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太陽が昇らない国の物語(仮)  作者: 岸田龍庵
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復活祭の夜

【最果ての 村の入り口】


 それぞれ馬にまたがったヒューマ達、最果ての村の一団が村を出発する


【山道】    

 月明かりと星空の下、馬車とそれを囲む騎馬の一団。ヒューマとサーラはそれぞれ馬上の人になっている



馬上であくびをするヒューマ

サーラ:「なあに、あくびなんてはしたない」

サーラを一瞥(いちべつ)するヒューマ

サーラ:「司祭様の前で失礼ないようにね」

ヒューマ:「わかってるよ!」

村長:「ヒューマ、眠いのも結構だが、最近は夜盗やら魔物やらが多いから気をつけろよ」


 警戒しながら山道を進む一行



【聖都スクード 城門】


 多くの人が行き交ってにぎわう様子


村長:「さ、着いたぞ」

サーラ:「やっと着いたねヒューマ」

ヒューマ:「ああ」

城門をくぐる最果ての村の一団   




【聖都スクード】 


 祭りの様子。目抜き通りに露店が軒を連ねている。その中には武器防具屋、道具屋などもある。

 宵祭りの雰囲気。大きなかがり火とランプ、その明かりに、夜店の品物がキラキラと反射して、幻想的な雰囲気の祭りになっている



【聖都スクード 復活祭】

  

 祭りに出ている人の話から以下のようなことがわかる

      

 復活祭は毎年行われている。

 基本全ての宗派が(月や星、火や水などなど)が集まるが、太陽が昇らなくなってから、すべてが集まらなくなってきている。

 今年も水の民、月の民、火の民は来ていない。

 星の民は軽武装で護衛に当たっている。

 復活祭はこの町だけではなく、各地方の大都市で行われている。

 最近、魔物やら夜盗やらが増えて治安が悪くなってきている。

 南の方では「砂漠の使徒」と自らを呼ぶ集団が勢力を伸ばしている

 世の中の乱れはすべて太陽が昇らなくなってから起き始めたという



【復活祭 見せ物屋】

        

 ヒューマとサーラは、人の輪ができている、ある見せ物を見る

見せ物屋のジェス:「ささ、お立ち会い」

大衆を前にして見得を切るジェス。幾何学模様を織り込んだポンチョに、あちこちに極彩色の鳥の羽が飾ってある、ドレッドヘアーの男

ジェス:「今から、柱に縛り付けた美女、と思われる女性の頭に乗ったリンゴを、目隠しをした俺様が、このナイフを投げて串刺しにしてごらんに見せマース」

柱にくくりつけられている女性と、頭の上に乗ったリンゴ

人混みのなかのヒューマとサーラ

サーラ:「なんかすごいわよヒューマ」

ヒューマ:「そんなんできっこないよ」

ジェスは人混みの中からサーラを見つける

ジェス:「そこのお嬢ちゃん、おかっぱ頭のお嬢ちゃん」

サーラ:「わたし?」

ジェス:「そそ、目隠しするのを手伝って欲しいんだ」

サーラ:「ねー、ちょっと、どーしようヒューマ?」

ヒューマ:「えー、俺知らないよ、呼ばれたのサーラだろ?」

サーラ:「いいから、一緒に来て!」

ヒューマ:「お、おいちょっと!」

無理矢理連れ出されるヒューマ

ジェス:「おやおや、これはかわいい巫女(みこ)さんじゃないか。お嬢ちゃん名前は?」

サーラ:「サーラ」

恥ずかしそうに答えるサーラ。頬が上気している。

ジェス:「じゃあサーラ、この布がなんにも仕掛けがないことを確かめてから、俺様に目隠しをしてくれるかな?」

サーラに布を手渡すジェス

サーラ:「ヒューマも確認してよ」

ヒューマ:「俺もすんの?」

ジェス:「ははは、仲良くしてくれよ。さあ、ただの布だっていうのがわかったかい?」

布を手にして頷くサーラ

ジェス:「じゃあサーラ、目隠しを頼むよ」

サーラに背を向けるジェス

ジェスに目隠しをするサーラ

ジェス:「痛くしないでくれよ」

目隠しを縛り終えるサーラ

ジェス:「よーし、じゃあ皆々様、とくとご覧あれ!」

ナイフを構えるジェス

不安そうな顔のヒューマ

ヒューマの背中に隠れようとするサーラ

ナイフが投げられた

ナイフは柱にくくりつけられている女性の胸めがけて飛んでいくと思いきや、あり得ない曲がり方をして、頭の上のリンゴを二つに割った。

どよめく人だかり

ヒューマ:「ええええ?」

ヒューマの背中に隠れて見ているサーラ

ジェス:「どーだいみんな」

一般人:「なんだあ、ひょっとして気流を操ってんじゃないのか?」

一般人:「風の民かあ?」

ジェス:「そーよ、俺様は風の民よ」

目隠しを取り、開き直るジェス

ジェス:「確かに気流を操ったさ。悪いか?見せ物としちゃ上出来だろ?」

興ざめして散っていく群衆

ジェス:「けっ!なんだいなんだい!この真っ暗けのご時世に、ちょっとでも明るくしてやろうと思っただけなのに!」

散っていく群衆に吐き捨てるジェス

柱に縛り付けられていた女性が、するすると縄を外す。

サーラ:「私はとてもドキドキして楽しかったわ」

ジェス:「そうかい。ありがとよ、お嬢ちゃん」

サーラ:「ね、ヒューマ?」

ヒューマ:「別に?」

サーラ:「何よ、このおじさんの言うとおり少しでも明るい方がいいじゃない!」

ヒューマ:「そんなんで太陽が昇るんだったら、父さんは今頃とっくに帰ってきてるよ!」

サーラ:「そんな言い方やめてよ、太陽の子はそんなこといっちゃだめよ!」

サーラの言葉に反応するジェス

ジェス:「太陽の子?」

ヒューマ:「へーへ、すいませんね太陽の巫女様!」

あっかんべーをして去るヒューマ

サーラ:「あ、ちょっと待ってよ」

追いかけるサーラ

ジェス:「聞いたかグレイス?」

柱にくくりつけられていた女性の名前を呼ぶ

グレイス:「ええ」

ジェスとグレイスは、ヒューマとサーラを追う。



【復活祭】    

 祭りを散策するヒューマとサーラ。二人の後をジェスとグレイスが追いかけてくる



【聖都スクード 聖堂 大広間】


 町の一角、祭りが行われている目抜き通りとは少し離れたところにある、小さな聖堂

 ランプの明かりの中、最果ての村の村長と、法衣姿の司祭が話し合っている

司祭:「まだ戻らないのかファロスは」

村長:「司祭の方こそわかりませんか?」

司祭:「ファロスの光おろか、フレアの光すらまったくわからん」

村長:「もう、太陽は昇らないのですか?」

司祭:「先人は、このことを知っていた。そして先人はこれを乗り越えてきている。だが、今回は伝承にあるものとは違う・・・」

村長:「砂漠の使徒とやらの影響があるのでしょうか?」

司祭:「わからぬ。だが、南方では村や町が砂に呑み込まれて消えたという話を聞いた」

村長:「なぜ、砂漠の使徒とやらの力が強くなってきているのですか?」

司祭:「砂の影響が強くなっているのではない。力の均衡が崩れてきているのだ。水は勢力を伸ばしているが、それは大洋での話だ。大地では水がかれている。船の発達で風の力が強くなってきているが、その風はあまりにも強すぎる・・・」

村長:「世界のバランスを崩している・・・」

司祭:「それはそうと、ヒューマはまだ覚醒しないのか?」

首を横に振る村長

司祭:「ふむ・・・夜明けはまだか・・・」

読了ありがとうございました。

続きもよろしくお願いします。

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