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本気の恋

思い返せば、私があなたに興味をもったのは貴方のことを面倒臭いなんて思っていた日からそう遠くはない日のことだった。



恋って、ほんと突然だよね。



「あんたさー、1年だよね?もしかして神崎ルール知らなかったの?」



「知らなかったなら仕方ないよね。許してあげるから今すぐ神崎君と別れてきてよ。」


「…いや…あの、」


「なに?もしかして別れるつもりない感じ?」


「神崎ルール破ったらどうなるか分かってる?」



「私…ルールとか知らなくて…でも」


「は??何??」


「…私は、すばる先輩のこと、好きだから…」



「…はぁぁ??神崎君はみんなが好きなんだよ、お前だけ特別とか思ってんじゃねーよ!」



やばいやばいやばい。



なにこれ、まじの修羅場じゃん。


五、六人の上級生に囲まれた小柄な1年。


あの子はきっと神崎すばるの彼女の結花ちゃん。



「きゃっ…」



うわうわ、なんか髪の毛とか掴まれてるし、リアル壁ドンされてるし、これ、なんかヤバイ感じじゃない?



助けに行ったほうが…



「せんせー、ここで3年生が1年生虐めてるんですけどー」



「え?!うそ、先生??」


「なんなのお前…?!」



突如現れた謎のイケメン。



その正体は…




「3年生って推薦とかありますよね、大丈夫なんですかこんなことして。成績に響きますよ?」



神崎すばる。



ではなく…



「…あ、あずま…!!」


壁際に追いやられていた結花ちゃんが『あずま』と呼んだ男に飛びつく。


「…ちっ、今日のところはここら辺にしといてやる。」


「次会った時までに別れてなきゃただじゃおかないから!!」



第3者の登場に、さすがの怖い先輩達もきつい香水の匂いを残して逃げていった。


後に残ったのは、結花ちゃんと彼女を助けた『あずま』と呼ばれた男子生徒、と物陰に隠れた私。


「あいつら香水くさ…けっば。そして性格終わってんな。」



あずま君は大分辛口らしい。



「…ごめん、ありがとう」


「いや、別に。大丈夫?どっか怪我とかしてない?」



あずま君は小柄な結花ちゃんと視線合わせるように屈むと、優しく頭を撫でた。


(へぇ、結花ちゃんには甘甘だ。)


「うん…大丈夫。でも…」


(??!)



「…髪の毛引っ張られて痛いよ~」


結花ちゃんはあずま君に抱きついて肩に顔をうずめた。



「よしよし。」



そして、あずま君はそんな彼女に答えるように頭をよしよししている。




ん?



あれ、結花ちゃんって神崎すばると付き合ってるんだよね。


それを疑ってしまうほどのいちゃいちゃを見せられている私は動揺する。



ていうか、修羅場を見ていたのに助けもせず突っ立っていた挙句、こんなリア(ではない)のラブラブ場面を見せられてる私って…完全に去った方が良いよね??



(そーっと…バレないように…)



「今回は俺がいたから良かったけど、あいつら次もある的なこと言ってたよね?やっぱり神崎先輩とは別れた方がーーー」


「嫌!それは絶対、いや!!」



急に顔を上げて大きな声を出すもんだから抜き足差足で移動していた私もびっくりする。



「…ゆいか…」


「だってだって、私はすばる先輩のこと好きだし、あんなルール作ってすばる先輩のこと独占したいだけの人達に何言われようが関係ないし!!」



あれ、結花ちゃんって見た目によらず意外と自我激しい系?結構バッサリ言っちゃう系?



「…好きな人に好きって言ってもらえたんだもん。こんな幸せ手放したくない…。」



結花ちゃんの声は震えていて、神崎すばるへの想いが伝わってくる。


「…でもさ、俺、結花がこれ以上傷つくのは見たくない。今日だって、教科書に落書きされてたし上靴もなくなってたしーーー」



なにそれひどい…。結花ちゃんそんなことされてるの?ただ神崎すばると付き合ってるってだけで?少女漫画じゃあるまいし…。



「私はすばる先輩と居られたら、それだけで幸せだかり。周りの女子に疎まれても、嫌がらせ受けても、構わない。すばる先輩に好きって言ってもらえたら全部どうでもよくなる。」



結花ちゃんの言葉には真っ直ぐな意思が込められていて、どうしてこんな風にいじめられてまで神崎と付き合おうとするのか、という疑問が解消された気がした。



「ねえ、結花ちゃん。」



この前までは、


ただ面倒臭い、関わりたくない、



そんな存在だった彼ら。



だけど、なぜか今は



『たかが恋愛にどうしてそこまで真剣になれるのか。』



真っ直ぐな結花ちゃんの想いを見たからかな…

知りたくなったんだ。



「…えっと…誰、ですか??もしかしてさっきの見られてーーーー」



「ごめん、勝手にずっと見てました。私は2年生の佐和沁音。周りになんて言われようが自分の気持ちを曲げない結花ちゃんを見ててこれだけは言わせて欲しいって思った。」



「…??」



「私は応援してるから、結花ちゃんと神崎すばるのこと。」



初めて人と関わろうと思った。



他人に自分から話しかけるなんていつぶりだろう。





「…がんばってね。じゃあ。」




ひた向きな彼女の想いが届くといいな。


彼女の頑張りを応援してあげたくて、気づいたらそんな事言ってた。



立ち去る時に結花ちゃんとあずま君には不思議そうな目で見られたけど、いいや。






(…私もこれからするのかな、本気の恋ってやつを。)




がんばって。



それは、結花ちゃんにだけ向けたものではなく、自分への喝だったのかもしれない。

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