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太陽が昇らない国の物語(仮)  作者: 岸田龍庵
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女王の依頼

【北の山脈 雪の女王の間】


 宝石をあしらった銀のティーカップを優雅な手さばきでテーブルに置く雪の女王ユーベ


ユーベ:「なるほど、スーリヤのいいそうなこと」

厚ぼったいくちびるから歌うような言葉が流れる

ユーベ:「でも私はそんなに困らないかもしれないわね。確かに、森を維持するのには太陽も水も風も豊かな大地が必要かもしれないけど、私には雪以外に必要がないもの」

ジェス:「でも、カラカラに渇いちまったら、水ですら、ゼロになっちまうかもしれないんだぜ」

ユーベ:「おや、そうだった、それはちょっとうっとうしいかもね」

ヒューマ:「このまま太陽が出ないと世界のバランスが崩れてしまうかもしれないんですよ」

サーラ:「そうすれば、雪も降らないんですよ」

ユーベ:「わかったわかったわ」

やや、けだるそうに答える雪の女王



ユーベ:「でも無料(ただ)ってのもねえ」

顔を見合わせるヒューマ、ジェス、サーラ

ジェス:「何が欲しいんですか?女王」

ユーベはジェスの問いに答えずサーラを見る

ユーベ:「あなた、とっても素敵なネックレスしてるじゃない?」

ドキリとして、『素敵なネックレス』を押さえるサーラ

サーラ:「スーリヤおばさまにいただいたんです」

長いため息をつくユーベ



ユーベ:「ねえ見て」

部屋の中を見るように促すユーベ。どういう仕掛けなのかはわからないが、ユーベの周りを泳ぐ宝石達

ユーベ:「私が500年かけて集めた宝石たち・・・」

サーラ、ヒューマ:「500年?」

ユーベ:「でも、これだけたくさんあっても、私が着飾れるモノはひとつもないの。ひとつも。どれもこれも私にかかると美しくないモノばかりなの」

それはそうだ、とうなずく一行

ジェス:「まさかあんたに似合う宝石を探してこいとか言うんじゃないだろうな?」



ユーベ:「そこまで無茶なことは言わないわよ。あなたたちに宝石の見立てをしろっていうのは無理な話でしょ」

たくさん浮いている宝石やら装飾品の中から、手のひらに収まるくらいの真円の雪玉を取り出す。

見ようによっては水晶玉にも見えるその雪玉を削り始める。

ガシガシガシと削られていく雪玉

ヒューマ:「これは」

雪玉は炎の形をした宝石に変わった。雪なのになぜか色が赤く染まっていく。 

ユーベ:「炎上石。この宝石の中にはいくつもの面があって、それが光の屈折を起こして、炎が燃え上がるように見せるの。炎のエネルギーがぎっしり詰まっている。雪の女王に炎の宝石って素敵だと思わない?」

サーラ:「雪の魔女に、炎の宝石・・・」

ユーベ:「魔女じゃない!女王!」

ジェス:「その石はどこにあるんです?」

ユーベ:「サンドピーク」

ジェス:「ゲッ、そりゃ、あいつらの言う『約束の地』じゃねえか!」

サーラ:「あいつらって、誰なのジェス」

ジェス:「ラクダ騎兵の連中だ。俺たち風の民が知っている限り、あいつらの生まれた所だ」

ヒューマ:「じゃあ敵の本拠地?」

ジェス:「その言い方は良くねえぜヒューマ。まだ敵だと決まったワケじゃねえからな」

ヒューマ:「敵に決まってる!サーラにひどいことをしたんだ!」

ジェス:「おお、そうだったスマン」

ユーベ:「ま、なんでもいいわ。炎上石を持ってきて。そうすればあなたたちの望をかなえられると思うわ」


【スークの町  宿屋】

 

 宿屋の一室

 それぞれ旅支度を整える一行


ジェス:「大都市サンドピークに行くには、ルートは二つだ。海路か陸路だ」


【ルートイメージ】

 海路・・・港町ポート・オブ・エリアから船に乗る

 陸路・・・山岳都市メンヒルを経由して山越え

 どちらにしろ砂漠の入り口の都市パールカノンに到着する


【スークの町  宿屋の一室】

ジェス:「よし、海路で行くか」

ヒューマ:「ジェス、ひとつ聞いていい?」

なんだ?というような顔をするジェス

ヒューマ:「なんで、ジェスもグレイスも、何から何まで面倒みてくるんだ?」

とたんに面倒くさそうな顔になるジェス。この手の質問には答えたくない、というような顔

ジェス:「いいか、これは風の民だけの問題じゃねえ。太陽が死んで世界のバランスが崩れている。そしたらみんなおかしくなっちまうんだ」

ヒューマ、サーラ:「ふーん」

ジェス:「なんだよ、『ふーん』って」

サーラ:「一応、マジメなのね」

面食らったような顔になるジェス

ジェス:「あたりまえだ、ふざけてこんなことしようと思わねえよ」

読了ありがとうございました。

まだ続きます。

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