【3人声劇】 気持ちは伝えずとも
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【3人声劇】気持ちは伝えずとも
作者 好田 他音(↓1) ※[よしだ たね]
登場人物
田村 結弦 (たむら ゆずる) 男
三村 美代子 (みむら みよこ) 女
先生 男
美代子の親 男
結弦の親 男
※先生と美代子・結弦の親はセリフが少ないため、兼役でお願いします。
基本は男向けにセリフを作っていますが、セリフが少ないので不問でも可能かと
思います。
【所要時間】
20~25分程度
途中。かなり長めの結弦ナレーション入ります。
【本編】
美代子:結弦ー!
結弦:お?美代子じゃん。おはよー
美代子:ゆーずーる!どうしたの?こんな朝早くに!
いつもはさぁ、登校時間ギリギリじゃん?
結弦:あー、今日はさぁ。朝早く起きちゃって。
美代子:ふーん。そうなんだぁ。
結弦:やぁなんかさ、昨日ーはやく寝ちゃってさ。
美代子:あーそっか!そうなんだぁ。
結弦N:この子は、俺の幼馴染の三村 美代子。
美代子は、テニス部に入部している。
中学校までは毎日一緒に登校していたが、高校からは
美代子が朝練ということもあって、あまり話すことも少なくなっていた。
実のところ、昨日早く寝ちゃったとかそういうことで、はやく登校したわけじゃない。
なんだか急に、この幼馴染に会いたくなって、家を早く出たのである。
ふっ・・・なんか、気持ち悪いかもしれないけど、なんか顔が見たくって
美代子の朝練の時間に合わせて、家を出た。
そう。大当たりってことだ。
美代子:なーんかさぁ。結弦とこうやって、2人で登校するの久しぶりだね。
結弦:おーそうだなぁ。中学校以来だな!
美代子:ふふっ。そうだね。
(溜息)いやさぁ。私も朝練ばっかでさぁ。別に朝練行っても全国狙ってるわけでもないし、
毎回1回戦止まりなんだけどね~。
結弦:いいじゃないか。俺みたいに帰宅部で、勉強もしないでダラダラ過ごしてる奴より
すごいと思うよ。
美代子:そう、かなぁ。
結弦:うん。そう思うよ。
美代子:ふふっありがとっ。
でもなんかさぁ。久しぶりにしゃべったらなんか雰囲気変わったよね。
結弦。
結弦:そうかぁ?
美代子:うん。変わったよぉ~。
なんかさ、大人になったなって感じ!
結弦:はははっ。俺はなんも変わってないよ(笑)
なんかさぁ。美代子もさ。大人になったなって感じするわ。
美代子:えー!?どこが?
結弦:うーん・・・・・い、いい・・・カラダに・・・なったよね。
美代子:はー!?うっそ!ほんとだから男って嫌なの!
気持ち悪い・・・・
結弦:気持ち悪いってなんだよぁ!褒めたんだろ?
美代子:そんなの褒められなくてもいいよぉ!
なんかさ。男ってすぐそういうこと言うよね。
結弦:えー?ほかの男にも同じような事言われたことあんのかー?(笑)
美代子:・・・・・・ま、まぁ・・・・ないってことも・・・・ないけど・・・・・
結弦:え?
誰だよ。それ。
美代子:はぁ!?あんたに関係ないじゃん!ほらもう、行くよ!!
結弦:お、おい!ちょ、ちょまてよ!
結弦N:久しぶりに話した美代子は、どこか懐かしい。
ラベンダーの香りがした。
『結弦の教室』
先生:えー。ここが原点であるからして、原点から磁場をかけると磁化が飽和し・・・・
っておい。お前ら~ちゃんと授業聞いてるかー!
ったく。じゃあ。田中!お前ここ解いてみろ。
結弦N:授業中。何も手につかない。朝方の美代子との会話が気になって仕方なかった。
美代子に男の影・・・・誰なんだ・・・・
(間)
元はと言えば俺が悪いのだ。高校に入ってから、美代子と話す機会をなくしていた。
別に、美代子と話したくなかったとか、会いたくなかったとかそういうことではない。
ただただ、高校生活が楽しくて1年半。美代子のことをほったらかしていた。
(間)
でも、俺は中学の時からずっと美代子のことが好きだった。たまに話そうともしたけど
なんか急に話すのもおかしいし・・・・。なんて言い訳をつけて話しかけなかった。
まぁ。大丈夫だろう。美代子には自分しかいないだろう。
なんて、自分の中での思い込みがあった。
先生:はい、田中お疲れさん。じゃあ次の問題を。
田村!解いてみろ!!
結弦:・・・・・・・・・・・・
先生:田村~。・・・・・田村!田村 結弦!!!!
結弦:は、はい!!!!
先生:なにぼけっとしてんだ。ここを解いてみろ。
結弦:はい!え、えーっと・・・・んー・・・・・・・わかりません
先生:おい・・・・なにやってんだよ・・・・・来年は受験なんだぞ?
いい加減、勉強に力入れないと本当に落ちるぞ。
まぁいい。お前は今日、補習だ。みっちり教えてやる!!!
結弦:えーーー!?まじっすか!
先生:まじっすか!じゃねえ!なら、日ごろから勉強するんだな!!!
わかったな?今日補習だぞ!?ちゃんと来いよ。
結弦N:まじかぁーっ。今日は友達と遊ぶ予定だったのに・・・
仕方がない。まぁいいだろう。
(間)
放課後。掃除当番を変わってもらって、俺は補習室へ向かった。
『補習室』
ガラガラ(補習室の扉を開ける音)
結弦:失礼しまーす・・・・・・・って誰もいないじゃん・・・・・
はー。早く終わらせたいのになぁ。
結弦N:先生はまだ来ていないらしい。
俺は窓際の、陽の当たる席に座った。
(間)
俺はまだ、美代子のことをずっと考えていた。
考えたって何か解決するわけではないけど、何か心の中がもやもやする。
美代子は好きな人がいるのだろうか。いたとしたらどんな奴なんだろうか。
うーん・・・・・・・・・・・zzzzzzzzzz
俺は早起きしたこともあって、眠ってしまった。
(間)
美代子:ゆーすーる!ゆーずーる!起きて!
結弦!!!
結弦:ん・・・・んん?
美代子:ほら起きて。もう帰る時間ですよ。
結弦:ん?ふぁー(あくび)
あれ?先生は?補習は??
美代子:えー?先生?
先生来たけどさぁ。結弦が全然起きないから、
補習は明日にするってさ。
結弦:なーんだよ。来て損じゃねーか。
美代子:損ってあんたが寝てたんじゃん!
結弦:ま、まぁそうなんだけど(笑)
美代子:ま、もういいよ。
帰ろ?
結弦:お、おう。
(小声)ってかなんで美代子がいるんだ?
『美代子と帰宅途中』
結弦N:どうにも今日は、美代子と一緒に帰れるらしい。
願ったり叶ったりな状況だ。
結弦:なぁ、美代子。
美代子:ん?なぁに?
結弦:今日は、なんで補習室にいたの?
美代子:あーーーー先週ちょっと部活でケガしてさ。
学校休んでたから補習だったんだ。
結弦:へぇーそうだったんだ。
美代子:そうそう。そうなの。
結弦:そうかぁ。お疲れさん。
美代子:ふっ。お疲れさんって、あんたも明日補習よ!
結弦:ふっ、わかってるって(笑)
美代子:明日はちゃんと受けなさいよ。
結弦:わかってるよ。
ふっ、お前は昔っから変わんねーよな。
美代子:え?どういうこと?
結弦:とんだおせっかいさんだ。
美代子:なによ、もう・・・・あんたにだけだよ!!!(笑)
結弦:え?バカ言うなよ(笑)
結弦N:俺は内心嬉しかった。
(間)
結弦N:俺はどうしても美代子に聞きたいことがあった。今朝のことだ。
美代子は他に好きな男がいるのか。それが聞きたくて仕方なかった。
美代子:ねぇ、結弦っ!!。
結弦:ん、えっえ!?なに!?
美代子:なに!?さっきから黙り込んで。
何かしゃべってよ。
結弦:え?何かしゃべってっていわれてもさぁ・・・思いつかねぇよ(笑)
美代子:えーっ・・・・・・
もう、ほんっと。なんも変わんないわね。あんた。
結弦:うっせえよ(笑)
美代子:・・・もういいよ。じゃあさ、私ちょっと寄るところあるから。
ここで失礼するわね。
結弦:え?じゃ、じゃあ俺も・・・
美代子:(さえぎるように)
いいよ!いいよ!あんたどうせ、しゃべんないんでしょ?
いいじゃん。それじゃあいいじゃん。もう帰ろ?
結弦:お、おう・・・・・お疲れ・・・・。
美代子:・・・・・・じゃあねーばいばーい。
結弦:お、おう。
結弦N:んー・・・・・・今聞くか。聞かないか。
どうしよう・・・・・・・・・・・・・・
もう・・・・・どうにでもなれ!!!!
結弦:おい!美代子!!!
美代子:えっ!?なに!?
結弦:あのさぁ・・・・お前さぁ・・・・・・
好きなやつとか・・・いんの・・・・・・
美代子:え?なんでそんなこと聞くの。
結弦:いや、あのさ・・・・・
何か気になっちゃって。
美代子:なんで気になんの?
あんた幼馴染ってだけじゃん。
そんなんで一々気になる?
私はならないけど。
結弦N:心にグサッときた。
結弦:なんだよ!その言い方!!!
じゃあもういいよ!
帰れよ!!!
美代子:はぁ!?なんでそんな言い方すんの!?
結弦:(舌打ち)いいじゃねーかよ!!!
帰れよ!!
美代子:・・・・・わかったわよ。
もうあんたなんかとしゃべらない。
・・・・・じゃあね。
結弦N:・・・・・やってしまった・・・・・・・・・
ついカッとなってしまった・・・・・
俺はそんなことが言いたいわけじゃなかった。
俺はもっと美代子に言いたいことがあったのに。
そんなことすらいえなかった。
はぁ・・・・・。
(間)
『結弦の自宅』
結弦の親:おー。結弦。おかえり。
結弦:あぁ。ただいま。
結弦N:俺の家は父親しかいない。父子家庭だ。
母さんが亡くなってもう、10年以上経つ。
大変な時期もあったけど、俺をこの歳になるまで
育ててくれた。
俺が大学に行くための貯金まで、もうすでに
用意してくれている。
本当にいい父さんだ。
(間)
だから俺は、父親の為にも勉強をがんばろうと、
最近、思った。
ふっ・・・・・最近なんだよね・・・・・・
ごめんね・・・父さん・・・・・
結弦:さぁ・・・・風呂でも入るかぁー・・・・・
(間)
結弦N:風呂に入っていても。ご飯を食べていても。
考えることは、今日やってしまった失敗ばかり。
寝ようにも寝れない。
どうしたらいいんだろう・・・・・
(間)
『結弦登校中』
結弦N:昨日、寝ずに考えて、俺は結局。
昨日と同じように、家を早く出た。
(少しの間)
でも、ずっと待っていても。美代子は来なかった。
もしかしたら、今日は違う道で行ったのかな。
なんて思って、テニス部に向かう。
今日は、美代子は来ていないらしい。
(少しの間)
授業が始まって、美代子のクラスに行くが、
美代子の姿はない。今日は欠席だそうだ。
(少しの間)
どうももやもやした気持ちが残る。
どうしたらいいんだろう・・・・・・・・
何て思っていた。
(少しの間)
一度、美代子のことを考えるのは辞めよう。
少し、冷静な目で見たかったからだ。
その間、俺は友達を誘って遊びに明け暮れた。
(間)
一週間が経った。
それでも俺は美代子が好きで、この気持ちを伝えようと
決心した。
でも・・・・・・・
(間)
もう学校には、美代子の姿は無かった。
(少しの間)
美代子は、家庭の事情で引っ越すことになったらしい。
美代子の家に行ったら、本当に。家の表札が無くなっていた。
先生にどこに引っ越したかを聞いても、教えてはもらえなかった。
(間)
俺は、後悔した。
すごく、すごく。後悔した。
気持ちを紛らわすために、勉強に明け暮れた。
それでも収まらず、彼女を作ってみようかと思って、
デートをしたこともあった。
でも、頭の中にはずっと美代子が残っていて、
結局なにもないまま時は過ぎていった。
(間)
大学生になってからの俺は、さらに拍車をかけて
勉強するようになった。
昔からなりたいと思いながらも諦めていた、
弁護士という職業。
それを実現させるという大きな目標を置いて、
私は勉強に勉強を重ねた。
(間)
大学を卒業し、2度目の司法試験。
俺は、合格した。
それから、弁護士事務所でも実務経験を終え、
フリーの弁護士として仕事を持つようになった。
お金もある。やりたい職業もできている。
それでも、何か心の中にはすっぽり穴が開いたような
感覚が今も残っていた。
(間)
美代子と最後に会ってから、もう。10年以上が経った。
言葉で言えば長いし、気持ちで言っても長いけど、
体感はそれよりもかなり速かった。
俺は今でも、美代子のことが好きだ。
また美代子に会えたら・・・・・
また美代子に会えたら・・・・って、
ずっと考えてきた。
そんなある日だった。
『結弦のオフィス』
(電話の着信音)
プルルルルル・・・・・・
プルルルルル・・・・・・
結弦:はい、田村です。
結弦の親:よう、結弦。久しぶりだなぁ。元気でやってるか?
結弦:あ、父さん。どうしたの?
結弦の親:いや、お前さぁ。
幼馴染の、美代子ちゃんって覚えてるか?
結弦:え?あ、あぁ。知ってるよ。
それがどうしたの?
結弦の親:いやぁ。美代子ちゃんの親御さんがさ。
うちの家に訪ねてきて。
結弦くんにお願いしたい仕事があるっていうんだ。
結弦:あ、そうなんだ・・・・・
結弦の親:・・・・・まっ。そうしうことだから、連絡先教えるから、
そっちに連絡してもらえるか。
結弦:あぁ。わかった。
結弦N:美代子の親?どういうことだ・・・・
とりあえず、俺は美代子の親と連絡を取り、
後日会う約束をした。
『美代子の親と対談』
美代子の親:あっ、結弦くん?
結弦:どうも、お久しぶりです!
美代子の親:あ、やっぱり結弦くんだ。
大きくなったねぇ。
結弦:いえいえ、まぁもう10年以上たちますから・・・・・
それで、今回はどうされましたか?
美代子の親:・・・・・・・・・・・・・・・・
結弦:・・・・・・・・?どうされました?
美代子の親:あの、そのことなんだが・・・・・・
(泣いてください)
あのな・・・・・・美代子がな・・・・・・
(少しの間)
亡くなったんだ・・・・・・・・
結弦:えっ・・・・美代子が!?
美代子の親:あぁ・・・・・・・・交通事故でね・・・・・・
結弦N:俺は言葉が出なくなった。
美代子が死んだ?どういうことだ。
頭の中がグルグルして何を考えているのかわからない。
美代子の親:・・・・・美代はな・・・・・・
引っ越しをする数か月前から体が弱くなって、
よく病院に通うようになったんだ。
だから家族で引っ越して、もっと空気のいい
所に住むことにしたんだ。
それからは段々元気になっていった。
2か月前、やっと美代子は医者から働いてもいいって許可をもらって。
就活をして、初出勤の日だった。
(間)
その通勤中に飲酒運転の車に当たられ・・・・・・・・・
(間)
今日来たのは、君に弁護を頼みたくて来たんだ。
結弦:・・・・・・・・なんで私なんでしょうか。
美代子の親:・・・・・・実はな。
これが美代子の机の上に置いてあったんだ。
結弦:えっ・・・?
結弦N:それは、切手が貼られた便箋だった。
そこには、「田村 結弦 様」
俺の名前が書かれていた。
美代子の親:ごめんよ。結弦くん。私たちも美代子がいなくなって辛くて・・・・・
中身を見てしまったんだ。
申し訳ない・・・・・・・。
よかったら、中身を読んでくれないだろうか。
結弦N:俺は、手紙を開いた。
美代子:(手紙を読みます)
結弦へ
はぁ、なんか、なんていったらいいのかな・・・・・。
(笑)私の書き方って、いつもこうなっちゃうよね。
なんていったらいいかなとか、なにが楽しかったのかなとか。
なんか、ほんとに着地点のない。まず飛び立ってすらいない言葉になるよね。
結弦。あれからもう10年以上経ったよ。
結弦、私のこと好き?
私、なんとなく気づいてたんだ。
でも、自分の恋ってわからないじゃない?
好きなのかなって思っても聞けるわけないしさー。
それに私も結弦のこと好きだった。
だから、結弦から言ってほしかった。
でも、結弦が最後に言った言葉。私は傷ついた。
それに、私も、結弦のこときつく言っちゃった。
ごめんなさい。
だから私、体悪くしちゃったんじゃないかなって。
罰が当たったんじゃないかな・・・って。
結弦。私は今でもあなたが好き。
結弦はもう、私のことなんて忘れてるのかな。
もしかしたら、いいお嫁さんを見つけて、結婚しているかもしれないね。
でも、私。一度でいいからちゃんとあなたにこの思いを伝えたい。
あなたに直接伝えたい。
私、やっと就職できることになったんだー!
私、お金をためてあなたに会いに行く。
10年間もかければ、話すこともいっぱいあるでしょ?
あの時みたいにはならないよね(笑)
今から私、初出勤なんだー。
これからじゃんじゃん稼ぐぞー!
この手紙を送るときは、そっちに行く1週間前に、届くようにしたいと思ってるの!
だから、今から1週間後。
あなたに会いに行くね!
昔よりももっとかっこよくなってるのかな。それともただのおっさんになってるのかな(笑)
とりあえず!会えるの楽しみにしてるね!
じゃあ、またね!
ちゃんと直接言うけどさ。もう一度だけ。書かせて。
結弦。好きだよ。
美代子より
(間)
結弦N:手紙からは、どこか懐かしい。ラベンダーの香りがした。
どうも、好田です。
このペンネームでは初作品。そして、歴代でも一番長い声劇台本です。
結弦役の方、長いナレーションすみませんでした。
これからも、恋愛関係の作品を書いていきたいと思ております。
よろしくお願いいたします。