表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の彼女がめちゃくちゃモテる件 〜派手にモテる彼女と、地味にモテる彼氏〜  作者: 丸深まろやか
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/44

043 「怪しい……」


 綿矢紗雪が佐野桜花と話した、その数日後。


「桜花と仲直りすることになったわ」


 生徒会室を訪ねてきた紗雪は、並んだ美湖と侑弦に向けてそう言った。


 隣の美湖がホッと息を吐くのがわかって、侑弦も少し遅れて、同じようにした。

 いや、もしかすると、こちらの息の方がずっと、深かったかもしれない。


「天沢さん、朝霞くん。本当に、ありがとう」


 紗雪は背筋を伸ばしたまま、ふたりに綺麗なお辞儀をした。


 再び頭を上げた紗雪は、憑き物の落ちたような、すっきりした顔をしていた。

 とはいえ、表情そのものはいつもと変わらないのだけれど。


「ホント、よかったね。まあ、最後は私、ほとんどなにもしてないけど」


「いいえ、そんなことない。あなたのおかげで、決心がついたわ」


「そう? まあ、侑弦のお手柄は私のお手柄でもあるし、そうかもねー」


 と、美湖は軽い口調でそう言った。

 が、チラリとこちらを見る目が、少し拗ねたように細まっていた。


 あの日、ケーキ屋で紗雪と出会った日。

 侑弦は紗雪に頼まれて、桜花に伝えるセリフを一緒に考えた。


 それが、美湖の貢献に比べて、功績として大きかったとは思わない。

 けれどもしかすると、美湖の方ではそうは思っていないのかもしれない。


 今さらながらに、若干の申し訳なさがつのる。

 まあ、自分がやったことに後悔はしていないけれど。


「桜花とは、まだ完全に元通りってわけじゃないわ。これからもいろいろ話して、ゆっくり関係を修復していく。その努力を、ふたりでする。そういうことになってる」


「……ああ、いいんじゃないか、それで」


 美湖が返事をする前に、思わず声が出ていた。

 紗雪がこちらを向いて、コクンと頷く。


「ただ、これからもなにかと、うまくいかないことがあるかもしれない。いいえ、きっとあるわ。だから、そのときには……また、助けてもらえたら嬉しい」


「うん、もちろん。お悩み相談は、いつでもウェルカムだからねー」


 屈託のない笑顔でそう言って、美湖は紗雪の手を取った。


 彼女が初めてここに来たときは、どうなることかと思ったけれど。

 紆余曲折、かなり大変だった気がするけれど。

 ひとまずは、いい方向に進んでなによりだ。


 侑弦はあらためて吐息をついて、胸を撫で下ろした。

 あまり美湖の受けた相談に首を突っ込むことはないが、今回は少し、気持ちも立場も肩入れしすぎた。

 まあ、当事者になっている美湖の安堵と疲労は、こんなものではないのだろうけれど。


 つくづく、すごい少女だな、と思う。


「朝霞くんも」


「……えっ」


 紗雪が、またこちらを向いていた。

 彼女には似合わない、柔らかく、穏やかな笑顔だった。


 いや……似合わない、なんていうことはない。

 それは、天沢美湖にも負けないくらいに華やかで、可憐で、綺麗で――。


「また、助けて。お願いね」


「……おう。まあ、俺でよければ」


 そう返事をすると、紗雪はさらに目を細めて、深く笑った。


 きっと、もう自分の出番はないだろう。

 さっきまでのそんな考えに、侑弦はどういうわけか、自信を持てなくなってきていた。




「怪しい……」


 綿矢紗雪と別れて、侑弦は美湖とふたりで下校した。

 が、その道中、美湖は普段よりも口数が少なく、妙に静かだった。


 そして、駅が近づいてきた頃、ぽつりと、おかしなことを言ったのだった。


「……なにが怪しいんだ」


「紗雪ちゃん」


「……綿矢の、なにが」


「……むむむ」


 と、美湖は侑弦の質問には答えず、難しそうに唸り始めた。


 さっぱり、意味がわからない。

 が、なんとなく、あまり追及しない方がいいような気もした。


「……やっぱり、侑弦は油断ならないかも」


 今度は完全に、ひとりごとのようだった。


 紗雪の話かと思えば、いつの間にか自分の名前が出ている。

 ますますわけがわからず、侑弦は人知れず、両手のひらを空に向けて肩をすくめた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
静かに沼にハマった子を生産していくせいで、このまま行くと「あの2人って彼氏が釣り合ってないよねー」みたいなこと言った子が闇討ちされる学校が出来上がるんじゃないかと
タイトル通り地味にモテる彼氏ですねw 鈍感のようなのでこの先も何気に2人きりとかありそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ