれど、客観的に見て思った。
家、デカすぎないか?
記憶を見ている途中にもつい考えてしまった家のデカさについて。
さっき言った通り、僕は貴族の息子なんだろうけど貴族ってあれぐらいの家が普通なのか?
だとしたら、随分と裕福な国だということになってしまうけれど、、、
それとも、僕の家が裕福なだけ?
ーーーーーーーーーーーー
本当に僕の両親は一体何者なんだ?
庭からして凝った作りになっていたし、家なんて何回迷子になったことがあるか。
もしや、王族直近のお偉いさんだった?
まさか………な。
それと、他にも気になる事があった。
お母さんのあの光は一体?謎の発行の後、記憶の中の僕は見知らぬ地にいた。
近くにいたのは………赤髪の………
ズキン。
「う………」
それ以上は考えるなと頭が悲鳴をあげている。
まあ、記憶を取り戻す当ては出来たんだから、知らない事を無理に思い出す事もないか。
そうだ。そうだよ!
記憶の続きが気になるのであれば、探しに行けば良いんだ!
先程手に入れたと言うべきなのか。
今僕には体がある。動き回れる足がある。何かを掴める手がある。
「正直、どうやって歩いているかは分からないけど………」
この無限に続いているような錯覚に陥りそうな白い世界に、僕の記憶の手がかりがあるのならば、僕はそれを探して記憶を取り戻したい。
「そうと決まれば!っと」
感触のない地面を踏みしめて僕は歩く。
「僕は運がいいな」
どこか胸の奥で湧いている寂しさを紛らわすように、新しく見つけた結晶に大げさに反応してみる。
(どこか見知らぬ土地で新しく会った赤髪の少女)
彼女は、僕とどう言う関係なのだろうか………
閃光が僕の意識を包み込まれる中、僕は次の記憶を密かに楽しみにしていた。
まだ遠い運命の分岐点が近づいているのを感じますか?
私と貴方の距離は近づいていますか?
貴方にとって、少年の心はどう見えていますか?
選択を誤りし者はもう一度運命の輪の中に身を投じますか?
……………………
ふふふ。無理に答えなくて良いのですよ。
大丈夫。貴方ならきっと。
私の協力者になってくれるはず。
この文章が、貴方の心をどう揺さぶっているかは分からない。
だけれど、
この、
私の、
言葉が、
貴方の選択を決める、1つの決定打になってくれれば、私は嬉しいですわ。
警戒。警戒。警戒。
運命の乱れを確認。
協力者の出現。◯◯◯である私達への干渉を確認。