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太陽が昇らない国の物語(仮)  作者: 岸田龍庵
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プロローグ

シナリオ形式で書いた物をリライトしました。

テレビゲームを意識して作った作品です。

はじめに


 ある国の物語

 その国は大変なことになっていた

 大地は渇き、海は荒れ狂い、風は吹かなくなった。

 穀物はほとんどとれず、あれほどたくさんいた魚や、動物はどこかにいってしまった。

 そう、太陽が昇らなくなってから


 太陽が昇らなくなってから十年

 月と星明かりの中、人々は暗い気持ちで暮らしている

 なぜ、太陽は昇らなくなってしまったのか?

 おかしくなった、世界を元の姿にもどすことはできるのか?

 この国に、夜明けはくるのか?



【プロローグ】


【街道 小高い丘】

土を蹴るラクダの(ひづめ)

十数騎もラクダ騎兵が疾走する。町を見下ろせる小高い丘で止まる。

全員が目の部分を残して、顔を覆っている。

服装はボロ布を縫い合わせた雑衣に軽装備

隊長:「あれか?」


眼下に、町が見える

隊長:「復活祭、とやらをやる町は?」

隊員:「いかがなさるのですか?隊長」

隊長「決まっている。太陽も大地も2人はいらん。あとは消せ」


再び疾走するラクダ騎兵の一団


【最果ての村 山道】

     

【夜の山道】

木や草が伸び放題の山道を、少女の足がかなりの速さでかけていく。

視界が開け、足下には崖が見える。

崖の途中に、少年の背中が見える

崖の上に立つ黒髪の少女

おかっぱ頭に白い肌、白い法衣が良く似合っている。


サーラ:「やっぱり」

サーラは崖を滑り降りる。足はぴったり地面に着いたままで、体重を前後に動かすだけで、速度が速くなったり、遅くなったりしている。

少年の背中が近づいてくる。 

サーラは音もなく、少年の傍らに到着し、音を立てずに座る。


【崖の中腹】

 

崖の真ん中で体育座りをしている、少女と少年


ヒューマ:「なんだよ」

サーラ:「いつもなら邪魔しないけど、今日はダメよ」

ヒューマの横顔に言うサーラ

ヒューマ:「・・・・」

サーラ:「忘れたの?今日から聖都スクードに行くのよ。復活祭でしょ?」

ヒューマ:「あっ」

ヒューマはここでサーラを見る。

サーラ:「行かないつもりじゃないでしょうね?」

ヒューマ:「何が復活祭だよ。何年経っても太陽は昇ってこないじゃないか」

サーラ:「だめよ、そういう言い方は」

サーラはヒューマの手に自分の手を重ねる。

サーラ:「信じることが大切なんだからね」

ヒューマ:「・・・」

サーラ:「ヒューマだって、信じているから、ここにくるんでしょ?」

ヒューマはサーラの横顔を見る。

サーラ:「不思議ね。もう太陽は沈まないのに、私たちってわかるのね、日が沈む、一日の終わりが」

サーラは本来なら日が沈むであろう、西の空を見ていた。遠い目をして。

サーラの横顔を見るヒューマ。

白磁のようにどこまでも白い肌。長いまつげの奥に隠れた瞳が輝いている。

西の空には、夕陽の代わりに、昼間でも星が瞬いていた。


サーラ:「さ、そろそろ帰って支度しましょう」

立ち上がって、服に着いた砂を払う。

ヒューマ:「面倒だなあ」

ヒューマも立ち上がる

サーラ:「司祭様の前じゃ、そんな口聞いちゃダメよ」

ヒューマは口答えせずに、サーラのほほに、そっと手を当てる。

サーラ:「どうしたの?」

手を放すヒューマ。かすかに血がにじんでいる。

サーラ:「枝かなんかで切ったのかしら」

傷口を確かめるサーラ。

サーラ:「せっかくの復活祭なのに・・・」

ヒューマ:「待って」

ヒューマは先ほどのようにサーラのほほに手を当てる。するとヒューマの手から山吹色の光が出てきた。

その光りはじめた手でヒューマはサーラのほほをなでる。手を放すと傷は跡形もなく消えていた。

サーラ:「ヒューマ?」

自分のほほに手を当てるサーラ。

ヒューマ:「みんなには内緒だぞ」

口に人差し指を当てる。

呆然としているサーラの手を引くヒューマ

ヒューマ:「さ、帰ろう」

すたすたと崖を登っていく、少女と少年の背中。



【オープニング】


 復活祭に向かうための旅支度をするヒューマとサーラ、その家族。

 ここでわかるのはサーラの家族のもとでヒューマは暮らしており、サーラは法衣に着替えることで神に仕える者だということ。

 ヒューマには肖像画になってしまった父がいるということ。

 ヒューマとサーラは兄弟ではないが、幼なじみのような関係であること


【この世界の物語】


 この世界に最初にあったのは「闇」だった

 闇は何をするわけでもなく、ただ横たわっていた。

 闇は自分の姿が見たくなった。しかし闇の中では自分の姿は見えない。

 そこで闇は自分を半分切り取って「光」を作った。

 この世界に初めて生まれた光だった。

 闇は今まで見たこともないまぶしさに目をつぶして自分の姿を見ることなく、隠れてしまった。

 闇とは反対に、光はいよいよ大きく輝き、それは太陽になった。

 太陽が照らすと、そこには「大地」があった。

 広い大地。

 だけど大地はすぐにカラカラになってひからびてしまった。

 太陽の光が強すぎたからだ。

 そこで太陽は自分を少し切り取って光を弱くした。

 太陽のかけらは「月」になった。

 でも、太陽と月は一緒にはいられなかった。一緒にいると切り取った意味がないからだ。

 そこで、月は夜を待った。

 夜は闇のことだった。目をつぶしてしまった闇だった。

 月の光は、太陽のそれと比べると柔らかいので、闇は月と一緒にいることはできた。

 こうして昼と夜が生まれた。

 でも、闇はまだ自分の姿を見ることができなかった。

 月はカラカラになった大地に「水」を呼び寄せた。

 大地は甦って、あふれた水は海や川になった。

 でも、空気がよどんでいた。

 そこで太陽は、少しだけ自分の息を大地に吹きかけた。

 すると「風」が生まれ、種が飛び回って色々な植物が生まれた。

 息を吹きかけたときに、太陽は少しだけ自分のカケラを落としてしまった。

 そのカケラが「火」になった。

 こうして世界が生まれた。

 でも、音もない世界だった。

 そこで、太陽と月と火と水と大地と風は話し合った。

 風は鳥を作った。鳥は風に乗って飛んだ。

 水は魚を作った。魚は水の中で泳ぎ回った。

 大地は陸に住む生き物を作った。

 月はそれら多くの生き物に生きていく知恵を与えた。

 その生き物の中で、火を怖がらなかったのは人間だけだった。

 こうして世界に音があふれた。

 最後に人は夜空を見上げた。

 そこには、月と一緒に闇の中に瞬いている「星」があった。

 この世界の最後に星が加わった。

 でも、闇は自分の姿を見たことがない。

       

 ここで映像が切り替わり、幼い頃のヒューマが父と最後の夕陽を見る場面になる。

 その後、ベッドで穏やかな寝息を立てているヒューマを置いて、父は旅に出る。

 テーブルの上には書き置き

 (ヒューマ、父さんは太陽を探しに行く)

 

【太陽の物語】

 映像は、渇いてひび割れた大地、実をつけない小麦の穂、砂嵐が吹きすさぶ、荒涼とした様子


 しばらくして、太陽は自分が燃え尽きることを知った。

 そうなるとどうなるのか?

 闇だけになってしまうのか?

 でも、闇は目をつぶしてしまって隠れて出てこない。

 世界が闇になることはなかった。

 太陽が燃え尽きると、みんな自分がどんな姿なのかわからなくなってしまった。

 月も星も光が弱すぎた。

 でも、世界が闇に包まれることだけはなかった。


 一日中、月と星の明かりで暮らす。

 そんな日がもう十年、続いている。


読了ありがとうございました。

続きもご覧くださると幸いです

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