あったかい場所へ。
ゴロゴロしたい。
あったかい場所でゴロゴロしたい。
赤い屋根の上、天日干しにした布団のそのうえで、私は優雅に寝息を立てる。
誰にも邪魔されない、私だけの特等席で。
なのに、それなのに、あの子はいっつも邪魔をするの。
「みやこさーん。私も寝たいからちょっとどいてねー」
そう言って私を端っこに寄せるハルカ。
私はあの子より年上なのに力も体もあの子の方がはるかにおっきいからなすすべもない。わたしの小さな抵抗もハルカからしたら”じゃれつき”に過ぎない。
「くすぐったいよーみやこさん」
ほら、こんな現状でしょう?
「なーにー?かまってほしいのー?」
勘違いも甚だしい。
私の居場所を返せー!!!
毛を逆立てて言っても涼しい顔して喉元を撫でてくるし……気持ちいいけど。
「みーやーこーさーん!」
うるさいなぁもう。
この子は黙って撫でいてくればいいのに。
仕方ないからお隣の屋根の上にでもお邪魔しようかしら。
私は尻尾を揺らして屋根を飛び越えた。