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異世界・グレイ

「んっ・・・・・・んん~、あれ? こっ、ここは・・・・・・?」


目を覚ました俺は、公園の砂場で大の字になって倒れていた。ゆっくり起き上がった俺は、服に付いた砂を手で払いながら周囲を見回した。


「公園・・・・・・だよな? あの渦がない・・・・・・って、何だコレ! 景色が全部白黒!?」


見渡すと、景色の色は全て白黒で一切の音もなく、ただ不気味な静寂が広がっていた。

景色こそ俺の知っている公園そのものだったが、状況が把握し切れていない俺でもここが俺の知っている世界ではないことだけは理解できた。


「・・・・・・俺、死んだのかな? イデデデッ! 夢でもなければ死んでもない!? 何なんだよ~ここは! ・・・・・・あっ、そうだ。あの子を捜して助けなきゃいけないんだよな・・・・・・でも、どうやって?」


俺は、突然のことで茫然としていたが、ふと光の声の主を助けなければならないということを思い出した。

しかし、俺は、声の主がどこにいて何をすればいいのか詳しく聞いていなかった。

手がかりが全くない状態であることに気付くと力なくうなだれた。


「あぁ~もぅ! 考えるのヤメだ、ヤメ! 考えてもしょうがねぇ! まずは行動だ、ここにいてもしょうがないし。まずは、その辺捜してみるか。人いなさそうだけど・・・・・・」


声の主がここにいるということは、誰かしらここにいるのだと自分に言い聞かせて俺は、声の主を捜すために周辺を散策することにした。



俺は、人通りの多い所を考えたら自然と駅へ足を運んでいた。駅の周囲には、小さな店がいくつか並ぶ小さな駅だった。

客どころか、駅員すら姿が見当たらなかった。時計は十二時で止まっており、駅周辺も不気味な静寂が広がっていた。


「・・・・・・まっ、当然か。しかし、何かしら手がかりはないものかぁ~?」


「オォ~イ! 誰かいませんかぁ? オ~イ、オ~イ!」


俺は、呼んでも返事があるはずもないと思いながらも駅に向かって思いっきり誰かいないか呼びかけた。

何度も、何度も。

もちろん、帰ってくるのは虚しい静寂だと思っていた。


「そんなに呼ばなくてもここにいますよ?それとも、新しい遊びですか?」


「・・・・・・エッ? だっ、誰だ!?」


不意に帰ってきた返事に驚いた俺は、声のする方へと慌てて振り返った。

その人物を見た瞬間、俺は、文字通り目が点になってその場に佇むしかなかった。

首と目線を少し上にあげるとその人物はいたが、高い所にいたわけではない。俺の少し上の所で宙に浮いていた。

燕尾服にシルクハットをかぶり、身の丈ほどもある長い黄金の杖を携えていた。

顔は、瞳を隠す仮面を身に着けていたため、表情をうかがい知ることは難しかったが、口元は微笑んでおり、年は俺と同じ位に見えた。


「やぁ、異界の扉が開いたと思ったんで来てみたらやはり迷い人がいらっしゃったんですね。ようこそいらっしゃいました」


「うわぁ~、人が宙に浮いている~。あっ、人じゃなくて幽霊だから浮いてて当然かぁ~! アッハハハハッ! ハァ・・・・・・」


俺は、宙に浮いている青年の姿を見て現実逃避を試みるも今さら現実逃避の意味はないと悟って盛大な溜息をつきながらうなだれた。


(もうヤダ、また幽霊だし・・・・・・。あの子を見つける前にコイツにやられる。戦うか・・・・・・無理無理! 俺、祓う力ないし!)


俺は、半泣きになりながらもこの状況を打破するために考えを巡らせていた。その間に宙に浮いていた青年は、ゆっくり下へと降りて地面に着地すると俺の所へ歩み寄ってきた。

俺と同じで白黒ではなかったが、彼の空中ショーを目の当たりにして俺とは違う存在だということを証明していた。


「初めまして、宮本武蔵君。私はこの『グレイ』という世界を取り締まっている者です。まぁ、私には名がありませんのでどうぞオーナーとお呼び下さい」


オーナーと名乗る仮面の青年は、俺に自己紹介をすると右手を胸に添えながら丁寧かつ華麗にお辞儀をした。


(うわぁ~、見た目だけじゃなくて仕草や言葉遣いまで紳士だ。漫画に出てきそう・・・・・・何、あの滑らかな手つきとお辞儀。何で名前がオーナー? セバスチャンとかじゃなくて? ・・・・・・ってか!)


「何で俺の名前を知ってんだよ!? お前、俺の知り合いじゃねぇだろ!?」


確かにオーナーは俺のことをフルネームで宮本武蔵と呼んだ。勘で当てられるような名前ではないはずだ。

元々、安全が確保されていない場所に自ら飛び込んだのだが、それにしてもおかしいと思った。

俺は、オーナーに対して警戒を強めながら返答を待ち、返答次第ではすぐ逃走できるように身構えていた。


「何故と言われるとそうですね。強いて言うなら私がこの世界の支配者だからとしか言えませんね。それに、あなたの事は名前だけではなく何でも知っていますよ」


オーナーの声音は、特に変わらない冷静なトーンで返答していたため、声だけでは彼の心情をうかがい知ることはできなかった。

しかし、オーナーの口元を見ると口角が上がっていることから喜んでいるのだろうと推測できた。俺は、その表情から嫌な感じがした。


「疑っているようですね。では、証明して見せましょうか・・・・・・宮本武蔵17歳、身長181cm、体重68kg、帰宅部。名前が歴史の偉人と同姓同名なのがコンプレックス。昔から霊感が強いため、幼少期は虚弱体質。彼女大募集中、クールな容姿で最初はモテるが、中身が残念なのでモテない。成績は・・・・・・」


オーナーは何かを見る訳でもなく、突然つらつらと俺のプロフィールを喋り出した。何故か全て当たっていたため、少し呆気にとられてしまった。


「だぁーーー! 分かった、分かった! もう良い! これ以上は俺の個人情報が! プ、プ、プライ・・・・・・プラベートの侵害だ!」


俺は、顔に熱を持っているのを感じながらオーナーに喋らせるのを止めさせた。オーナーは、俺が慌てているのが面白かったのか、肩を震わせてクスクスと小さく笑っていた。


「フフフッ・・・分かりました、止めますよ。そんな顔を真っ赤にさせなくても大丈夫ですよ。それと、プライベートではなくてプライバシーですよ、武蔵君」


「うぐッ! うるせぇ! ちょっと間違えただけだ・・・・・・そうか、分かったぞ! お前、俺のスト―カーだろ?」


俺は、オーナーに向かって人差し指を突き刺してドヤ顔を決めて見せた。

言うまでは名推理と思っていた自分の言葉もよく考えると遥か斜め上を行っていることに気付いた。

自分の言葉に混乱した俺は、頭の中が疑問符で飛び交っていた。


「面白い回答ですが、違います。貴方をストーカーしなくても私には全て分かりますから。この世界に足を踏み入れた者のデータは全て頭に入ってきますからね。何せ、私はこの世界のオーナーですから」


混乱している俺を見かねたオーナーは、肩を竦めると人差し指を俺の前に突き出しながら説明した。

指を突きつけられているだけだが、俺にとってはまるで剣を喉元に突き付けられているように感じた。


「よく分かんねぇけど、俺スゲー的な? ・・・・・・完全に中二病だな、お前」


オーナーの威圧感を感じながらも彼の説明に納得がいかなかった俺は、皮肉を言った。

しかし、俺の皮肉を気にする様子は見られず、彼の口元は微笑みを絶やしていなかった。


(とりあえずこれだけは分かった、コイツとは絶対に初対面だ! 俺は、こんな変な知り合いなんて知らない! 知りたくもない! そもそもコイツ、幽霊だし!)


俺は、何とかしてこの場を切り抜ける策を考えていた。オーナーに構っている暇は俺にはない。

早くあの声の主を見つけてさっさと用件を済ませて家に帰りたかった。


「それより武蔵君。いい加減ここがどこかそろそろお気づきになりませんかね?」


オーナーは周囲を見渡しながら不意に話題を変えてきた。俺もオーナーの真似をして周囲を見渡した後、首を傾げながら答えた。


「ハッ? どこって・・・・・・そりゃ、俺が聞きたいくらいだよ。お前、教えてくれんの?」


オーナーは、俺の答えに対して静かに首を縦に振った。


「えぇ、そのために私はここにやってきたのですから・・・・・・ここはグレイ。地球と瓜二つですが、地球とは全く異なる摂理でできている異世界なのです!」


そう告げるとオーナーは、両手を広げてクルリと回りながら説明した。

そんなオーナーを他所に俺は、目を点にさせながらオーナーに疑いの眼差しを向けていた。


「アレッ? 武蔵君、テンション低いですよ~大丈夫ですかぁ~?」


「ワァ~、ソウナンダァ~ココ異世界ナンダ~・・・・・・ってなるかぁ!! いきなり漫画みたいなことを言われて信じる訳ないだろ! お前、胡散臭いし!」


俺は、オーナーの突拍子もない発言とまだ現実を受け入れきれない思いからオーナーを指差しながら大声で反論した。

オーナーは、俺の反論に対して溜息をつきながら肩を竦めながら答える。


「もう、本当のことなんですよ。あなたが通ってきたゲートがその証なんですから」


ゲートって・・・・・・まさかあの黒い渦か!?」

俺は、すぐに公園で見た黒い渦を思い出した。

黒い渦の名前を出すとオーナーは、嬉しそうに指を鳴らして俺を指差した。


「その通り! あれはあなたのいた世界、つまり地球とこの世界を繋ぐゲートなのです。どうも、あなたの霊感が強いことからゲートを呼び寄せてしまったみたいですね」


「あれってゲートの声だったのか・・・・・・?」


「ん~、ゲートに自我があるのかは聞いたことはありませんが、ありえないことではないですね」


俺は、オーナーの話に目を丸くさせて驚いた。

内容が飛び抜けているせいか、俺の頭の中は未だに整理しきれず目が回りそうだった。

しかし、つじつまが合うことからオーナーの話は全て真実であることは理解できた。

唯一、光の声の主がゲートだという点だけ引っかかっていたが、あまり気にしないことにした。


「・・・・・・ハァ~、分かったよ。とりあえず、信じることにするわ。じゃあ、地球に帰るからそのゲートって奴をもう一回出してもらっても良いかな?」


心に引っかかりはあるものの、これ以上ここに留まる理由がなくなった俺は、元の世界に戻すようオーナーへ依頼する。

オーナーは、俺の依頼に対して一瞬、口元の笑みが消えて真剣に考え事をしたかと思うとまた元の微笑みを作って答えた。


「・・・・・・残念ですが、それはできません。この世界に来たからにはルールに則って『ゲーム』に参加していただかなければなりませんので」


「ハッ!? ルール? ゲーム? 何のことだよ!?」


オーナーの口から思わぬ返答と新たな言葉が出てきた。俺は、目を見開いたまま視線をオーナーへ向けた。

オーナーは、俺の反応を楽しむかのように口元はニコニコ微笑んで鼻歌を口ずさんでいた。

すると、オーナーは手を叩いて思い出しかのような仕草をして話し出した。


「あぁ、まだこの世界のルールについて説明していませんでしたね。ゲームのルールも合わせて一緒にご説明しますね」


俺は、眉をしかめながら無言でオーナーを睨み付けた。

オーナーは、チッチッチッとリズミカルに舌打ちしながら人指し指を左右に揺らして俺にリラックスするように促すと説明を始めた。


「まぁまぁ、そう硬くならないで。そんなに難しくないですから。まず、この世界のルールを説明しましょう。この世界のルールは、異世界より迷い込んだ者を迷い人と呼び、迷い人はいかなる理由があっても永久にグレイから出ることを許すべからず・・・・・・」


「ハァッ!? そんなんじゃ、ゲームやっても元の世界に戻れねぇじゃん! 話違うじゃねぇかよ! 詐欺だ、これは詐欺なんだ! 誰か、弁護士呼んでくれ!」


俺は、思いっきり叫ぶのと同時に勢いよくオーナーへ詰め寄って抗議しながら頭を抱えながら上下左右に頭を振った。オーナーは、両掌を上に向けて首を横に振りながら肩を竦めた。


「まぁまぁ、落ち着いて。まだ続きがありますよ? ちゃんと聞かなきゃダメですよ、せっかち君」


そう言うとオーナーは、興奮する俺の両肩を二、三回軽く叩いて俺を諭して落ち着かせた。


「なっ、何だよ! 驚かせんなよ・・・・・・!」


(って言うか、紛らわしい言い回しするからだろうが! マジで寿命が縮んだぜ)


俺は、オーナーの言い回しに不満があるのを目で訴えたが、オーナーは気にする様子もなく、気を取り直して説明を再開した。


「えぇ~、続きを言いますと・・・・・・試練を乗り越えし者のみあるべき場所へ戻る資格が得られる。これが、グレイのルールです。要約すると、本当は二度とグレイから元の世界に戻れませんが、ゲームに勝てば特別に元の世界へ戻ることができます」


「なっ、なるほどな。戻る手段はあるけど、簡単には帰さねぇよって感じだな・・・・・・」


「そうですね。なので、迷い人である武蔵君にはゲームに参加してもらいます。ルールは、この世界にチェッカーが二人どこかに隠れているので見つけて倒して下さい。二人を倒したらキングが待つ城の鍵が手に入れます。そして、あの城で待ち構えるキングを倒してキングが持つゲートの鍵を手に入れれば元の世界に戻る事ができます」


オーナーはシルクハットから次々と人形や図の描かれた紙を取り出すと俺に分かりやすく説明していく。

その説明は、紙芝居を見ているかのようで頭にすんなり入ってきた。そして、オーナーは、最後に遠くにそびえ立つ大きな城を指差した。

地球とグレイは姿と形はそっくりだが、城の存在だけは唯一異なっていた。

禍々しいオーラを放っている異質な建物は、いかにもラスボスの城という雰囲気をしていた。


「なるほどな、用はゲームをクリアすれば良いんだな? 俺が迷い人ってことだからプレイヤーってことだろ? んで、チェッカーはボスで、あの城がダンジョンで・・・・・・キングがラスボスってことか!」


「その通りです。さすが、最近の若者はゲームとかに変換すると飲み込みが早いですねぇ~。ゲーム脳って奴ですか?」


「それ・・・褒めてんの? それとも、貶してんのか?」


俺は、オーナーの発言に呆れながら睨み付けた。

しかし、オーナーは、俺の質問を無視して話の続きを始めた。


「まぁ、何にせよ。チェッカーは、二人共すごく強いですから心してかかって下さいね」


(俺、喧嘩できないんだけどなぁ~・・・・・・まぁ、その辺は根性で何とかするしかないか)


俺は、チェッカーがどんな人物なのか想像していた。マッチョ、もやし、女の子・・・・・・。

地球に帰るためとは言え、女の子に手を上げるのはやはり気が引けるので、できれば戦いたくなかった。


「所で、チェッカーやらキングとかゲートの鍵とか一体何なんだ?」


俺は、指を折りながらふと気になった単語をいくつかオーナーに質問した。

オーナーは微笑みながら俺の質問に答えていく。


「簡単に言うとチェッカーはキングの城の鍵を守る守護者、キングはゲートと鍵の守護者。そして、ゲートは文字通り、この世界と元の世界を繋ぐものでゲートを開けるためにはキングが持つ鍵がいります」


(ゲロォ~! 四重ロックかよ・・・・・・警備会社もビックリなセキュリティだな)


俺は、気の遠くなるようなゲームの流れを聞いて軽く眩暈を覚えた。

そんな俺の状況などお構いなしにオーナーは、次の説明を始めた。


「あぁ、その前に参加者のランクについて話をしておかないといけませんね」


オーナーは、シルクハットの中に手を入れてゴソゴソと探るとスケッチブックより一回り大きいボードを取り出して説明を始めた。


(どうやって入ってたんだ・・・・・・そのボード)


俺は、オーナーの奇妙な行動の数々に突っ込む気力を失い、ただオーナーの説明を聞くしかなかった。


オーナーの説明によるとこのゲームの参加者にはランクが与えられるのと同時にランクに応じた特殊能力が与えられる。各々、固有の特殊能力があって一長一短らしい。

ランクは、剣士や僧侶といった職業みたいなもので5種類あってポーン・ビショップ・ナイト・ルーク・キングの順に強くなっていく。

ランクが継承されると、体のどこかに必ず紋章が刻まれ、ポーンはP・ビショップはB・ナイトはN・ルークはR・キングはKとなっている。


ポーンは、全能力のバランスは取れているが、全ランクで最弱。大器晩成型。

ビショップは、ランク内で唯一補助・回復能力を持つが、攻撃・防御共に弱い。補助型。

ナイトは、素早さに特化しているが、防御は脆い。スピード型。

ルークは、攻撃・防御に特化しているが、鈍足。攻撃型。

キングは、全てにおいて高い能力を持ち、弱点がない。


唯一、キングのみ弱点がないのは、俺達迷い人が倒すべき相手のキングその者だからだ。

その代わり、1対1のルールはないから複数でフルボッコにしても良いことになる。

RPGあるあるだが、どんなに強い相手でも1対複数ではどう見ても集団リンチである。


(本当に一長一短だから難しいな・・・・・・。せめてポーンは止めて欲しいな・・・・・・何か雑魚臭がするし)


残念なことにランクは自分では選べず、その時になるまで分からないらしい。

ランクが決まる基準は、自分の中の魂との相性などで決まるらしい。

俺は、ランクが選べないことは承知の上だが、自分のランクが最弱ではないように両手を合わせながらひらすら祈っていた。


「では、最後にキングとゲートの鍵についてです。要は、この世界を取り締まっている者がキングです。また、キングが持つゲートの鍵はこの世界に一つしかありません。キングが肌身離さず持っているのでキングを倒してから奪わないと無理です。ちなみに、ゲートはキングの部屋にあります」


俺は、オーナーの話を真剣に聞きながら頭の中でルールを整理していた。


(ヘェ~、何か簡単なようで難しいような・・・・・・って待てよ? この世界を取り締まっている者がキングだって・・・・・・!?)


ある言葉に引っかかった俺は、今までオーナーが説明した言葉を反芻してパズルのピースを組み合わせていく。

そして、全てのピースが繋がった俺は、顔面蒼白になりながらオーナーを見つめた。


「・・・・・・なぁ、一つ確認しても良いか。お前、最初にこの世界を取り締まっている・・・・・・・・・・・・・・だって言ってたよな?」


「そうですけど・・・・・・何か?」


「・・・・・・って事は、つまりあんたは!?」


俺は、大量の汗をかきながら震える人差し指をオーナーへ向けた。


(何この展開、この後のセリフをスゲェ聞きたくないんだけど・・・・・・)


「あぁ、気づいてなかったんですか? そうですよ、お察しの通り。私は貴方の敵であり、キング。つまりラスボスって事になりますね!」


オーナーは、再び宙へ舞い上がりながらニコリと微笑んでさらりととんでもない事実を喋った。


「・・・・・・はあぁぁぁぁぁっ!?」


俺は目を見開き、口を大きく開けながら今までの人生で一番大きな声で叫んだ。


「ご丁寧にチュートリアルをしてくれていた奴がラスボスでした~、ってそんなのアリかよ!鬼! 詐欺! 悪魔! マジふざけんなぁー!」

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