【海路編】 港町
ここから一時的にルートが分かれます
【海路編】と【陸路編】同時に掲載していく予定です。
◆海路編
【港町ポート・オブ・エリア 大通り】
活気とモノがあふれる、港に直接つながっている通り。
見たこともない異国の雰囲気に見とれるヒューマとサーラ
サーラ:「こんな場所初めてね」
ヒューマ:「山奥の村じゃあ、考えられないね」
ほとんど夜と同じなのだが、この港町だけは昼間以上のきらびやかな光りにあふれている。
そこかしこにある文明の香り
ジェス:「船をチャーターしなくちゃな?」
ヒューマ:「船?」
サーラ:「船に乗るの?」
ジェス:「それと、水の民の協力もらわないとな。ちょっと時間かかるから、先に町の南東にある『あぶりマグロ亭』に行っていてくれ。
俺の名前をだせば泊まれるようになっているから。お前達山育ちはたっぷり港町でも見学していきな」
サーラ:「失礼ね、人をおばけみたいに言って」
ジェス:「ははは、悪い悪い。じゃあ『あぶりマグロ亭』でな」
異国情緒溢れる町並みを散策するヒューマとサーラ
二人は中央広場へと足を踏み入れる
【港町ポート・オブ・エリア 中央広場】
黒山の人だかりができている。その中心に、ボロ布を縫い合わせた服を着た、長髪にひげ面の痩せ男3人がいる。
ひげ面の男:「いったい、いつからこの世界に太陽が昇らなくなったのか、覚えているか!」
民衆は水を打ったように静まり返っている
ひげ面の男:「なぜ、こんなことになってしまったのだ!」
民衆の反応を伺う
ひげ面の男:「そうだ、太陽の民が、太陽が持つエネルギーを独り占めしているからだ」
ヒューマ:「なんだって?」
ひげ面の男:「今こそ、やつらの勝手を許してはならない!過去のしがらみにとらわれてはならない。皆、指輪を捨て立ち上がるのだ」
民衆は呼応して一斉に鬨の声を上げる
ひげ面の男:「かつて、神々は太陽の運行を確実なものとするために、生け贄を捧げさせたという。今こそ太陽を独り占めしている奴らの血であがなおうではないか」
民衆:「(歓呼)」
ヒューマ:「俺たちが太陽を独り占めしているだって?」
サーラ:「そんなのデタラメよ!」
ヒューマ:「ウソをつくな!」
声を上げるヒューマとサーラに静まりかえる民衆。
ヒューマ:「太陽は死んじゃいない!また甦るんだ」
サーラ:「そうよ、誰も独り占めなんてしてないわ」
ひげ面の男:「君は何者だ?」
ヒューマ:「俺はヒューマ。『太陽の子』だ」
ヒューマの言葉にざわめく民衆
ひげ面の男は背後にいる面布をした男に、聞いたことのない言葉で話しかける。なにやら頷いている男達
ひげ面の男:「よろしい。2人ともこちらにきたまえ。私が本当の神の言葉を教えてあげよう」
ヒューマとサーラの前を潮が引くように民衆が道をあける。
顔を見合わせるヒューマとサーラ。すると背後から手が伸びて二人の口をふさいだ。
グレイス:「すいませんね。弟たちがおかしなこといって」
ヒューマとサーラの間に顔を出すグレイス。口を押さえられてモゴモゴしているヒューマとサーラ
グレイス:「さ、もう晩飯の時間だから帰るよ」
強引に引き下がっていくグレイス
面布を外す男。顔を覆うように手形が残っている。
読了ありがとうございました。
まだ続きます。