初めての友達?
「それで、アージェさんはどうするんですか? 」。
カンジがそう問いかけると、考えているのかアージェは少し黙り込んだ。
『そうっすね...。ここにいてもまた奴等に絡まれて埒が明かないし、移動しようとは思ってますけどね』。
「あ、マジっすか! じゃあ、アージェさん! 一緒に旅とかしませんか? 」。
『え?? 』。
カンジの提案にアージェは困惑した。
「どうせアージェさんも行く当てとかないんでしょ? 俺も一人だとなんか味気ないし、しばらくの間でもいいんで一緒に行動しませんか? 」。
『う~ん』。
アージェは再び考え込んだ。
『まあ、僕なんかでよかったら全然いいですよ。それに、魔獣の僕の言葉が理解できるカンジさんもなんか面白いなって思ったし』。
アージェがそう答えると、カンジは両手をパンッと叩いて勢い良く小岩から立ち上がった。
「うっしっ! それじゃあアージェさんよろしくっ! 」。
右手をアージェに差し出したカンジはやや戸惑った様子を見せた。
「あ、スライムは手が無いんだよな...」。
『一応、それっぽい事はできますよ』。
アージェはそう言うと、カンジの手に向けて身体から触手を伸ばし始めた。
「スライムってこんなアクションができるんだ」。
アージェの触手を握ったカンジは自身の右手からひんやりとした柔らかい感触を確かめていた。
『これからよろしくお願いします、カンジさん』。
「へへへ、三十五歳にして初めてできた友達はスライムのアージェさんか~。よろしくね! 」。
カンジは恥ずかしそうに自身の鼻頭を擦りながらアージェに微笑んでいた...のだが。
(水色のスライムはよく聞くけど、白いスライムみたいな色違いは珍しいのかな? もしかしたら高値で売ってくれるお店とか町に行けばあるかな? ...とりあえず、キープしておこう)。
カンジはそんな下心を抱きつつ、スライムのアージェと共に隣町ザッツへ向かうのであった。




