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3/8

3.踏み込まないまま、日常は少しだけ変わった

 それから一歩踏み入れない生活を半年、その間に俺と黒名の間に進展があったというわけではない。

 理由に関しては色々あるのだが、俺自身の生活も大学生活の慣れから変わってきたことにもある。


 一つの変化としては、自分の周りにも友達が出来たという点。

 そして、もう一つがバイトを始めたという点。

 この二つが思いの外俺の大学生生活に変化をもたらしており、意外にも充実した学生生活を満喫していた。


 今日も絶賛シフトが入っており、これから向かうところだった。


「陽斗は今日バイト行くん?」

「おう、光一は?」


 こいつは佐伯さえき光一こういちで、バイト先が偶々同じになった同じ学部の同級生だ。

 俺のバイトの初出勤日に一緒の初出勤という偶然から仲良くなって以降、たまに代返してもらったりとお互いWin-Winな関係になっている。


「俺は今日シフト入ってない」

「おっけーじゃあ、俺は行くよ」


 手を振り出入口の方へと向かう。


「あ、陽斗君」

「お、ルナ」


 階段を下る途中、反対に上ってきたルナ。

 お互いに半年の付き合いにもなってきて、苗字呼びから名前で呼ぶようになった。

 

「今日はもう終わり?」

「そう、これからバイト」

「そうなんだ、頑張って」

「おう、ルナも授業頑張れよ」

「ありがと」


 踊り場で軽く立ち話を交わし、俺はバイトへ、ルナは授業の教室へとそれぞれ向かう。

 出会った頃の何も知らない大学生活と比べると大分大学生活に慣れてきたんじゃないかと思う。

 うちの大学だけではないと思うが、基本的に講義は半年単位で履修を変える。


 最初は俺とルナもお互いで合わせて授業を取っていたが、それぞれの取りたい授業を優先して、それ以外の授業は一緒のものを取るといったようにうまく自身のリズムを確立させていた。

 今日は前者の日だった。


「やっべ、急がないと」


 できるだけ近い時間の地下鉄に乗るべく急ぎ目で乗り場に向かう。

 ありがたいことに地下鉄が大学直結なこともあり大学後の遊びや、今のようにバイトに行くのもとても助かっている。


 想定通りの時間にやってきた地下鉄に乗り、大学から二駅先の市内中心部の駅までやってくる。

 そこから五分ほど中心部から離れた先にあるCafe(カフェ Lunariaルナリア、ここが俺のバイト先である。

 

 名前の通りのカフェなのだが少し中心部から離れたこともあり、人が多く来すぎるということもないが、一定程度お客さんがいるというちょうどいい感じの場所にある。


 日中は割と学生の比率も多く、うちの大学問わず同じ市内の大学生や授業終わりの高校生などが訪れる。


 カランカランと入口のドアベルが出迎えてくれる。

 

「あ、陽斗おつかれ~」

「あ、ミサ先お疲れ様です」


 ミサ先と俺が呼ぶのは、ルナリアの先輩アルバイターの朝霧あさぎりミサさんのことである。

ここの先輩というのもあるのだが、俺の学部の先輩ということもあり両方の意味も兼ねて俺も光一もミサ先と呼んでいる。


「今日は割と人も落ち着いてそうな感じですね」

「ん~、まあさっきまでは少し忙しかったんだけど時間がたって落ち着いたかな~」

「じゃあタイミング良いってことで」

「私が頑張った分この後は頑張ってね」

「程々に」


 そんなに席数も多くないお店ということもあり、基本的にはバイトは三人ほどで回しているのだが今日はどうやら俺とミサ先の二人だけらしい。


 店長もいるにはいるのだが、店長がここの近辺で別のお店も管理しているらしく行ったり来たりしている関係で、基本はバイトのメンバーで成り立っているのがこのルナリアの縮図である。

 その中でのカーストトップこそ、我らがミサ先ということである。


「陽斗は学校どうなの~」

「何ですか急に」

「華の大学生だよ~? 浮ついた話の一つや二つないの?

「いや、近所のお姉さんですか?」

「そういうの聞いて潤さないと枯れちゃうんだよ、大学を出ると」

「それはそれは」


 ミサ先は所謂就職浪人で、目指したい業界があるとかで卒業後も就職活動を始めるんだとか。ただ、しばらくはルナリアでバイトを続けるらしいとのことらしい。

 

 仕事に入ってから雑務を行っているうちに少し時間も経って夕方を回ろうかという頃くらいだろうか、俺を出迎えてくれたカランカランというドアベルの音が新たな来客の訪れを教えてくれる。



こんばんは、絶妙な終わりを見せた本話で申し訳ございません。

区切りが悪くちょうど切れそうなタイミングがここだったのでお話し切らせてもらいます。

可能ならは早いうちに更新もできればと思っておりますので、私のスピードにご期待いただけますと幸いです。


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