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第四話 初めての食事、驚きの提案

(起きてください、レイカ)


その声に反応し、私は目を覚ます。

気が付けば洞窟の外は真っ暗で月明かりと星々が夜空を照らしている。


(スキルの取得が完了しました。これである程度は自由に動けると思いますよ)


そう言われて身体がどう変わったか感じようとしてみる。が、寝る前と何も変わらないように感じる。

仕方が無いので私は洞窟の外という未知の世界へと飛んでいった。




空から降り注ぐ白銀の月光が自身に反射し、まるで月光の一部になったかのように思わせる。目を落とすと、洞窟の外から見たあの鬱蒼とした森から、何かしらの虫の音だけが響いていた。静かな夜風を翼で切りながら、私はどこからか湧き出る高揚感の中、空を羽ばたいていった。


そのまま飛んでいると、ふと空腹感のようなものを感じたので、飛んでいた高度を下げ何かいないか森の中をスキルで探してみる。すると茂みの中に隠れるように何かが居たので、周囲を確認しつつ地面に降り立った。

そこにいたのは、大型犬くらいの大きさのどこか馬に似たような動物だった。だが私の知っている馬と比べると首は短いし体の表面はどっちかというと鹿っぽいので、言ってしまえば小さな馬モドキだ。

その目の前にいるこやつはどうやら寝ているらしい。ので、食事として血を頂くことにする。

私は比較的皮膚が柔らかそうな耳あたりへと移動した。流石に今の私の貧弱貧弱な顎と牙では首元をそのままガブリ!とは出来るわけが無いからね。

耳の皮膚に狙いを定め、起こさないように慎重に牙で傷付けていく。すると真っ赤な血がパックリ綺麗に割れた傷跡から滲み出てくる。私は心の中で手を合わせ、それを舐め取っていく。

うーん、どうやら蝙蝠になったからといって血が物凄く美味しい!!……とはならないらしい。

だが折角の蝙蝠生初めての食事なので、私は滲み出てくる血を舐め取り続けた。

そうしてると、だんだん癖になってきた。まだまだ物足りないしもっと舐めようかな?


(レイカ、それ以上摂取して帰りはどうするつもりですか?)


その言葉にハッとした。これ以上やったら羽があるのにお腹いっぱいで飛べない哀れで馬鹿な肉の塊になってしまうことになる。慌てて私はその馬モドキから離れ、洞窟へと帰ることにした。貧弱な身体でなんとか木へとよじ登り、そこから飛び立つとそのまま行きより重い身体に苦戦しつつ洞窟へと羽ばたいていった。






そこから何度も太陽が沈み、月が昇った。私は毎晩毎晩森に出かけては血を吸って太陽が出ている間は洞窟でただひたすらに夜が来るのを待った。

毎晩毎晩吸血吸血吸血吸血吸血吸血吸血吸血吸血………



…………飽きた!!

血を吸う相手を変えたとしても所詮血は血だから味の変化もない!あと元人間としては太陽光を浴びれないのが辛い!日光浴したい!それにチラッと洞窟の外から見えたビワに似た美味しそうな果物を見てしまってから食べた過ぎてもうどうしようもない!


(………そんなに言うのなら、克服しますか?日光)


不意にそんな言葉を案内人さんからかけられる。日光の克服、それは日光が弱点のラスボスの大体が追い求めている物である。某完璧生命体然り某パワハラ上司然り…そんな人達が長年追い求めるような事をそんなあっさり言っていいのか?と、私は少々訝しんだ。


(えぇ、今のレイカの状態なら克服出来ますよ、寧ろ克服するなら今のうちでないと一生克服できない出来なくなりますが…?)


うん、ヨシ!克服しよう!

そう思い立って早速克服の方法を──


(簡単です、あそこに行ってきなさい。レイカ)


───あそこと言われて見てみるとそこは洞窟から見える外の中で一番日光の当たる場所だった。

HAHAHA!案内人さんも冗談が上手い…


(行きなさいレイカ、行かないのなら貴方に未来は有りません)


どうやら冗談ではなく本気らしい。私はかなーーり躊躇ったが意を決して外へと羽ばたいて行く。その直後に襲う吐き気や頭痛に本能が危険信号をガンガン出してくる、が日光をこの身体で初めて見た時と比べると、かなりマシだ。あれ、もしか……して…か…んた…


(そろそろですね。戻りなさい、レイカ……はぁ、仕方ありませんね)


気がついたら洞窟の中へと戻ってきていた。いつの間にか戻ってきていたことに疑問を感じたが今考えるとちょっと頭がおかしくなっていたかもしれない。


(………今のを何回も何回も何回も繰り返します。レイカ、泥試合の覚悟は出来ていますか?)


少しだけ朦朧とする頭のまま、私は案内人さんの言葉に頷いた。

……頷いて、しまった。


そこから何回も日光を克服する為に私は外へと羽ばたいて行き、また洞窟に戻るを繰り返していった。

行っては戻って休憩行っては戻って休憩行っては戻って休憩行っては戻って休憩……

何度も何度も吐きそうになり、頭は割れそうな程に痛い。あぁ、痛い痛い痛い苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい……!!





そしてそれを何日も何日も繰り返していたある日、私は気づいたら日光のさんさんと光る外で普通に羽ばたいていた。


(おめでとうございます、レイカ。無事日光克服ですね)


私は案内人さんの声でようやく日光を克服したのだと、理解できたのだった。

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