何だこのババア
「あ、表札が書いてある! 間違いない、ここが教会だ! 」。
カンジは巨大な石造物の前で足を止めた。
ドンッ! ドンッ!
カンジが扉を叩くと、その開いた扉から小太りの中年女性が姿を現した。
「...」。
気難しそうな顔立ちをしている女性は眉間にしわを寄せ、一言も発さずじっとカンジを見つめていた。
「あ、えと...その。私は旅をしている者でして...。あの、できれば食べ物を恵んでいただければと...」。
カンジがそう言った時...。
「物乞いはお断りだよっ!! 自分で稼いで自分で生きていきなっ!! 」。
「うぉっ!? 」。
その女性にピシャリと突き放されたカンジは身をたじろがせた。
「ふんっ! 最近多いんだよ、アンタらみたいな物乞いしたり金も持たずタダで部屋借りようとする不届きな浮浪者共がねっ! キリがないったらありゃしないっ! そのせいで教会も食料不足で困ってるんだいっ! 」。
(うわ、おっかねぇババアだな...。こんな奴が聖職者やってんのかよ)。
カンジは不機嫌そうに両腕を組む女性を見てそう思った。
「とにかく、ここは物乞いお断りだからねっ! 」。
「あ、そうっすか...。じゃあ、この町で食べ物を恵んでくれる場所ってあります? あったら教えてほしいんですけど」。
カンジがそう問いかけると、女性は一層不快感を露わにした。
「そんなとこあるわけないだろっ!! 馬鹿な事を言うのも大概にしなっ!! あっちこっち旅してるんなら、まず情報集めるために酒場や役場へ行くのが普通だろうっ!? 」。
「え? 酒場? 」。
カンジは小首を傾げながらそう聞き返すと、女性は片眉を吊り上げて怪訝そうな表情を浮かべた。
「アンタ、そんな事も知らないのかい? 本当に旅人? 」。
「い、いやぁ~、お恥ずかしながら今日旅人になったばかりなんですよ~」。
カンジが照れくさそうに自身の後ろ頭を掻くと、女性は呆れた様子であからさまに大きなため息をついた。
「何も知らないで旅人になったのかい? アンタ、死ぬよ? 」。
「はははっ! そういう運命になるかもしれませんね~! 」。
「アンタと話してると、私はなんだか頭が痛くなってくるよ...」。
女性は疲れた表情を浮かべて首を横に振った。




